近年、海外から米粉等を使用した「グルテンフリー」と表示された加工食品が輸入されています。
米粉だけではなく、他の商品にも表示されていることもあります。
欧米諸国における「グルテンフリー」表示と、 日本における食品表示基準に基づくアレルギー表示とは基準が異なりますので、消費者庁より発行された「食品表示の適正化に向けた取組について」の啓発パンフレットに沿って触れてみたいと思います。
グルテンとは?
米国食品医薬局(FDA)は食品アレルゲン表示および消費者保護法(FALCP)に基づき、 2013 年からグルテンフリー表示規則を施行しており、本規則ではグルテンという用語について、「グルテン含有穀物で自然発生するたんぱく質であり、セリアック病疾患者に健康上の悪影響を与える可能性のあるもの」を意味すると定義づけており、この定義における「グルテン含有穀物」とは、小麦、ライ麦、大麦をはじめとする穀物を指し、グルテン含有物から発生するタンパク質の例としてはプロラミンやグルテリンが挙げられます。
EUやアメリカ等における「グルテンフリー表⽰」と、⽇本の「アレルギー表⽰」とは基準が異なります。
EU・アメリカ等のグルテンフリー表示
- セリアック病の人の商品選択に資する観点から、「グルテンフリー」表示が可能。
- 表示する際は、グルテン濃度が20ppm未満。
日本国内のアレルギー表示
- 食物アレルギーが、ごく微量のアレルゲンによって引き起こされることがあるため、小麦などの特定原材料を含む食品にあっては、原材料としての使用の意図にかかわらず、原則、当該特定原材料を含む旨を表示する必要がある。
- 数ppm以上の小麦総たんぱく量を含む状況であれば、容器包装に小麦のアレルギー表示をしなければならない。
- 混入の可能性が排除できない場合については、 食物アレルギー疾病を有する者に対する注意喚起表記を推奨。
日本では、「グルテンフリー」の記載の基準はありません。
表示自体は可能ですが、基準に則り「グルテンフリー」と記載を行う場合でも「小麦アレルゲンを含まないことを示すものではない」などの注釈が必要だと考えられます。
⼩⻨アレルゲンを含む⾷品に「グルテンフリー」と強調した表⽰をしたときには、消費者が⼩⻨アレルゲンが含まれていないと判断すると考えられることから、景品表⽰法等の規制上、問題となるおそれがありますので注意が必要です。
また、日本では、2年前にグルテン含有量「1ppm以下」の米粉を「ノングルテン」と表示する「米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン」を策定・公表しました。EU・アメリカ等のグルテンフリー表示の「20ppm未満」より更に低い基準になっていますので、こちらも参考にご一読いただければと思います。
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