添加物の表示方法について

By | 2020年2月4日


 今回は原材料名としての添加物の表示方法について取り上げたいと思います。下記の表示を例にして、食品表示基準とともに確認していきたいと思います。

原材料名:小麦粉、砂糖、全卵、植物油脂、カシューナッツ、水あめ、くるみ、アーモンドパウダー、メープルシロップ、牛乳、食塩/膨張剤、トレハロース、増粘剤(キサンタン)、香料、着色料(カラメル)

1次に掲げるものを除き、添加物に占める重量の割合の高いものから順に、
(1)別表第六の上欄に掲げるものとして使用される添加物を含む食品にあっては当該添加物の物質名及び同表の下欄に掲げる用途の表示を、
(2)それ以外の添加物を含む食品にあっては当該添加物の物質名を表示する。

食品表示基準(P.13 添加物)

(1):別表第六の上欄に掲げられている使用用途は下記の8つの用途です。

「甘味料」「着色料」「保存料」「増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料」「酸化防止剤」「発色剤」「漂白剤」「防かび剤又は防ばい剤」

 これらの用途で使用された添加物は、別表第六の下欄に掲げられている用途名に添加物の物質名を併記して表示することとなり、上記の表示例では「増粘剤(キサンタン)」「着色料(カラメル)」が該当します。

(2):別表第六の上欄に掲げる用途でない添加物の場合は、物質名で表示されています。上記の表示例では「トレハロース」が該当しますが、「膨張剤」「香料」は、(1)と(2)に該当しません。

 添加物の表示方法については項目3の内容として次の記載もあり、「膨張剤」「香料」はこちらによる表示となります。

1の規定にかかわらず、添加物の物質名の表示は、一般に広く使用されている名称を有する添加物にあっては、その名称をもって、
(3)別表第七の上欄に掲げるものとして使用される添加物を含む食品にあっては同表の下欄に掲げる表示をもって、これに代えることができる。

食品表示基準(P.14 添加物)

(3):別表第七の上欄に掲げられているものは下記の通りです。

「イーストフード」「ガムベース」「かんすい」「酵素」「光沢剤」「香料」「酸味料」「チューインガム軟化剤」「調味料(甘味料及び酸味料に該当するものを除く。)」「豆腐用凝固剤」「苦味料」「乳化剤」「水素イオン濃度調整剤」「膨張剤」

 こちらは”食品表示基準について 別添 添加物1-4”を参照されるとわかりやすいかもしれません。
それぞれに定義、一括名、添加物の範囲が定められており、使用用途と添加物によって、上記の表示例のように一括名で表示されるものもあります。このように、添加物の表示方法は(1)、(2)、(3)の大きく3つあることが分かります。

 今回(1)で取り上げた用途名と添加物の物質名を併記する表示について、添加物の物質名に「色」、「増粘」の文字を含む場合に「着色料」、「増粘剤」または「糊料」の用途を省略する表示、添加物の物質名でも一般に広く使用されている名称として簡略名での表示も可能とされており、仮に同じ添加物を同じ用途で使用した商品であっても、表示作成にあたられる方や企業毎の自社ルール等によって、表示方法は違ってくるものと思います。

 また(3)の一括名による表示は、表示スペースが限られる場合に表示の文字数を減らすことができること、添加物の物質名のみの表示よりも使用目的がわかりやすい面もありますが、表示を見る側からすると使用されている添加物が表示からはわからないといった面もあります。こちらについては現在行われている、食品添加物表示制度に関する検討会において論点の一つとされております。

 一般的に「添加物」というとあまり良いイメージをもたれてない印象がまだありますが、商品を作る上で必要となるからこそ使用される添加物と思いますので、表示方法の基準に準じた上で見やすさ、わかりやすさが考慮された表示にして頂ければと思います。


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上級食品表示診断士。原材料、添加物の調査から食品表示の作成、チェックまで幅広い実務に従事しています。原材料規格書、配合表の整備などの業務を担当しており、お客様にとってより分かりやすい資料づくりをサポートできるよう取り組んでいます。