食品表示に関する制度改正状況のまとめ(2)~栄養素等表示基準値の改正と個別品目の表示ルール見直し経過報告について~

By | 2025年1月6日

 ※この記事は「食品表示に関する制度改正状況のまとめ(1)」(2024年12月6日)の続きです。

 2024年12月13日、「令和6年度食品表示懇談会」において栄養素等表示基準値の改正案の検討および、個別品目ごとの表示ルール見直し分科会の経過(第1回~第7回)報告がなされました。

栄養素等表示基準値の改正

 2024年10月11日に公表された「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(厚生労働省)を踏まえ、栄養素等表示基準値等が改正されます。改正の詳細は「栄養成分表示に関する改正内容(案)について」を参照してください(カルシウムやビタミンD等、基準値が増えるものもあります)。
 なお同基準値の改正に伴い、「栄養強調表示の補給ができる旨の表示(含む旨、高い旨、強化された旨)」の基準もあわせて改正される見込みですので、強調表示をされている方は確認が必要となります。

個別品目ごとの表示ルールの見直し

 横断的な基準に合わせる方向で見直しの検討がされてきましたが、これまでの議論で「完全に廃止された品目があった(ヒアリング対象22品目のうち7品目)」ほか、「定義・名称は維持したい」「個別的義務表示事項を残したい」等の要望もあったことが報告されました。
 詳細は「個別品目ごとの表示ルール見直し分科会について」を参照してください。残りの22品目については引き続き分科会において検討し、来年度、懇談会に報告予定とされています。

改正の対象と今後について

 同懇談会資料「食品表示基準改正について」の中で、「想定される食品表示基準改正の事項(案)」として改正の対象となる条項および別表が整理されていますので、こちらに引用します。

1.栄養強化目的の添加物の表示義務化

第3条第1項
別表第4 「個別の表示ルール(名称、原材料名、添加物、内容量)」
別表第24 「一般用生鮮食品の個別的表示事項」

2.栄養素等表示基準値等の改正

別表第9 「栄養成分及び熱量の表示単位、測定法、許容差の範囲及びゼロと表示できる場合の含有量」
別表第10 「栄養素等表示基準値」
別表第12 「栄養成分の補給ができる旨の表示の基準値」

3.個別品目ごとの表示ルールの見直し

別表第3 「食品の定義」、 別表第4 「個別の表示ルール(名称、原材料名、添加物、内容量)」
別表第5 「名称の規制」、 別表第19 「追加的な表示事項」
別表第20 「表示の様式」、 別表第22 「表示禁止事項」

 今後、本年度内に食品表示基準改正案についてパブリックコメントの実施が予定されています。改正の時期は未定ですが、アレルゲン表示(カシューナッツの義務品目への移行)についても改正が検討されている状況ですので、まずは想定できる対応から整理しておかれるとよいと思います。


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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

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