Author Archives: 川合 裕之

川合 裕之

About 川合 裕之

食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

>> 寄稿の詳細はこちら

【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
 アヌーガ・セレクト・ジャパン様主催。
・2023年12月21日 輸出食品における各国基準(添加物および食品表示等)調査と実務上のポイント
 一般財団法人食品産業センター様主催。
・2023年11月9日 食品表示基準と実務上の大切なポイント~保健事項、衛生事項を中心に~
 千代田保健所様主催。
・2023年11月8日 添加物の不使用表示について
 株式会社インフォマート様主催。
・2023年10月12日~13日 海外輸出向け食品の表示(添加物、栄養成分等)について
 公益社団法人日本食品衛生学会様主催。

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新しい食品表示基準といろいろな強調表示

今月のコラムは、強調表示についてです。

ところでみなさんは、「糖類ゼロ」と「糖類不使用」の違いをご存知でしょうか?
一般消費者向けのコラムでよく見かけるテーマですが、製造の現場においても表示の切り替えに伴う混乱が少々みられるため、今回取り上げてみようと思います。

「糖類ゼロ」と「糖類不使用」


まずは基本の整理です。

「糖類ゼロ」は、製品に含まれる糖類の量が、一定の基準値未満である場合に表示できます。その基準値は、食品100gあたり0.5g未満(飲料の場合は100mlあたり0.5g未満)です。つまりその製品は、糖類を含んでいない(もしくはほぼ含んでいない)、という意味合いです。栄養成分分析をしても、糖類が検出されないか、基準値未満の結果となるものです。

「糖類不使用」は、製品の原材料として糖類を使用していない等の条件を満たす場合に表示できます。その製品は、糖類を使っていない、という意味合いです。つまり他の原材料に自然に含まれる糖類については、含まれる可能性があるということになります。例えば砂糖を使用しないでつくった果実飲料を分析しても、果実に含まれる糖類が検出されるでしょう。

新しい食品表示基準と強調表示


以上のように、「ゼロ」と「不使用」は異なります。

栄養成分に限らず、添加物やアレルゲンなどの原材料についても、同じことが言えます。特にアレルゲンは、特定の原材料を使用しないことが、特定の原材料が含まれないことを指すものではないため、「小麦フリー」や「小麦不使用」などの表示をする際には十分な注意が必要です。

ではなぜ改めて強調表示を取り上げているかの背景についてですが、新しい食品表示基準において、各強調表示(栄養強調、相対、無添加強調)の基準値やルールが変わっているためです。

まとめると、下記のようになります。

表1:強調表示の種類

栄養成分の補給ができる旨の表示できる旨の表示 栄養強調表示 多い 「高」、「多」、「豊富」、「たっぷり」等
含む 「入り」、「含有」、「供給」、「源」、「使用」、「添加」等
相対表示 強化 「○%アップ」、「○倍」等
栄養成分若しくは熱量の適切な摂取ができる旨の表示 栄養強調表示 低い 「低」、「控えめ」、「少」、「ライト」、「ダイエット」等
含まない 「無」、「ゼロ」、「ノン」、「フリー」等
相対表示 低減 「○%カット」、「○%減」、「○gオフ」等
糖類(またはナトリウム塩)を添加していない旨の表示 無添加強調表示 添加していない 「糖類無添加」、「砂糖不使用」、「食塩無添加」、「○○を使用していません」等

表2:強調表示の種類と変更点

栄養強調表示 相対表示 無添加強調表示
ルールには変更はないが、基準値に変更がある
・栄養強調表示の基準値の変更
・栄養機能食品の上限値、下限値の変更
ルールの一部に変更がある
・一部に25%以上の相対差の要件を追加
・一部に絶対差の計算方法の変更
ルール自体が新しく設置されている
・糖類またはナトリウム塩の無添加
・添加糖類または添加ナトリウム塩に代わる原材料の不使用
・食品の糖類含有量が原材料と添加物に含まれていた量を超えない

対応の基本は「原材料の管理」と「栄養成分の管理」


新しい食品表示基準のもとでは、「砂糖不使用」も「糖類を添加していない旨の表示」に該当します。

実際に砂糖を使用しない製品であっても、ジャムや濃縮果汁などを「添加糖類に代わる原材料」として使用している場合は、「砂糖不使用」と表示ができなくなることになります。レシピの変更があるときは、添加糖類に代わるものの使用の確認など、原材料の管理が重要と言えます。

