今回は食品安全に重大な影響のある事項として、上記内閣府令をテーマとして取り上げたいと思います。“食品表示法第六条第八項に規定…”とありますので、食品表示法第六条第八項を確認してみたいと思います。
内閣総理大臣は、食品関連事業者等が、アレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項として内閣府令で定めるものについて食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をし、又は販売をしようとする場合において、消費者の生命又は身体に対する危害の発生又は拡大の防止を図るため緊急の必要があると認めるときは、当該食品関連事業者等に対し、食品の回収その他必要な措置をとるべきことを命じ、又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができる。
食品表示では名称、原材料名、添加物、原料原産地名と食品の種類によってもいろいろな表示事項がありますが、こちらの文章からも内閣府令で定められる事項が食品を安全に摂取するため重要な表示事項であることがわかると思います。消費者にとって食品表示はその商品についての大切な情報源ですので、食品表示の業務に携わる方は日々気を遣われていることと思います。
内閣府令の具体的な内容を見ていきたいと思います。内閣府令で食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項と定めるものは、次に掲げる事項及びこれを表示する際に食品関連事業者等が遵守すべき事項とされています。
一 名称
二 保存の方法
三 消費期限又は賞味期限
四 アレルゲン
五 L―フェニルアラニン化合物を含む旨
六 指定成分等含有食品に関する事項
七 特定保健用食品を摂取をする上での注意事項
八 機能性表示食品を摂取をする上での注意事項
九 次に掲げる食品にあっては、食品表示基準別表第十九の当該食品の項の中欄に掲げる表示事項のうちそれぞれ次に定めるもの
イ 食肉 処理を行った旨、飲食に供する際にその全体について十分な加熱を要する旨、一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがある旨及び子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い者は食肉の生食を控えるべき旨
ロ 食肉製品 非加熱食肉製品である旨
ハ 乳製品 飲食に供する際に加熱する旨
ニ 乳又は乳製品を主要原料とする食品 乳若しくは乳製品を原材料として含む旨、乳成分を原材料として含む旨又は主要原料である乳若しくは乳製品の種類別のうち少なくとも一つを含む旨
ホ 鶏の液卵 未殺菌である旨及び飲食に供する際に加熱殺菌を要する旨
ヘ 生かき 生食用であるかないかの別
ト ふぐを原材料とするふぐ加工品 生食用であるかないかの別
チ 冷凍食品 飲食に供する際に加熱を要するかどうかの別及び生食用であるかないかの別
十 次に掲げる食品にあっては、食品表示基準別表第十九の当該食品の項の中欄に掲げる表示事項
イ ゆでがに
ロ 容器包装に密封された常温で流通する食品のうち、水素イオン指数が四・六を超え、かつ、水分活性が〇・九四を超え、かつ、その中心部の温度を摂氏百二十度で四分間に満たない条件で加熱殺菌されたものであって、ボツリヌス菌を原因とする食中毒の発生を防止するために摂氏十度以下での保存を要するもの
十一 栄養機能食品を摂取をする上での注意事項
十二 次に掲げる食品にあっては、食品表示基準別表第二十四の当該食品の項の中欄に掲げる表示事項のうちそれぞれ次に定めるもの
イ シアン化合物を含有する豆類 アレルゲン及び使用の方法
ロ アボカド、あんず、おうとう、かんきつ類、キウィー、ざくろ、すもも、西洋なし、ネクタリン、パイナップル、バナナ、パパイヤ、ばれいしょ、びわ、マルメロ、マンゴー、もも及びりんご アレルゲン、保存の方法及び消費期限又は賞味期限
ハ 食肉 アレルゲン、保存の方法、消費期限又は賞味期限、処理を行った旨、飲食に供する際にその全体について十分な加熱を要する旨、一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがある旨及び子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い者は食肉の生食を控えるべき旨
ニ 鶏の殻付き卵 アレルゲン、保存の方法、賞味期限、使用の方法、摂氏十度以下で保存することが望ましい旨、賞味期限を経過した後は飲食に供する際に加熱殺菌を要する旨、加熱加工用である旨及び飲食に供する際に加熱殺菌を要する旨
ホ 切り身又はむき身にした魚介類であって、生食用のもの アレルゲン、保存の方法及び消費期限又は賞味期限
ヘ 切り身にしたふぐ、ふぐの精巣及びふぐの皮であって、生食用のもの アレルゲン、保存の方法、消費期限又は賞味期限及び生食用であるかないかの別
ト 冷凍食品のうち、切り身又はむき身にした魚介類を凍結させたもの アレルゲン、保存の方法、消費期限又は賞味期限及び生食用であるかないかの別
チ 生かき アレルゲン、保存の方法、消費期限又は賞味期限及び生食用であるかないかの別
十三 生乳、生山羊乳及び生めん羊乳にあっては、食品表示基準別表第二十四の生乳、生山羊乳及び生めん羊乳の項の中欄に掲げる表示事項
十四 容器包装に入れられた添加物にあっては、使用の方法及びL―フェニルアラニン化合物である旨又はこれを含む旨
十五 食品表示基準第四十条に規定する生食用牛肉の注意喚起表示に関する事項
※記載を一部省略していますので、取り扱われる製品に関連すると思われる事項については内閣府令よりご確認ください。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/food_labeling_cms101_200327_29.pdf
また、食品表示法の一部を改正する法律が施行されることに伴い、内閣府令で定める事項について食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をした場合において、当該食品を回収するときは行政機関への届け出が義務化されその情報は消費者に公表されることとなります。施行日は令和3年6月1日となっておりますので、原料原産地や栄養成分の強調表示など消費者の商品選択に資する情報も重要ですが、食品を安全に摂取するために重量な事項についても今一度確認されてはいかがでしょうか。
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