Author Archives: 川合 裕之

About 川合 裕之

食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

>> 寄稿の詳細はこちら

【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
・2025年1月28日 加工食品の各国の表示作成実務における留意点について
 一般財団法人食品産業センター様主催。
・2025年1月23日 日本の食品表示制度の改正状況~まとめと今後について
 株式会社ウェルネスニュースグループ様主催。
・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
 アヌーガ・セレクト・ジャパン様主催。
・2023年12月21日 輸出食品における各国基準(添加物および食品表示等)調査と実務上のポイント
 一般財団法人食品産業センター様主催。
・2023年11月9日 食品表示基準と実務上の大切なポイント~保健事項、衛生事項を中心に~
 千代田保健所様主催。

>> 講演・セミナーの詳細はこちら

加工食品の原料原産地表示の拡大について9 ~「新たな原料原産地表示制度」のQ&Aが更新されました~

 2017年9月1日に食品表示基準が改正され、「新たな原料原産地表示制度」が始まりました。その際に食品表示基準Q&Aも第3次改正が行われ、「新たな原料原産地表示制度」のページが追加されています。
 2017年3月27日にパブリックコメントの受付が始まった際、Q&A形式の資料である「新たな原料原産地表示制度に係る考え方(補足資料)」が公表されていましたが、今回の食品表示基準Q&Aの第3次改正において「新たな原料原産地表示制度」ページの追加によって更新された内容がありますので、こちらで整理したいと思います。

目次からみる更新内容


 以前に公表された「新たな原料原産地表示制度に係る考え方(補足資料)」の目次と、食品表示基準Q&A第3次改正で追加された「新たな原料原産地表示制度」の目次の質問項目から比較しました。

2017年3月27日 新たな原料原産地表示制度に係る考え方(補足資料)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000156620

2017年9月1日 食品表示基準Q&A 別添 新たな原料原産地表示制度
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/foods_index_18_170901_0014.pdf

 追加された質問項目は34項目ありますので、以下に列挙したいと思います。

追加された質問項目


Ⅰ 表示対象

(原原-3)酒類も原料原産地表示の対象になりますか。対象である場合、原料原産地表示の対象となる原材料とはどのようなものですか。
(原原-4)いわゆる「冠表示」の原材料も原料原産地表示の対象になりますか。
(原原-5)水も原料原産地表示の対象になりますか。
(原原-7)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の1の三の規定に基づき、複合原材料(2種類以上の原材料からなる原材料)を、単に混合しただけなど、原材料の性状に大きな変化がないことから、原材料名欄で分割して表示している場合、どの原材料の原産地を表示すればよいですか。
(原原-8)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の1の三の規定に基づき、複合原材料(2種類以上の原材料からなる原材料)を、単に混合しただけなど、原材料の性状に大きな変化がないことから、原材料名欄で分割した後、製品中に含まれる複数の同一原材料を合算して表示している場合、原材料の原産地はどのように考えればよいですか。
(原原-9)食品表示基準第3条第1項の表の原材料の項の2の一の規定に基づき、同種の原材料をまとめ書きしている場合(「野菜(○○、△△)」等)、どの原材料に原産地を表示する必要がありますか。
(原原-10)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の2の一の規定に基づき、同種の原材料をまとめ書きしている場合、野菜が全て国産である場合は、どのような書き方ができますか。
(原原-11)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の2の二の規定に基づき、複数の加工食品A、Bが個別に包装されるなど、区分けされ、それを組み合わせて1つの製品となる食品であって、その構成要素となる加工食品A、Bに区分けして原材料表示をしている場合、どの原材料に原産地の表示義務がありますか。
(原原-12)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の3の規定に基づき、原材料を「植物油」、「でん粉」等と括って表示している場合、原材料の原産地はどのように考えればよいですか。
(原原-13)食品表示基準第3条第1項の表の原材料名の項の3の規定に基づき、原材料を「魚肉」等と括って表示している場合、原材料の原産地はどのようにするのですか。
(原原-14)重量割合上位1位の原材料が2つ以上ある場合、どの原材料に原料原産地表示を行う必要がありますか。