また「糖類ゼロ」については旧基準からのルールや基準値の変更はありませんが、「糖類○%カット」など他製品と比較したうえでの表示を行う際は、相対差などルールに変更があるので注意が必要です。そしてこうした強調表示を行う際は、定期的な製品分析の実施などの管理が大切だと言えます。

なお、糖質については強調表示の基準値の規定がないため、事業者の責任で表示が可能です。「糖質ゼロ」であれば、食品の質量からたんぱく質、脂質、食物繊維、灰分及び水分量を除いて算出した結果が、0もしくは負の数値であれば糖質含量を0とできます。(食品表示基準施行通知より)無添加についても、規定がないため、事実であれば表示可能です。(食品表示基準Q&Aより)

何かを使用しない、もしくは含まないといった表示は商品の差別化にもなるものですが、表示の規則によることはもちろん、それ以上に原材料や栄養成分の情報管理をしっかり行うことが大切だと思います。 


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アレルゲンフリーの表示について

 「アレルゲンフリー(小麦・卵・乳成分)」といった表示をみて消費者が受ける第一印象は、「小麦・卵・乳成分のアレルギーは含まれていない」といったものではないかと思います。

 しかし実際には、「原材料として小麦、卵、乳成分を使わずにこの商品をつくりました」といったことであれば、受ける印象も変わってきます。

 つまり、「フリー」と「不使用」は異なるということです。「ある特定原材料(アレルゲン)を使用せずに作りました」といった表示については、食品表示基準Q&Aに、参考になる記載があります。

(E-25)特定の特定原材料等を使用していない旨の表示があれば、当該特定原材料等が含まれていないと考えてよいですか。
(答)
 「使用していない」旨の表示は、必ずしも「含んでいない」ことを意味するものではありません。これは、表示をする者が、特定原材料等の使用の有無について、製造記録などにより適切に確認したことを意味するものです。
 例えば、一般に「ケーキ」には「小麦粉(特定原材料)」を使用していますが、「小麦粉」を使用しないで「ケーキ」を製造した場合であって、それが製造記録などにより適切に確認された場合に、「本品は小麦(粉)を使っていません」と表示することができます。しかし、このような場合であっても、同一の調理施設で小麦粉を使ったケーキを製造していた場合、コンタミネーションしている場合がありますので、この表示をもって、小麦が製品に含まれる可能性を否定するものではありません。
 このため、「使用していない」旨の表示をする場合は、コンタミネーションの防止対策の徹底も図るなど、できる限り、アレルゲンの混入を防止するよう努めてください。

 では、こうした混入防止対策をしたうえで、「特定原材料は含まれていません」、といった意味で「アレルゲンフリー」と表示したい場合はどうすればいいのでしょうか。

 参考として、「アレルゲン除去食品」という、消費者庁より許可を受けた場合にのみ表示ができる食品があります。「特定の検査方法により、特定のアレルゲンが検出限界以下である」などの基準があることが1つの目安です。そして加工食品中の特定原材料等の総タンパク量が数μg/g未満の場合、アレルギー表示の必要性がないとされていることも、基準値として目安になるかと思います(食品表示基準Q&A C-3)。

 フリーと表示する際には、まずは配合や製造工程など、コンタミネーション(混入)の防止対策が徹底されているかを確認します。そして自社商品に表示したい特定原材料について、検査します。小麦・卵・乳成分と表示したい場合は、それらの項目についての検査結果がすべて検出限界以下であることを確認してから出荷するなど、品質保証を強化することが求められるでしょう。ついで、こうした許可のある食品と誤認させるような表示をしないよう、注意することが必要です。「除去」といった用語は使用せず、「アレルゲンを使わない」「持ち込まない」の表示をする商品がみられます。

 これらの対応をしたうえでも、やはり大切なのは、市販後の定期的な分析の継続だと思います。
以上のように製造面ではいろいろな課題はあるのですが、アレルギーに配慮した食品が増えることは歓迎されるものですので、こうした確認を1つ1つ積み上げることも大切な仕事ではないかと思います。


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外食メニューと不当表示について

不当表示

今回のコラムテーマは、「外食」のメニュー名と、不当表示についてです。

2年前の2013年秋にメニュー名の不当表示問題が起きた後、消費者庁は表示適正化に向けた会議、意見交換会を行い、翌2014年春には「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」を発表しました。別の流れではありますが、同じく2014年春から外食のアレルゲン表示に関する検討会が消費者庁で開かれ、同2014年末には「外食等におけるアレルゲン情報の提供の在り方検討会中間報告」が発表されています。 その後2015年4月に食品表示基準が施行されました。

