フランスにおけるプラントベース食品(肉の代替品)の表示規制案について ~EUプラントベース食品に使用される用語の現状~

By | 2023年10月3日

概要


 2023年9月4日、フランスは肉の代替品に対する誤解を避けるため、国内で製造されるプラントベースの食品に対して、「ステーキ」や「スペアリブ」といった肉の名前の使用を禁止する修正案を再度発表しました。食肉に関する用語の禁止は、21用語に適用されます。しかし、定義された植物性タンパク質の最大含有量を超えない限り、120以上の動物由来の食品に関する名称の使用は許可されます。つまり、植物性食品だけで構成した「ナゲット」や「ベーコン」等のビーガン商品は新たな名称を名乗らなければならなくなります。

(Annex I) 植物性タンパク質を含む食品の名前に使用が禁止されている21用語:
  • Fillet(フィレ)
  • Striploin(ストリップロイン)
  • Rump(ランプ)
  • Rib steak(リブステーキ)
  • Beef cut(ビーフカット)
  • Sirloin(サーロイン)
  • Hanger steak(ハンガーステーキ)
  • Thin skirt(シンスカート)
  • Beef steak(ビーフステーキ)
  • Chuck(チャック)
  • Chuck steak(チャックステーキ)
  • Thin flank(シンフランク)
  • Steak(ステーキ)
  • Escalope(エスカロップ)
  • Flank(フランク)
  • Grilled(グリル)
  • Loin(ロイン)
  • Spare ribs(スペアリブ)
  • Ham(ハム)
  • Butcher(肉屋)
  • Meat product maker(食肉製品製造業者)

 この新しい修正案は発表から3か月後に施行され、事業者はこの期間に表示への対応を行います。

その他関連情報:Timeline


2020年6月
フランスはEU全体での規制に先駆け、2020年6月に施行された「農産品および食品に関する情報の透明性に関する法律」の第5条で、植物性タンパク質を含む食品の記述や販売、宣伝のために、動物由来の食品を示す名称を使用してはならない」と規定、「動物由来の製品名を使用する場合の植物性タンパク質の許容含有量については政令で定める」とした。

2020年10月
「Amendment165」(植物由来食品に対する表示規制)法案は否決され、「ベジバーガー」や「ビーガンソーセージ」の名称使用を容認。

2022年6月
その後、植物由来の食品を表すために「ステーキ」や「ソーセージ」などの用語の使用を禁止する法案を公表(EUでの制度導入は初めて)。しかし同年7月、国務院によって中断される。

2023年9月
新しい修正案(名称の規制案)を公表。

今後について


 プラントベースの食品の表示に関する議論はヨーロッパで続いており、明確な規制が確定されるまで、企業にとってはケースバイケースの分析が必要であり、不確実性が生じています。今回のフランスの規制は、EUのプラントベース食品にどのような変化があるか、注目が集まります。


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黄 怡寧

台湾出身。微生物学および免疫学を専門とし、主に海外から国内に輸入される原材料や添加物の調査業務のほか、添加物物質名や基準値などの法令検索システム向けデータベース管理業務に従事しています。
趣味は音楽鑑賞と旅行。