Ⅱ 表示方法

(原原-15)原料原産地表示は、どこに表示すればよいですか。
(原原-17)複数の原産地の原材料を混合している場合の表示の方法について教えてください。
(原原-18)原材料名欄には、アレルギー表示や遺伝子組換え表示を行うこともありますが、原料原産地表示、アレルギー表示、遺伝子組換え表示の順番について、優先順位はありますか。
(原原-19)原料原産地表示について、原料原産地を国名以外で表示することはできますか。
(原原-20)原料原産地名の表示について、国名を「略称」等で表示することはできますか。また、米国をUSAやUSと表示することはできますか。
(原原-21)原料原産地表示について、原産地を表す記号を活用して、表示することはできますか。
(原原-22)原材料に占める重量割合が最も高い原材料(重量割合上位1位の原材料)について、食品表示基準第7条の規定に基づき、特定の原産地名とその使用割合を強調して表示していますが、別途、一括表示内に原料原産地の表示が必要ですか。
(原原-23)一括表示内に原料原産地を表示する際、食品表示基準第7条の規定による使用割合の併記は必要ですか。
(原原-24)原料原産地表示対象の重量割合上位1位の原材料に加え、任意で上位5位の原材料にも原料原産地名を表示したい場合、上位2位、3位、4位の原材料には原料原産地名を表示しなくてもよいですか。
(原原-25)原材料が1種類で原材料名の表示を省略している場合、どのように表示すればよいですか。

Ⅲ 「又は表示」(※以前の項目名は「可能性表示」)

(原原-28)「又は表示」は、都道府県名による原産地表示でも使用できますか。
(原原-30)複数の原産地の原材料をタンクに継ぎ足して製造するような場合は、一度使用した原産地は計算上0になることはないが、どのように表示すればよいですか。

Ⅳ 「大括り表示」

(原原-33)大括り表示において、「EU産」や「南米産」など、「輸入」よりも小さな区分の表示は認められますか。

Ⅴ 「大括り表示」+「又は表示」

質問項目の追加なし(回答内容の構成のみ変更)。

Ⅵ 使用実績等

(原原-40)「又は表示」、「大括り表示」等を使用する際に過去の一定期間における産地別使用実績又は今後の一定期間における産地別使用計画は、どのような単位で計上することができますか。

Ⅶ 「中間加工原材料の製造地表示」

(原原-41)原料原産地表示の対象の原材料が中間加工原材料の場合の表示方法について教えてください。
(原原-42)中間加工原材料の製造地の決め方を教えてください。
(原原-44)何段階かの製造工程を経て製造された中間加工原材料については、どの段階の製造地を表示するのですか。
(原原-45)原料原産地表示の対象である中間加工原材料が複合原材料であって、「中間加工原材料の製造地表示」ではなく、生鮮原材料の原産地まで遡って表示する場合、複合原材料の中のどの原材料に原産地を表示する必要がありますか。
(原原-46)国内の自社の工場で製造した中間加工原材料について、どの段階の原産地を表示すればよいですか。

Ⅷ 業務用

質問項目の追加なし(回答内容の構成のみ変更)。

Ⅸ その他

(原原-56)別表第15の1~5に掲げる加工食品(いわゆる「22食品群+4品目」)については、「又は表示」や「大括り表示」、「中間加工原材料の製造地表示」はできますか。
(原原-57)いわゆる22食品群(別表第15の1に掲げる加工食品)の中で、原材料及び添加物に占める重量の割合が50%以上の生鮮食品がないものについては、どのように表示すればよいですか。
(原原-61)自然災害や不作等による原材料の調達の急な変更の対応は、どのようにしたらよいですか。
(原原-63)施行の際に製造所又は加工所で製造過程にあって、経過措置期間後に製造を完了する製品も対象になりますか。

 9月1日に公表された新しいQ&Aを見たけど、どこを見れば新しい情報があるのか分からないという方は、上記の項目について目を通しておかれるのがよいかと思います。

参照:
新たな原料原産地表示制度に係る考え方(補足資料)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000156620
食品表示基準Q&A 別添 新たな原料原産地表示制度
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/foods_index_18_170901_0014.pdf

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乳製品の動物検疫開始について

※2017年9月1日、”食品表示基準の一部を改正する内閣府令”が公布され、これに伴い、”食品表示基準Q&A(第3次改正)”、”食品表示基準について(第8次改正)”の文書が変更されております。
新しい原料原産地制度の開始に伴うものですが、Q&Aも大幅に変更されていますので、またあらためてご紹介できるようしたいと思います。

