「食品表示基準について」「食品表示基準Q&A」が改正されました~アレルゲン表示推奨品目へのマカダミアナッツの追加、まつたけの削除等~

By | 2024年4月3日


 2024年3月28日、消費者庁は「食品表示基準について」「食品表示基準Q&A」の改正を発表しました。主な改正内容としては、アレルゲン表示推奨品目へのマカダミアナッツの追加と、まつたけの削除、その他となります。今回は、マカダミアナッツのアレルゲン表示推奨品目への追加について、詳細を以下に整理してみたいと思います。

「食品表示基準について」の主な改正点


 特定原材料に準ずるもの(表示推奨品目)に“マカダミアナッツ”が追加され、“まつたけ”が削除されました。品目数は20品目のまま変わりません。特定原材料等(義務表示含む全て)の品目数も、28品目のままです。

改正後(新) 改正前(旧)
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

別表1 特定原材料等の範囲

特定原材料等 分類番号(1) 分類番号(2) 大分類 中分類 小分類
マカダミアナッツ 69 8599 殻果類 その他の殻果類 他に分類されない殻果類

別表2 特定原材料等由来の添加物についての表示例

特定原材料に準ずるものの名称 区分 添加物名 特定原材料に準ずるものの表示 備考
マカダミアナッツ

別表3(特定原材料等の代替表記等方法リスト)

通知で定められた品目 代替表記 拡大表記(表記例)
表記方法や言葉が違うが、特定原材料に準ずるものと同一であるということが理解できる表記 特定原材料に準ずるものの名称又は代替表記を含んでいるため、これらを用いた食品であると理解できる表記例
マカダミアナッツ マカデミアナッツ  

「食品表示基準Q&A」の主な改正点


 マカダミアナッツの範囲に関するQ&A(D-18)が追加されました。

(D-18)特定原材料に準ずるものの「マカダミアナッツ」の範囲を教えてください。
(答)
 「マカダミアナッツ」は、日本標準商品分類において個別の殻果類として分類されておらず、「他に分類されない殻果類」に該当します。「マカダミアナッツ」はヤマモガシ科マカダミア属に属するもので、品種は主に、インテグリフォリア種、テトラフィラ種及びそのハイブリッド種があり、これらが対象となります。また、マカダミアナッツオイル、マカダミアナッツミルク等もアレルゲンとなるので注意が必要です。

 また表示対象範囲の情報提供について、Q&A(E-23)に追記がなされています。今回の改正では品目数が変わっていませんので、注意しておかれるとよいと思います。

(E-23)表示の対象範囲(表示義務のない特定原材料に準ずるものについても、表示対象としているかどうか等)について情報提供を行うべきですか。
(答)(中略)
 対象範囲について、特定原材料8品目のみを対象としているのか、特定原材料に準ずるものを含む28 品目を対象としているのかが明確となるように一括表示枠に近接した箇所に表示するよう努めてください。
 また、表示対象品目については、内閣府令や通知の改正に伴う経過措置期間等により、上記のような表示のみでは改正前後のいずれの品目を対象としているのか判然としないことも考えられます。表示対象としている品目の一覧やイラスト等から判断できる場合には問題ありませんが、そうでない場合には、いつ時点の内閣府令又は通知に基づく表示か判断できるような記載をすることも可能です。

今後について


 今回はアーモンドの追加(2019年9月)と同様に義務化ではないことから経過措置期間は示されておらず、可能な限り速やかに対応することになりますが、原材料規格書にて確認できることが前提となりますので、原材料供給をされる方は早めの対応が求められると思われます。また原材料に輸入食品が使用されている場合、海外では「Tree Nuts(木の実)」といった総称で管理されていることも多いため、くるみ、カシューナッツ、アーモンドに加え、マカダミアナッツは含まれるかどうか等、個別に確認する必要がある点に留意が必要です。
 表示切替の際は、上記Q&Aなども参考に、情報提供の方法について検討する機会にしていただければと思います。


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関連サービス

【国産食品(国内流通)】食品表示調査:配合表、製品規格書等をもとに、原材料名や栄養成分等の食品表示案との適合性を検証します。各方面からの原材料詳細や表示内容の確認などの対応業務をサポートします。新商品や改版の確認業務、膨大な規格書情報の確認業務にご利用いただいております。

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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
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・2023年12月21日 輸出食品における各国基準(添加物および食品表示等)調査と実務上のポイント
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