外食の食品表示に対する関心が高まっているのは、ここ2年間の背景があるからではと思いますので、まずは適正化のきっかけとなったと思われる、外食と食品表示、とりわけ不当表示についてまとめてみたいと思います。

不当表示の基本


みなさんもご存じのとおり、次のような表示が不適切とされていたと思います。

  「牛の成形肉のメニューに『ステーキ』と表示すること」
  「有機野菜を一部使用したメニューに(一部使用とは表示せず)『有機野菜』と表示すること」

「実際よりも著しく優良と誤認させる表示である」として不当表示とされるのですが、詳細な事例については消費者庁が「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」にまとめてあります。ここでは、その基本的な考え方をお伝えしようと、まとめてみました。

1: 表示と実際とが異なること。
2: 表示と実際とが異なることを一般消費者が知っていれば、そのメニューに惹きつけられないこと。

そして「1: 表示と実際とが異なること」は、「モノが異なる」「量が異なる」の2つに分けて考えることができます。先ほどの例でいえば、次のようになります。

・牛の成形肉は、ステーキではない(モノが異なる)
・有機野菜は、そのメニューの一部にしか使われていない(量が異なる)

食品表示の仕事をすると、その表示方法は正しいかといった視点も必要なのですが、「表示と実際とが適切に対応しているか」といった視点がより大切であると言えます。

ここでは「表示と実際とが適切に対応しているか」の視点に対し、モノと量の2種類の考え方をあげましたが、次に外食メニューの不当表示問題で出てきたキーワードに当てはめてみます。

モノの視点「それは○○と呼べるものか?」
 ・ 定義や規格があるもの(例:銘柄、産地、契約農家、海老、ステーキ、生クリーム、地鶏、有機等)
 ・ 客観的な根拠が必要なもの(例:フレッシュ、手作り、自家製、朝獲り等)

量の視点「それはどの程度であるか?」
 ・ 使用したメニューの割合(例:表示した産地、有機等の原材料を使用したメニューが一部である)
 ・ 原材料中の使用割合(例:同種類の原材料のうち、表示した産地、有機等の原材料が一部である)

といった具合です。加工食品の場合には、「メニュー」を「製品」と置き換えて読んでみてください。

不当表示を起こさないために


最後に、不当表示を起こさないため、予防するために3つのポイントにまとめてみました。

 1.必要性を認識すること
 2.ルールを知ること
 3.実態を把握すること

最も難しいのは、継続性が重要になる3番目の「実態を把握すること」です。それには、1番目で必要性を認識する、といった指導者レベルからの取り組みが必要となります。

基本的な対策は食品表示のそれと同じですが、やはり自社業務にとって「仕入原材料のチェックに必要な視点」を設定することかと思います。その対策などで、不当表示を起こさない仕組みはある程度できあがると思われますので、まだ取り組んでいない方はご検討ください。

なお、外食でのアレルゲン表示は、不当表示対策と比較にならないほど高い管理レベルを求められます。メニュー別に原材料規格書を集めて管理すること、そして最終メニューの規格書(配合表)を管理することは加工食品と同じなのですが、計画生産である加工食品と異なり、注文生産である外食ならではの管理(実態を把握すること)の難しさがあります。

とはいえ、外食は店舗の雰囲気そのものを楽しめるなど、娯楽の1つでもあると言えるでしょう。その店舗も規模も大小様々ですし、不当表示は起こさないことは大前提として、アレルゲン表示などそれ以上の利便性の提供については、できることから始めるといった考え方からでよいのでは、と思います。

参考:メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/140328premiums_5.pdf


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新しい食品表示基準、施行から半年が経ちました

2015年4月1日に新しい食品表示基準が施行されてから、ちょうど半年が経ちました。今回のコラムは、業務を通じて感じたこの半年間の印象について書いてみたいと思います。

新基準への切り替えの時期


この半年の間に、新基準での表示にさっそく切り替えるケースは想定より多くあったと思います。その多くは、自社で製造工場をもち、なおかつ栄養成分表示をされてきた方が中心です。取り扱う食品の種類がある程度限られており、改版計画をコントロールしやすいことも、切り替え時期の早さに関係があるのではと思います。栄養成分表示は、これまで表示がなかった場合は準備に時間がかかるため、1つのハードルになっていると感じます。

次いで、取り扱う食品の種類が多い場合ですが、やはり情報管理の問題で社内での表示確認マニュアル等の改版が必要となるなど、半年間はその整備にかけているといったケースもよく見られます。また同一商品を複数の製造工場で製造されている場合は、来年4月以降に新しい製造所固有記号を申請し、その後の夏?秋口から切り替え開始、という計画を予定されているケースも多いと思います。