 2017 年11 月1 日より、乳製品の動物検疫が開始されます。食品表示が主な業務担当である方にとりましても、輸出入の増えていく社会背景において品質チェックの観点から重要な情報と考え、今月はこちらの話題についてお知らせしたいと思います。

要点をまとめると、以下のようになります。

  • これまで対象であった「生乳」に加え、「乳製品」が対象となる
  • 輸入、輸出ともに動物検疫所での検査が必要になる
  • 輸入の際には輸出国政府機関発行の「検査証明書」が必要になる
    (その際、「リスト国」と「リスト国以外の国」とで対応が異なる)

追加で対象となる乳製品は、以下のとおりです。(数字はHSコード。動物検疫所HPより引用。)

  • 0401(ミルク、クリーム等)
    *LL牛乳(乳等省令で定める「常温保存可能品」の認定を受けているもの)を除く。
  • 0402(ミルク、クリーム等)
    *無糖れん乳、無糖脱脂れん乳を除く。
  • 0403(バターミルク等)
    *発酵乳(ヨーグルト等)、乳酸菌飲料を除く。
  • 0404(ホエイ等)
  • 0405(バター等)
    *バターオイル、ギーを除く。
  • 0406(チーズ等)
    *プロセスチーズを除く。
  • 3502.20、3502.90(ミルクアルブミン、濃縮ホエイ等、生乳・乳製品を原料とするもの)
    *分画精製されたα-ラクトアルブミンを除く。
  • 2309.10、2309.90(生乳・乳製品を原料に含む飼料・ペットフード等)
    *「ドライペットフード」及び「偶蹄類動物以外の動物に与えるものであって、小売販売されるもの(注1)のうち、原料(注2)の重量に占める生乳・乳製品の割合が50%未満であり、かつ、常温保存可能なもの」を除く。
    注1)輸入後に加工等を行うことなく単に袋詰め等小分けするものを含む。
    注2)添加した水は原料として換算しない。

*上記のうち、缶詰、瓶詰、レトルト(いずれも、容器に充填後、加熱滅菌されているものに限る)を除く。

 背景としては、日本への家畜の伝染性疾病の侵入防止に万全を期すことと、日本の畜産物の輸出促進にあります。欧米への輸出に必要な検疫協議を進めるにあたり、国際基準や諸外国と同等の水準の検疫体制を構築しておくことが必要となるため、今回の改正に至ったとされています。

 検査にかかる具体的な手順は、以下のとおりです。

輸入するとき

※家畜伝染病予防法施行規則で指定された港・空港に輸入する必要があります。

動物検疫所へ輸入検査申請(輸出国政府機関が発行する検査証明書等の提出)

到着時の輸入検査(動物検疫所又は指定検査場所で検査)

▼ 合格

輸入検疫証明書の交付

通関

輸出するとき

※輸出検査申請に先立ち、仕向先国の受入条件を確認してください。

動物検疫所へ輸出検査申請(必要書類は、仕向先国の受入条件により異なる)

通関前の輸出検査(動物検疫所又は指定検査場所で検査)

▼ 合格

輸出検疫証明書の交付

通関

出典:動物検疫所「乳製品リーフレット(平成29年6月14日版)」

 なお、輸入の際には「リスト国(生乳・非加熱乳製品の対日輸出を認める国)」と「リスト国以外の国(生乳・非加熱乳製品の対日輸出を認めない国)」とで、家畜衛生条件が異なる点に注意が必要です。リスト国以外の国から乳製品を輸入する際には、口蹄疫ウィルス不活性化処理工程を経ることが条件となります。リスト国とリスト国以外の国については、動物検疫所のサイトに一覧で掲載されています。

 乳製品の輸出入を検討される方はもとより、食品の品質に関わる業務をされる方におかれましても、一度ご確認されるとよいと思います。

参照:動物検疫所「乳製品の検疫開始について」
http://www.maff.go.jp/aqs/topix/dairy_products.html

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加工食品の原料原産地表示の拡大について8 ~改正案が大筋了承されました~

