食品表示基準改正案およびカシューナッツ、ピスタチオについて

By | 2025年2月6日

 2025年4月施行予定の食品表示基準改正案が公表され、1月28日までに意見募集がなされました。また2025年1月21日の「第7回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議」において、カシューナッツの義務品目移行とピスタチオの推奨品目追加の方針の提案がなされました。


 食品表示基準改正案の概要は以下のとおりです。

(1) 栄養強化目的で使用した食品添加物に係る表示免除規定の削除
(2)栄養素等表示基準値等の改正
 <1>栄養素等表示基準値の改正
 <2>食物繊維の許容差の範囲の見直しと0と表示ができる量の規定の追加
 <3>ビタミンB群の測定及び算出の方法の改正
(3) 個別品目ごとの表示ルールの見直し

 (1)の改正により、原則全ての加工食品(これまで表示免除とされていたものを含む)に、栄養強化目的で使用した食品添加物の表示が必要となります。(2)<1>の改正では、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」を踏まえた基準値に見直し(および食塩相当量の追加)がなされ、これに伴い栄養強調表示の基準値(含む旨、高い旨、強化された旨)も改正されます(とりわけビタミンB12、ビタミンDは基準値が大幅に増えています)。
 そして(3)の改正では、個別品目ごとの「食品の定義」、「個別の表示ルール(名称、原材料名、添加物、内容量)」、「名称の規制」、「追加的な表示事項」、「表示の様式」及び「表示禁止事項」について見直しがされています。個別品目ごとの表示ルールの一部廃止および一部改正があったのはみそ、レトルトパウチ食品等の12品目、一部廃止されたのはマーガリン類の1品目、すべて廃止されたのは調理冷凍食品、即席めん等の7品目です。しょうゆ、ハム等の22品目については今年の見直しが予定されています。


 今後のスケジュール(施行と経過措置)は以下のとおりです。

施行予定 経過措置
(1) 第3条第1項、別表第4、24 2025年4月1日 5年間
(2) <1>別表第10、12 2025年4月1日 3年間
<2><3>別表第9 2025年4月1日
(3) 別表第3、4、5、19、20、22 2025年4月1日 5年間
上記のうち「調理冷凍食品」の改正 2026年4月1日 5年間

 パブリックコメントを受けた食品表示基準改正の修正案は、近く公表される見込みです。なお冒頭でお伝えしたアレルゲン表示の改正案ですが、2025年度内の実施が検討されています。ナッツ類の症例数が急増している背景など、会議資料の調査結果に目を通しておかれるとよいと思います。


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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
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・2023年11月9日 食品表示基準と実務上の大切なポイント~保健事項、衛生事項を中心に~
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