そして、5年間の猶予期間のどこで切り替えるか、現時点で計画が立てられていないケースもあります。ひとつの原因は先と同じく製造所固有記号ですが、事情は異なり、新基準のもとでは製造所固有記号を使用できなくなる場合などがそうです。また、新基準のもとでは「糖類無添加」等の強調表示や、栄養機能表示ができなくなる、といった基準変更の影響を受ける商品についても同様に、切り替え時期未定のケースが多いと感じます。

添加物やアレルギーの表示方法


新基準では、添加物は事項欄を設ける方式と、原材料名欄の中で区分する方式と大きく2種類の表示方法が認められるようになりましたが、いろいろな商品を見ていると多いのは後者の方式(特に「/」等記号での区分)です。これは、文字数を減らせるメリットもあるほか、「添加物」という文字が与えるマイナスイメージを心配する事業者と、また添加物そのものに対してよい印象をもっていない消費者と、双方の考え方も背景にあるからでは、と思います。後者の方法でも、記号以降は添加物であることが一目でわかりますので、添加物不使用を過度に強調するなどして、本来必要な添加物まで使用せず健康被害を拡大してしまうことにならないよう、事業者側は慎重に考える必要があると思います。

アレルギーの表示方法については、一括表示の方式では繰り返しの省略ができなくなったことから、原材料数の少ない食品を中心に、以前よりも個別表示の方式が増えているように感じています。ただ、原材料数の多い食品でよく使用される一括表示をみてみると、繰り返しの省略ができなくなったことで、かえって一覧性が高まって見えることがよくあります。原則は個別表示とのことなのですが、商品によってどちらの方式がより分かりやすいかを考えることも大切なのではないかと思います。

今後について


この半年間でいくつか講演などで話す機会がありましたが、話題に上りやすいテーマは「製造所固有記号」と「機能性表示」ではないかと思います。食品表示の実務担当者よりは、商品開発や事業計画に携わる人にとって、大きな影響があると感じています。どちらも不明確な段階にあるといった共通点がありますが、今後の事業者、消費者の反応次第で、よい結果になっていくことができれば、と思います。


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新しい食品表示基準での製造所固有記号

今回のコラムは、2015年4月1日に施行された新しい食品表示基準のうち、同時に施行されなかった「製造所固有記号」に関する表示についてです。製造所固有記号のデータベースの構築期間が必要であることから、運用は1年後(来年2016年4月1日)からとなりますが、そのために新基準との混在も例外的に認められています。

新旧混在と経過措置期間


前回までのコラムでお伝えしたように、新しい食品表示基準への移行作業では、新基準と旧基準が混在していないかを確認することが求められます。「食品表示基準について(施行通知)」において、「原則として、1つの食品の表示の中での食品表示基準と旧基準の両者に基づいた表示の混在は認めないこととする」とされているためです。その直後に、「ただし、製造所固有記号の表示については以下のとおりとする」と続きます。

1:データベースの運用を開始するまでは、製造所固有記号については旧基準に基づいた表示が許容される

2:運用開始後に届出をした事業者は、手続が完了するまでの間、旧基準の製造所固有記号の使用が認められる

3:経過措置期間終了までの間、食品表示基準(新基準)のもとで製造所固有記号を使用できない商品に限り、製造所固有記号については旧基準に基づいた表示をすることが許容される

製造所固有記号のルールの変更について


新基準では、製造所固有記号のルールが変更されています。
「同一製品を2以上の製造所で製造している場合」に限り使用が認められることに変更されているため、この要件を満たさない場合は、製造所固有記号が使用できなくなりますので、経過措置期間終了後の混在に注意が必要です。また今後、製造所固有記号を使用する場合は、下記のうちいずれかの表示をすることが求められます。

1:製造所所在地等の情報提供を求められたときに回答する者の連絡先

2:製造所所在地等を表示したWebサイトのアドレス等

3:当該製品の製造を行っている全ての製造所所在地等

製造所とは?


