日本農林規格の様式改正について

By | 2023年9月6日

概要


 2023年8月23日、日本農林規格調査会が開催され、「ジャム類の⽇本農林規格」、「醸造酢の⽇本農林規格」等の8規格の改正について審議が行われました。今回の改正ではJASの今後の利便性の向上を目的とした様式の変更、「異性化液糖及び砂糖混合異性化液糖の⽇本農林規格について」では表示事項において新設の内容が設けられる予定です。

背景


 JASについては、「⽇本農林規格の制定・⾒直しの基準」(令和4年8⽉29⽇ ⽇本農林規格調査会決定)により制定・⾒直し内容の妥当性が判断されます。今回の改正では対象JASの様式をJIS Z 8301に合わせることで国際規格との連動性や規格の検索性・利便性向上を図り、今後の活用の幅を広げることを主な目的としたものと考えられます。(※JIS Z 8301とは、日本産業規格などの規格票の構成及び規格の作成方法について規定されたものです。)

改正の内容


 今回、改正が行われる規格は以下の8規格となっております。
・障害者が⽣産⾏程に携わった⾷品の⽇本農林規格 ・⻘果市場の低温管理の⽇本農林規格 ・ジャム類の⽇本農林規格 ・醸造酢の⽇本農林規格 ・トマト加⼯品の⽇本農林規格 ・ドレッシングの⽇本農林規格 ・異性化液糖及び砂糖混合異性化液糖の⽇本農林規格 ・パン粉の⽇本農林規格

 今回の改正では8規格においてJASの国際規格との連動性、規格の検索性・利便性向上のため、他のJASと同様に ISOの様式作成の⼿引きを考慮して作成されたJIS Z 8301に従った様式への変更などが行われる予定となっております。

 トマト加⼯品の⽇本農林規格のトマトジュースの一部内容を例に従来と改正後の様式の違いをご確認下さい。

<従来>

4 品質
4.1 トマトジュース
4.1.1 性状
 性状は,次による。
a) 香味及び色沢が良好であり,かつ,異味異臭があってはならない。
b) 粒子が細かく,その分布が均一であり,かつ,粘ちょう性が適度でなければならない。
c) きょう雑物がほとんどないこととする。
4.1.2 無塩可溶性固形分
 無塩可溶性固形分は,5.2 及び 5.3 によって試験したとき,4.5 %以上とする。
(略)

<JIS Z 8301規格対応>

4 品質
4.1 トマトジュース
 トマトジュースの品質は,表1の品質基準に適合していなければならない。

表 1-トマトジュースの品質基準

区分 基準
性状  
次による。
a) 香味及び色沢が良好であり,かつ,異味異臭がないこと。
b) 粒子が細かく,その分布が均一であり,かつ,粘ちょう性が適度で あること。
c) きょう雑物がほとんどないこと。
無塩可溶性固形分  
5.2 及び 5.3 によって試験したとき,4.5 %以上。

(略)

 また、「異性化液糖及び砂糖混合異性化液糖の⽇本農林規格」における表示事項について、従来では異性化液糖は「果糖含有率、内容量」、砂糖混合異性化液糖は「異性化液糖の果糖含有率、砂糖含有率、内容量」のみとなっていましたが、今回の改正により両品目に対して「名称、保存の方法、賞味期限、原材料名、食品関連事業者の氏名又は名称及び住所、原産国名」が項目としてリスト化され、表示すべき項目名が明確にされる予定です。

今後について


 様式の改正により国際規格との連動性や規格の検索性・利便性が向上することで今後の使用の幅が更に広がるものと考えられます。今回の改正に該当する食品に携われている方やJAS制度の利用を検討されている方は改正後の内容に一度目を通されることをおすすめいたします。


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