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オフィーリア

About オフィーリア

香港出身。主に原材料や添加物、表示案の調査業務のほか、食品規格、添加物、食品表示に関するコンサルティング業務に従事しています。
趣味は着物、旅行、フィルム撮影。

個別品目ごとの表示ルール見直しの検討が始まりました


 2024年5月29日に、「第1回 個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」(以下分科会)、6月18日に第2回分科会が開催されました。
 今回は公表される資料をもとに現在検討されている「個別品目ごとの表示ルール見直し」について整理してみたいと思います。

検討の背景


 令和5年度食品表示懇談会での議論に引き続き、国際基準との整合性も踏まえながら合理的で分かりやすい食品表示制度の在り方が検討されています。
令和6年度食品表示懇談会にて取り上げられる「個別品目ごとの表示ルール」については、1999年に横断的な表示基準が策定されてから本格的な見直しは行われていません。個別品目に定められる表示基準には役割が終了しているものもあると思われることから、品目ごとに関係する業界団体からヒアリングを実施し、ルールの要否及び改正の必要性について検討する方針です。

検討事項


 表示事項ごとに必要性、合理性を確認する予定です。具体的な検討内容を一部以下にまとめます。(詳細については分科会資料3をご参照ください。)

別表第3 食品の定義
  • 現在の状況、時代に沿ったものなのか
  • 定義が新商品等の開発の阻害になっていないか等
別表第4 個別の表示ルール
(名称、原材料名、添加物、内容量)
  • 規定される名称が実態にあっているのか
  • 原材料名の個別の表示ルールと横断的な基準の違い
  • 栄養強化目的で使用した添加物の表示
  • 内容量の表示単位等
別表第5 名称の規制
  • 前述「食品の定義」とセットで検討
別表第19 追加的な表示事項
  • 時代の変化による必要性の再確認等
別表第20 表示の様式
  • 表示箇所、書式等
  • 前述「追加的な表示事項」とセットで検討
別表第22 表示禁止事項
  • 個別の表示禁止事項が削除されると、商品ごとに横断的な表示禁止事項や景品表示法をもとに表示の適否を判断することとなるため、その合理性等

今後について


 食品表示基準を改正する際は、複数品目まとめて、ヒアリング等踏まえて改正案を作成し、パブリックコメントの実施、消費者委員会への諮問など所定の手続きを経て改正することとなります。
 検討状況等により、複数回ヒアリングすることが想定されますが、全ての品目について令和6~7年度の2年間で、一定の結論を得ることとされています。検討にさらなる時間が必要な場合は、検討時期を明確にした上で検討を継続することを想定しています。検討スケジュールイメージもご参考のうえ、今後の動向に注目していただくことをおすすめいたします。


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アレルゲン表示の今後について(推奨表示品目にマカダミアナッツの追加などを検討)


 消費者庁は2023年6月14日に第5回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議を開催しました。その会議資料において、今年3月におけるくるみの義務表示化に続いて、今後「特定原材料に準ずるもの」へ「マカダミアナッツの追加」および「まつたけの削除」の方針を公表しています。

推奨表示品目増減の背景


 2022年6月に公表された「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」(令和3年度(2021年度))と前回調査(平成30年度(2018年度))との比較により、マカダミアナッツが「特定原材料に準ずるもの」の候補とする要件の「直近2回の全国実態調査の結果において、即時型症例数で上位 20 品目に入っているもの」を満たしていることが確認されました。

 また、2019年に推奨表示品目に追加されたアーモンドの症例数比率と同程度の増加が確認され、消費者庁では現在、マカダミアナッツを推奨表示品目に追加することを見据え、8月末までマカダミアナッツを使用した加工食品に関する実態調査を行っています。

アレルゲン表示「義務、推奨」の比較

 3月におけるくるみの移行と異なり、マカダミアナッツは推奨表示品目として追加の検討です。アレルギー表示の義務、推奨の違いは、以下の通りまとめられています。

【「アレルゲンを含む食品に関する表示のうち、特定原材料に準ずるものの対象の考え方について」より一部抜粋】

(1)特定原材料
 食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかになった食品のうち、特に発症数、重篤度から勘案して表示する必要性の高い食品については、「食品表示法」に基づく「食品表示基準」において「特定原材料」として規定され、(中略)当該特定原材料を含む旨を表示しなければならないこととされており、(略)
 罰則の適用を伴う表示義務を課す場合には、その表示の適正性を確保するため、当局として監視可能性を確保できていることが必要となることから、特定原材料の指定に当たっては、公定検査法が確立されていることを前提としている。(略)

(2)特定原材料に準ずるもの
 (前略)症例数、重篤な症状を呈する者の数が継続して相当数みられるが、特定原材料に比べると症例数等が少ないものについては、「食品表示基準について」により「特定原材料に準ずるもの」と規定し、(中略)含む旨を可能な限り表示するよう食品関連事業者等に推奨している。
 食品関連事業者等の任意の取組を推奨する品目をできるだけ機動的に対象とする一方で、存置する必要性のない品目は削除するという追加・削除の考え方を整理し、食品関連事業者等及び消費者双方にとって予見性の高い仕組みにしていく必要がある。

コーデックスの基準改正動向


 また、第5回アドバイザー会議ではコーデックスにおけるアレルゲン表示の検討状況として、食品表示部会における改正方針の「ナッツの個別表示化」、「予防的(可能性)アレルゲン表示の閾値設定」などが議論されました。

 現段階においては修正案ではありますが、輸出を検討されている方は参考にご一読頂ければと思います。


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