製造所固有記号が使用できる要件となる「同一製品を2以上の製造所で製造している場合」についてですが、このなかで「製造所とは?」について確認しておくことも大切かと思います。食品表示基準では、製造所についてこのように定義しています。

 

製造所… 食品の製造が行われた場所
製造 … 当該食品に関し、最終的に衛生状態を変化させる製造に限る
(参照:食品表示基準P.19(加工食品))

また、「製造」行為の考え方は食品表示基準Q&Aに「その原料として使用したものとは本質的に異なる新たな物を作り出すこと」と詳しく記載されています。
(参照:Q&A総則-14)

製造行為には、一つの独立した食品とみなせる「詰め合わせ」も該当し、カップ麺や赤飯セットなど全体を一つの食品とみなし外装に一括表示する場合、この詰め合わせ行為は製造行為とみなされます。
(参照:Q&A加工-243)

製造者の定義について再確認を


食品衛生法、JAS法でそれぞれ使用されていた用語は食品表示法で一元化され、その定義も統一されています。その1つが「製造者」「加工者」などの表示ですので、主に「Q&A(総則ー16、加工-109?120)」を見ながら再確認されるとよいでしょう。

また製造所や加工所の表示方法について市販の事例を参考にしたいけど、新基準での商品をみつける機会がないといった場合は、機能性表示食品(新基準のみ)の届出情報を見るのも1つの参考事例になります。今後も製造所固有記号を使用できる見込みがある場合は、運用が始まるまでの間にこうした規則の再確認など進めることで、表示ミスの防止について考えることが大切かと思います。

            

【参考】食品表示基準、Q&A(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/index18.html


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地理的表示「GIマーク」の運用が始まりました。

2015年6月より運用が開始され、7月17日に最初の登録申請内容が公示されました。
第1号は「夕張メロン」です。
このGI マークは「地理的表示保護制度」によるもので、農林水産省への申請と審査により登録された地理的表示に対し、その基準を満たす商品(生鮮食品、加工食品を想定)にマークを使用できるものです。

「地理的表示保護制度(GI)」の大枠


(出典:地理的表示及びGI マーク の表示について(農林水産省))
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/gi_mark/index.html

「地理的表示保護制度(GI)」の大枠は下記の通りです。

1.「地理的表示」を生産地や品質等の基準とともに登録。
⇒産品の品質について国が「お墨付き」を与える。

2.基準を満たすものに「地理的表示」の使用を認め、GI マークを付す。
⇒品質を守るもののみが市場に流通。GI マークにより、他の産品との差別化が図られる。

3.不正な地理的表示の使用は行政が取り締まり。
⇒訴訟等の負担なく、自分たちのブランドを守ることが可能。

4.生産者は、登録された団体への加入等により、「地理的表示」を使用可。
⇒地域共有の財産として、地域の生産者全体が使用可能。

(出典:地理的表示保護制度(GI)(農林水産省)より引用)

やはり「3」の取り締まりがあること、そしてその対象はGI マークだけでなく「表示」まで含まれることで、登録された地域ブランドの保護の実効性が高められている点がポイントかと思います。GI マークについては複数国で商標出願・申請しているため、海外に輸出される商品も取り締まりの対象となるとのことで、将来的には有機(JAS)マークのような相互保護の枠組みづくりが進むのではと思われます。ちなみにEU では、ハムやチーズなどで地理的表示保護(GI)マークのある製品がよくみられるようですので、 一度旅行の際に観察されると参考になるのではと思います。登録を受けた場合は9 万円の登録免許税が必要ですが、一旦登録されると登録が取り消されない限りは存続し更新等の手続は不要ですので、多くの地域産品が申請するのではと思われます。気になる「生産地」の範囲ですが、 地域産品と品質等の特性と「結び付き」が認められれば、生産地に含めることが可能とのことですので、 詳しくは農林水産省のホームページをご確認ください。

また注意点ですが、ある地理的表示が登録を受けた場合、下記の表示はできなくなります。

      1: 登録を受けた地理的表示と同一の表示
      2: 登録を受けた地理的表示と類似する表示

つまり「夕張メロン」が登録された場合は、その基準を満たさないものに「夕張メロン」もしくは類似の表示をしてはいけない、 ということになります(当たり前のことではあるのですが…)。これにより、「生産量よりも流通量が数倍多い」といった課題の解決策の1 つとなるのではと思いますし、また同時に食品表示の実務担当者にとっては「特色のある原材料(食品表示基準)」の判断基準が1 つ増えることにもなりますので、これまでよりも食品表示確認の作業工程が一部明確になるという点で、詳しく知っておきたい制度の1 つであると言えると思います。

【参考】地理的表示保護制度(GI)(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/index.html


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新しい食品表示基準での栄養成分表示

今回のコラムテーマは、「栄養成分表示」です。
実務担当者にとっては、分析値を用いる場合は検査担当者(もしくは外部検査機関)と、強調表示をする場合は商品開発担当者とそれぞれ密接に関わることから、なかなか自己完結のしにくい仕事の1つかと思います。まずは義務化の対象と、新基準に伴う変更点を整理してみます。