 2017年7月28日、消費者委員会食品表示部会が開催され、改正案について大筋で合意がなされました。一部の修正と前提条件つきの答申ではあるものの、おおむね、パブリックコメント募集時に公開された改正案のとおりに決まることになります。
以下に、あらためて制度改正の概要について整理するとともに、今回の一部修正と前提条件について概要をまとめてみたいと思います。

改正の概要と表示例


1.義務表示の対象

対象となる食品:国内で製造又は加工された全ての加工食品(輸入品以外の全ての加工食品)を義務表示の対象とする。
対象となる原材料:製品に占める重量割合上位1位の原材料を義務表示の対象とする。また重量割合上位1位の原材料が50%未満の22食品群も原料原産地表示の対象に含む。

2.義務表示の方法

  1. 対象原材料の産地について、現行の表示方法と同様に、国別に重量割合の高いものから順に国名を表示する「国別重量順表示」を原則とする。
  2. 対象原材料が加工食品の場合、中間加工原材料の「製造地」を表示する。
  3. 原産国が3か国以上ある場合は、現行の表示方法と同様、重量割合の高いものから順に国名を表示し、3か国目以降を「その他」と表示することができる。
  4. 「国別重量順表示」が難しい場合には、一定の条件の下で、「可能性表示」や「大括り表示」の表示を認める。

(産地の表示例)

名称 ポークソーセージ(ウインナー)
原材料名 豚肉(アメリカ)、豚脂肪、たん白加水分解物、還元水あめ、食塩、香辛料/調味料(アミノ酸等)、リン酸塩(Na、K)、・・・

(製造地の表示例)

名称 清涼飲料水
原材料名 りんご果汁(ドイツ製造)、果糖ぶどう糖液糖、果糖/酸味料、ビタミンC

3.「国別重量順表示」が難しい場合の表示方法

1)「可能性表示(「又は」表示)」の表示例

名称 ポークソーセージ(ウインナー)
原材料名 豚肉(カナダ又はアメリカ又はその他)、豚脂肪、たん白加水分解物、還元水あめ、食塩、香辛料/調味料(アミノ酸等)、リン酸塩(Na、K)、・・・

※豚肉の産地は、平成○年の使用実績順

2)「大括り表示(「輸入」表示)」の表示例

名称 ロースハム
原材料名 豚ロース肉(国産、輸入)、糖類(水あめ、砂糖)、食塩/調味料(有機酸等)、増粘多糖類、発色剤(亜硝酸Na)、香辛料

3)「大括り表示+可能性表示(「又は」表示)」の表示例

名称 小麦粉
原材料名 小麦(輸入又は国産)

※小麦の産地は、平成○年の使用実績順

4.その他の改正点

  • 一定期間における使用割合が5%未満である原産地については、その旨を表示する。
  • おにぎりののりについては、のりの原料となる原そうの原産地を表示する。
  • 「国別重量順表示」が難しい場合の表示方法については、根拠書類の保管を条件とする。

答申書に記載された意見について


 以下は、2017年7月28日消費者委員会食品表示部会において提出された答申書から、「前提条件」「追加修正」についての情報をまとめたものです。

【諮問された食品表示基準案を適当とする前提条件】(概要)

  1. 理解度等に関する目標値を設定し、消費者と事業者への周知活動を行うこと。
  2. 周知活動には、新たな普及・啓発方法も取り入れて行うこと。
  3. 相談窓口の常設など、事業者の理解不足による誤表示が発生しないよう周知すること。
  4. Q&Aを拡充し、事業者が制度を誤って解釈しないよう、的確な制度解説を行うこと。(特に例外要件の判断基準、根拠資料の保管ルール、行政に対する説明事項など)
  5. 「周知状況を把握する調査」は、消費者のみならず事業者に対しても実施すること。
  6. 食品表示に関する監視体制をより一層強化すること。
  7. 別表第十五に追加する品目を選定する場合の基準を明確化し、公表すること。
  8. 国別重量順表示と例外表示がどの程度の割合で存在するかを定期的に検証すること。
  9. 経過措置期間終了後、理解度等に関する調査を実施し、その結果を公表すること。
  10. 経過措置期間終了から2年後を目途とし、必要に応じて制度の見直しを実施すること。

【諮問された食品表示基準案のうち、修正・追加を行うべき内容】(全文引用)

