乳等表示基準府令の改正について

By | 2015年2月2日

milk

ナチュラルチーズ、発酵乳、乳酸菌飲料の表示基準が一部変わります。


今回のコラムは、「乳製品等を主要原料とする食品」についてです。タイトルの「乳等表示基準府令」とは、「乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品の表示の基準に関する内閣府令」という名前を縮めたものです。この乳等表示基準府令について、平成27年1月9日付けで改正の通知がありましたので、該当する製品を扱うお仕事をされている方は一度確認してみてください。

改正の背景


今回の表示基準一部改正は、「乳等省令」において、乳製品の成分規格に関する改正が行われているためです。乳等省令とは、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」という名前を縮めたものです。成分規格についての主な変更点は3つです。

1. ナチュラルチーズ※の成分規格にリステリア・モノサイトゲネスの汚染菌数の基準値を設定
(※ソフト及びセミハードのものに限る。以下同様。)
2. 発酵乳の成分規格の改正
3. 発酵乳及び乳酸菌飲料の乳酸菌数の測定法の改正

対象となる乳製品と表示内容


対象となる乳製品は、下記の4点です。

・容器包装に入れた後に加熱殺菌したナチュラルチーズ
・飲食に供する際に加熱するナチュラルチーズ
・発酵後に殺菌した発酵乳
・製造時の発酵温度が摂氏25度前後の発酵乳及び乳酸菌飲料

そして、それぞれ必要になる表示は、下記のとおりです。

・容器包装に入れた後に加熱殺菌したナチュラルチーズ
 →「包装後加熱」、「包装後加熱殺菌」、「容器包装後加熱殺菌済み」等
・飲食に供する際に加熱するナチュラルチーズ
 →「種類別○○」の次に「(要加熱)」、「(加熱が必要)」、「(加熱してお召し上がりください)」等
・発酵後に殺菌した発酵乳→「殺菌済み発酵乳」等
・製造時の発酵温度が摂氏25 度前後の発酵乳及び乳酸菌飲料→「低温発酵」等

この改正を受けて、1月20日に消費者庁より「発酵乳等の表示基準の一部改正に関するQ&A」が発表されています。対象となる食品(乳製品)について、またリステリアに関する消費者への注意喚起について記載されています。安全性に関する情報もありますので、WEBサイトでの事前情報発信など検討されることも大切ではと思います。

参照資料:
食品衛生法第19条第1項の規定に基づく乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品の表示の基準に関する
内閣府令の一部を改正する内閣府令について(平成27年1月9日消食表第332号)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1403.pdf
新旧対照表
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1404.pdf
発酵乳等の表示基準の一部改正に関するQ&Aについて(平成27年1月20日消食表第1号)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1407.pdf


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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
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・2023年12月21日 輸出食品における各国基準(添加物および食品表示等)調査と実務上のポイント
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