12月に入り、2024年も残すところわずかとなりました。今年も食品表示制度に関する様々な改正がありましたが、国内の状況についてあらためて整理してみたいと思います。
2024年の改正状況について
今年公表された主な改正としては、アレルゲン表示の推奨品目への「マカダミアナッツ」の追加(と「まつたけ」の削除)をあげることができます。この改正に経過措置期間はありませんが、2023年3月に義務品目に追加された「くるみ」については経過措置期間があり、2025年3月31日までで終了します。そして現在、カシューナッツの表示義務品目への追加が検討されている状況です。「令和6年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書」において、カシューナッツのショック症例が大幅に増加しており、5番目に多い原因食物となったことが背景にあります。
2023年3月 | アレルゲン表示の義務品目に「くるみ」を追加 |
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2023年3月 | 「遺伝子組換えでない」表示基準改正の経過措置期間終了(2019年4月改正) |
2024年3月 | 食品添加物の不使用表示に関するガイドライン経過措置期間終了(2022年3月公表) |
2024年3月 | アレルゲン表示の推奨品目に「マカダミアナッツ」追加、「まつたけ」削除(経過措置期間なし) |
2025年3月 | 「くるみ」のアレルゲン表示義務化の経過措置期間終了 |
2025年~(検討中) | アレルゲン表示の義務品目に「カシューナッツ」を追加 |
その他の大きな変更としては、これまで厚生労働省が所管していた食品衛生基準行政(食品添加物の指定や、規格基準の策定など)が、2024年4月より消費者庁に移管されています。
検討中のテーマと今後の改正について
昨年から今年にかけて、いくつかの食品表示制度に関する検討会が開催されています。「個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」では、ベーコンやハム、炭酸飲料や果実飲料など個別品目ごとに定められている表示ルール(表示事項、表示方法、表示禁止事項等)について、横断的なルールに寄せる方向で検討がなされています。2025年3月までに改正案へのパブリックコメントが実施される予定です。「食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会」では、期限表示の設定に関する見直しのほか、「賞味期限が到来した食品で『まだ食べることができる食品』の取扱」についても検討がなされています。同じく2025年3月までに改正案が公表される予定です。
その他、「日本版包装前面栄養表示に関する検討会」では、諸外国の包装前面栄養表示制度を参考に、任意表示の方向で検討がなされています。「食品表示へのデジタルツール活用検討分科会」では、こちらも諸外国の取り組みを参考に、具体的な活用方法について検討がなされる予定です。そして今年1月に開催された「第3回令和5年度食品表示懇談会」では、「栄養強化目的で使用した添加物の表示について」も議事に上がりました。こちらは「原則全ての加工食品に表示する方向で検討」とされており、実態調査の実施のうえ改正案が作成される見込みです。
以上、今後の食品表示制度に関する改正状況について簡単にまとめてみましたが、とりわけ「カシューナッツ」、「個別品目ごとの表示ルール」、そして「栄養強化目的で使用した添加物の表示」については、実務上で大きな影響があるかと思われます。各改正について、いま一度確認をしていただく機会になればと思います。
【2024年12月19日追記】
令和6年度食品表示懇談会(12月13日開催)により栄養素等表示基準値の改正案(栄養強調表示の基準値も改正予定)が示され、今後パブリックコメントが予定されています。
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