「栄養成分表示」が省略できる条件


新基準においては、原則として全ての消費者向けの加工食品と添加物を対象に、栄養成分表示が義務付けられます。そして対象となる食品であっても、省略できる条件が規定されています。それが下記の条件です。

  • 表示可能面積が30cm2以下のもの
  • 酒類、栄養の供給源としての寄与の程度が小さいもの、
  • 極めて短い期間で原材料が変更されるもの、
  • 消費税法第9条に規定する小規模事業者(課税売上高1,000万円以下)が販売するもの

旧基準からの主な変更点

  • ナトリウムを食塩相当量で表示(ナトリウム塩を添加していない食品にのみナトリウムの量を併記可)
  • 任意項目は飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、食物繊維、 糖類、糖質、コレステロール、ビタミン・ミネラル類、(うち飽和脂肪酸、食物繊維については積極的な表示を推奨)
  • 栄養成分表示の対象成分を明確に規定

そして実際の表示例は「例1」のようになります。
「ナトリウム」が「食塩相当量」に変わっているだけのように見えますが、任意表示の幅が広がっています。

(例1)

栄養成分表示

食品単位当たり

熱量  kcal
たんぱく質 g
脂質 g
炭水化物 g
食塩相当量 g

例えば「砂糖不使用」を強調(糖分は原料由来のみ)する表示をしながら、推奨される栄養成分も表示した場合は「例2」のような表示例となります。
※ 「砂糖不使用」の記載をした場合「糖類」の記載は任意ではなく必須となります。

(例2)

栄養成分表示

食品単位当たり

熱量  kcal
たんぱく質 g
脂質 g
 -飽和脂肪酸 g
 -n-3系脂肪酸 g
 -n-6系脂肪酸 g
コレステロール mg
炭水化物 g
 -糖質 g
  -糖類 g
 -食物繊維 g
食塩相当量 g
ショ糖 g

詳細な変更点の例


また、詳細な変更点の例はこちらです。

・糖質及び食物繊維の表示をもって炭水化物の表示に代えることはできません。
・様式は「栄養成分表示」と表示(「栄養成分値」、「標準栄養成分」等ではなく)。
・当該食品単位が一食分である場合にあっては、当該一食分の量を併記。
・栄養成分の内訳を記載する場合は、上位の表示より1字下げる。「?(ハイフン)」は省略可能。

上記の例では「砂糖不使用(糖分は原料由来のみ)」と強調表示をした場合ですが、旧基準では枠内に記載していた「ショ糖」を新基準では枠外に記載します。これは栄養成分表示の対象成分を明確に規定されたことによるもので、β- カロテンなども枠外への記載になります。

新しく必要になる食塩相当量は、ナトリウムの量に2.54を乗じて求めた計算値が使用できます(また外部機関で分析をする際の換算係数も2.54に変更されています)。また、栄養素等表示基準値や強調に関わる基準値も変更されていることから、栄養機能食品や強調表示をしてきた商品の表示を新基準に移行する際には、再度、基準値の確認が必要になります。

表示方法を間違わないことも大切ですが、表示と実際との整合性をもつことはより大切です。新基準移行に伴う実際の食品表示業務では、原材料に関する規格書の整備のほかに、栄養成分に関する分析値や計算値の根拠資料の整備など、情報管理体制について検討する機会になるのではと思います。

            

【参考】食品表示基準、Q&A(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/index18.html


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新しい食品表示基準でのアレルギー表示

201507

今回のコラムテーマは、「アレルギー表示」です。
食品表示と規格書管理に関わる実務担当者にとって、アレルギー表示は重要管理点の1つかと思います。
その表示方法がやはり新しい食品表示基準でも変更されていますので、そのポイントを整理してみたいと思います。

まず、主な変更点は下記3 点です。
1. 特定加工食品及びその拡大表記の廃止
2. 個別表示を原則とし、一括表示は例外的に可能
3. 一括表示の場合はアレルゲンを全て表示

そして実際の表示例はこのようになります。

【新基準(個別表示)】

原材料名 小麦粉、コーン、マヨネーズ(卵を含む)、マーガリン、砂糖、脱脂粉乳、食塩、パン酵母
添加物 酸化防止剤(V.E)、香料、乳化剤(大豆由来)、イーストフード、V.C

【新基準(一括表示)】

原材料名 小麦粉、コーン、マヨネーズ、マーガリン、砂糖、脱脂粉乳、食塩、パン酵母、(一部に卵・小麦・乳成分を含む)
添加物 酸化防止剤(V.E)、香料、乳化剤、イーストフード、V.C、(一部に大豆を含む)