(1)第3条第2項表1の五イの(ロ)

一定期間使用割合が5パーセント未満である対象原材料の原産地について、当該原産地の表示の次に括弧を付して、当該一定期間使用割合が5パーセント未満である旨の表示を義務付けるが、第3条第2項表1の四の規定に基づく「その他」の表示に対しては、当該表示を義務付けない。

(2)施行期日、経過措置、今般の基準改正による原料原産地表示の対象とならない製品の範囲

施行は今回の食品表示基準の一部改正に係る公布の日からとし、経過措置期間は府令の施行の日から平成34年3月31日までとする。また、今回の食品表示基準の一部改正にかかる施行の際に加工食品の製造所又は加工所で製造過程にある加工食品は、従前の食品表示基準の例によることができる。

まとめ


 その他、答申では付帯意見としていくつか追記がなされています。義務表示が増えているのでインターネットでの表示の活用の検討をという意見と、また海外商取引への影響の懸念について、そして分かりやすい基準案とQ&Aへの要望がありました。
 全体的にみたときの大きな変更点は、「経過措置期間が平成32年3月31日から、平成34年3月31日へと延期された」点であり、その他の詳細な情報(例外表示の判断基準や根拠資料の保管ルールなど)については、Q&Aを待って確認することになります。これで一連の検討会が終わり、この夏には正式に制度改正が施行される予定です。
 実務上では、とりわけ「根拠資料の保管」がポイントになりますので、まずは手元の規格書などの情報整理と、情報管理体制の見直しを進めていくことが大切になると思います。

加工食品の原料原産地表示の拡大について7~パブリックコメントの結果が公表されました~

2017年6月8日、消費者委員会食品表示部会が開催されました。2017年4月25日まで意見募集した原料原産地表示制度改正に関するパブリックコメントについて、集計結果をもとにした審議が行われています。主な内容としては、「経過措置期間」は5年程度が適当であるといった議論がされました。(その後6月29日開催の同部会において、経過措置期間を2022年3月末までとする諮問案が提出されました。パブリックコメント前の案では2020年3月末までとされていたことから、2年延長された形になります。)

寄せられた意見


今回の改正案に対し、寄せられた意見総数は8,715件でした。うち「おにぎりののり」に関する意見だけで3,000件以上あるのですが、2014年8月に意見募集された「食品表示基準(栄養成分義務化やアレルゲン、添加物表示、製造所固有記号等の改正)」に対する意見総数が4,329件であったことを考えると、今回の原料原産地表示制度の改正はやはり関心の高いテーマであるといえるでしょう。
意見募集の結果をまとめた「主な意見の概要と意見に対する考え方」を見ると、賛成意見の多くは同じような内容に集約されていますが、反対意見には様々な内容があることがみてとれます。また原料原産地制度の改正案に対して誤解されている意見も少なくなく、やはり複雑な制度であることを、あらためて感じさせられます。

変更点のポイント


今回の意見募集結果を受け、消費者庁より変更案が提示されています。大きく4点ありますので、順番に見ていきましょう。

  1. 「可能性表示」の呼称について
  2. 過去の産地別使用実績の期間の取り方について
  3. 経過措置期間について
  4. 消費者への普及・啓発について

『「可能性表示」の呼称について、「又は表示」という呼称も使用することとする』

“「可能性表示」などの表示方法の呼称は、法令に基づくものではなく、従来から、産地として複数の国の使用可能性がある点に着目して、「可能性表示」という名称で呼ばれていた。”
“「可能性」という言葉により、表示されている産地以外のものが使用されているかもしれないと消費者が誤認しないよう、「又は」でつないでいる産地のみを使用していることを明確にするため、「又は表示」という呼称も使用することとする。”

寄せられた意見に「改正案に基づく表示では一つの商品に対して複数の表示が行われるが、消費者がこれらの表示の意味を理解できないようであれば、周知、徹底を十分に行い、理解を深めたのちに実施すべき。」「可能性表示では、実際に自分が購入したいものが、本当はどこの産地なのか特定できない。」といった声が多く、誤認を防ぐためにこのような見直しを検討していると思われます。