変更点1 で廃止された例はマヨネーズです。
変更点3 は、一括表示の事例の原材料に小麦粉の表示があるところを、繰り返しの省略ができないために末尾に「小麦を含む」としている点です
(その他、「一部に?」の表示方法や「・」での接続方法など細かい変更もあります)。
また新基準の一括表示の事例では、添加物の事項欄を設けていますが、これを原材料欄にまとめることもできます。

【新基準(一括表示× 添加物事項欄なし)】

原材料名 小麦粉、コーン、マヨネーズ、マーガリン、砂糖、脱脂粉乳、食塩、パン酵母 / 酸化防止剤(V.E)、香料、乳化剤、イーストフード、V.C、(一部に卵・小麦・乳成分・大豆を含む)

これに添加物の事項欄を設けずに個別表示するパターンを加えると、大きく4 通りの表示方法が存在することになります。
こうしてみると3 番目の「一括表示× 添加物事項欄なし」が表示上も管理上もシンプルに見えますが、
ここで変更点2「個別表示を原則とする」に注意が必要です。Q&A には「個別表示により難い場合や個別表示がなじまない場合」には一括表示が可能とされ、いくつか例示がされていますので、確認してみてください。
(例示の一部:「個別表示よりも一括表示の方が文字数を減らせる場合であって、表示面積に限りがあり、一括表示でないと表示が困難な場合」)

新基準と旧基準の混在を防ぐ目的で、これらの表示方法を社内で統一されるケースもあると思います。
ただ、仕入れ商品を扱う場合は表示方法のコントロールは難しいので、まずはこれらの表示方法の組み合わせがあるということを知っておくことも、確認ミスを減らすために有効ではないかと思います。
なお、複数の部材からなる食品(例:別添スープ、具)など、添加物の事項欄を設けたほうがかえって読みやすくなるケースもあるかと思いますので、混在などの確認ミスを減らすことも大切ではありますが、商品特性によってどの表示方法が最も分かりやすいかを考えることが、より大切であるといえるでしょう。 
           

【参考】食品表示基準、Q&A(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/index18.html


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6月より販売が始まった機能性表示食品

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機能性表示食品の制度が始まって2ヶ月。ようやく、売場に届出商品が並ぶようになりました。 届出情報も公開されていますが、一般消費者にとっては分かりにくい、などニュースでも何度か目にされているかと思います。

現在の届出情報公開商品数:44 品
うちサプリメント:24 品
うち加工食品:19 品
(うち飲料:19 品)
うち生鮮食品:0 品

(2015年6月25日更新資料より)

今回は、その機能性表示食品を開発し販売する方向けに、簡単に内容をまとめてみたいと思います。

現状、届出情報が公開されている商品点数は44点で、 半数以上がサプリメント形状(錠剤、カプセル、粉末、ドリンク)であり、加工食品に分類されている商品はすべてが飲料です(酢を含む)。 つまりほとんどが特定保健用食品で販売されている商品の形状と似ている、というのが現時点での状況です。

このコラムの読者の多くである、菓子や加工食品を製造、販売、また輸入される方、農水産物や畜産物を加工される方が期待している生鮮食品や、地方名産のお土産品など加工食品などでの機能性表示 食品は、今のところまだありませんが、今後少しずつ増えるのではと思います。

「機能性表示」とは、なんらか体によさそうな表示のことですが、具体的な表現が必要になります。
× 「魚を食べると頭がよくなる」
○ 「 ( 試験の結果、本品は)(魚に含まれる)DHA( を1 日250mg 摂取すること)によって、正常な脳機能の維持に役立ちます」(EUの例)

機能性表示には、試験結果などの科学的根拠が必要です。試験の結果や論文をもとに、具体的な表現ができるということになります。下記は実際の国内の届出事例ですが、それぞれ最終製品での臨床試験によるものと、関与成分の研究レビューを科学的根拠としています。

「本品にはルテイン・アスタキサンチン・シアニジン-3- グルコシド・DHA が含まれるので、手元のピント調節機能を助けると共に、 目の使用による肩・首筋への負担を和らげます。」
「本品にはL?テアニンが含まれています。L?テアニンには夜間の健やかな眠りをサポートすることが報告されています。」

特定保健用食品で表示される機能よりも、幅が広がっていること、より詳細な内容の表示がされていること、などが見て取ることができます。このように、「うちの商品も機能性を表示しよう」と思った際は、「関与成分」「摂取量」「機能」が記載された試験結果などの論文が必要になります。

論文などの科学的根拠を用意できる場合、ここで重要になるのが、「同等性」です。 試験で使用された成分と量など、製品で使用されるものと同じ有効性と安全性をもっているかを確認することです。 量については含有量と製品での分析により確認しやすいのですが、難しいのが「成分」が同一であることを示すことです。 そのため、届出資料にも同等性についての考察が記載されています。公的な規格との一致から、パターン分析の結果による相同率まで、様々な方法によりますが、多いのは下記の視点での考察となります。

・試験で使用された形状(崩壊性など)は同じであるか
・試験で使用された成分と由来が同じであるか
・試験で使用された成分と配合(処方)は同じであるか
・試験で使用された試験食品と製造工程が同じであるか
・製品への配合の用途により試験で使用された成分から変質していないか
・試験で使用された成分と同じ分析方法で定量できるか
・その成分は製品中でも安定して存在するか(経時劣化はないか)

ここまでは、「論文と製品」間の同等性となりますが、今後、生鮮食品や加工食品のうち調理を必要とする商品が届出されると、 今度は「製品と摂取時」間の同等性についても考察が記載されるのではと思います。お客様でされる調理の内、例えば、水洗いの方法や、 茹で汁の扱いなど、成分減少が考えられるケースがあった場合、注意点を一般向けの資料に記載するなどが考えられます。 そのような商品が増えてきてからが、この機能性表示制度がもたらす新しい側面が始まるのではないかと思います。

【参考】消費者庁 機能性表示食品に関する情報
http://www.caa.go.jp/foods/index23.html

 


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新しい食品表示基準での無添加強調表示

2015年4月1日より新しい食品表示基準が施行されました。
「食品表示基準の概要」では、大きく10項目の変更点が記載されていますが、そのなかでまったく新しい規則が新設されたものがあります。それが、「無添加強調表示」です。

「食品への糖類無添加に関する強調表示及び食品へのナトリウム塩無添加に関する強調表示(食塩無添加表示を含む)は、それぞれ、一定の条件が満たされた場合にのみ行うことができる。」(『食品表示基準の概要』より)

新基準では、以下の条件が新しく規定されます。

「糖類無添加」「砂糖不使用」等


1 いかなる糖類も添加されていないこと。
2 糖類(添加されたものに限る)に代わる原材料(複合原材料を含む)又は添加物を使用していないこと。
例)ジャム、ゼリー、甘味の付いたチョコレート、甘味の付いた果実片、非還元濃縮果汁、乾燥果実ペースト等
3 酵素分解その他何らかの方法により、当該食品の糖類含有量が原材料及び添加物に含まれていた量を超えていないこと。
4 当該食品の百グラム若しくは百ミリリットル又は一食分、一包装その他の一単位当たりの糖類の含有量を表示していること。

「食塩無添加」等


1 いかなるナトリウム塩も添加されていないこと(ただし、食塩以外のナトリウム塩を技術的目的で添加する場合であって、
当該食品に含まれるナトリウムの量が別表第十三の第三欄に定める基準値以下であるときは、この限りでない)。
2 ナトリウム塩(添加されたものに限る)に代わる原材料(複合原材料を含む)又は添加物を使用していないこと。
例)ウスターソース、ピクルス、ペパローニ、しょう油、塩蔵魚、フィッシュソース等


1つの食品での新旧両方の基準に基づく表示の混在は認められていません。
つまり、これまでの旧基準のもとでは「糖類不使用」と表示していた商品について、原材料名などを新基準に合わせて表示を変更する場合、「糖類不使用」と表示できなくなることもあると思われます。

その他、「砂糖不使用」などの表示の際には「糖類」の表示が必要になりますが、任意で「ショ糖」を記載する場合は、旧基準では枠内だったところを新基準では『枠外』に記載することに変更されていますので、あわせて注意が必要です。なお、「着色料無添加」「遺伝子組換え不使用」などについての条件は旧基準のものと変わりません。

添加物については、同種製品での使用状況の考慮やキャリーオーバーなどへの注意が、遺伝子組換えについては、全ての原材料について分別生産流通管理が行われているなどへの注意がそれぞれ必要です。

新基準への移行作業は、短期間に膨大な情報を扱うことになります。アレルギーなど原材料の確認、無添加・不使用などパッケージ表示との整合性など、規格書管理を中心に情報管理体制の整備をすることが大切であると言えるでしょう。

            

【参考】食品表示基準、Q&A(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/index18.html


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