『過去の産地別使用実績の期間の取り方について、「製造年から3年前の1年」も可とする』

“可能性表示及び大括り表示を行う場合の過去の産地別使用実績において、実績の根拠を1年とする場合、「製造年から3年前の1年は不可」としたところであるが、パブリックコメントにおける意見等を踏まえ、製造年から遡って3年以内の中で、1年以上であれば、期間の取り方に制限は設けないこととし、「製造年から3年前の1年も可」とする。”

寄せられた意見に「過去データの蓄積・管理と包装フィルムの改版タイミングを考えると、運用が困難な局面が想定されるため、3年前単年も許可してほしい。」「可能性表示について、実績の場合では最低3年前、計画については計画から2年間は認めてほしい。」といった声が多く、実行可能性確保のためにこのような見直しを検討していると思われます。

『経過措置期間について、見直しを検討する』

“経過措置期間は、「食品表示基準の経過措置期間と同様、平成32年(2020年)3月末」としたところであるが、新制度への移行に漏れをなくす観点から、パブリックコメントにおける意見等を十分考慮した上で、最終的に判断する。”

寄せられた意見に「経過措置期間として、平成32年(2020年)3月末から、あと1~2年ほしい。原料原産地対象商品が多く、調査・システム対応・切替えなどを段階的に交換する必要がある。」といった声が多く、実行可能性確保のためにこのような見直しを検討していると思われます。

『積極的な普及・啓発活動に加え、表示制度の理解度調査を実施する』

“新たな食品表示制度について、消費者向けQ&Aを始めとする消費者への普及・啓発のために分かりやすい資料を作成し、説明の場も積極的に設け、理解促進を図ることとする。また、新たな食品表示制度がどれだけ消費者に理解されたか、継続的に食品表示に関する消
費者意向調査を実施し、理解度を調査・把握していく予定。”

寄せられた意見に「広く消費者に普及・啓発活動することが求められる。数年後に消費者の理解度を調査することを要望する。」「例外規定が設けられたことは、実行可能性を担保する観点からやむを得ないものと考えるが、今後、新たな基準の周知を事業者だけに委ねず、国においてしっかりと対応してほしい。」といった声が多かったことから、このような施策を検討していると思われます。

経過措置期間は2022年3月末までに変更


以上の件について、各委員の意見確認が行われました。ただし経過措置期間については具体的な議論が行われ、「5年程度が適当」と結論付けられたのち、6月29日の同部会において「2022年3月末まで」とされました。次回食品表示部会は7月12日に開催される予定です。ご関心のある方は引き続き確認されるとよいと思います。

参照:
消費者委員会食品表示部会 第40回食品表示部会議事録
http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/syokuhinhyouji/bukai/040/gijiroku/

「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」について


 今月は、4月より検討会が始まった「遺伝子組換え表示」をテーマに取り上げてみたいと思います。

検討会の背景と概要


2017年4月26日、第1回目の「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」が開催されました。同検討会では、遺伝子組換え表示制度について表示義務品目の検証結果と海外の表示制度等を参考に、事業者の実行可能性を確保しつつ、消費者が求める情報提供を可能とする制度設計の検討を進めることになっています。

現状の表示制度の整理


ここで、簡単に現状の表示制度を整理してみます。まず表示義務の対象となる品目は、食品表示基準別表第十六の「8作物(大豆(枝豆及び大豆もやしを含む)、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ)」と、別表第十七の「8作物を原材料とした33食品群」、そして別表第十八の「高オレイン酸遺伝子組換え大豆及びこれを原材料として使用した食品等」です。別表は、“食品表示基準”を参照してください。

義務表示と任意表示を整理すると、次のような構造となります。加工食品については、その主な原材料について表示が義務付けられています。主な原材料とは、原材料の重量に占める割合の高い原材料の上位3位までのもので、かつ、原材料の重量に占める割合が5%以上のものをいいます。製造時に水を添加した場合は、添加した水は原材料として換算しません。遺伝子組換え農産物が主な原材料(原材料の重量に占める割合の高い原材料の上位3位以内で、かつ、全重量の5%以上を占める)でない場合は、表示義務はありません。

「従来のものと組成、栄養価等が同等か」

  • 同等である
    • 「遺伝子組換えのものを分別し、原材料とするもの」・・・義務表示
      例:大豆(遺伝子組換え)等
    • 「遺伝子組換え不分別」・・・義務表示
      例:大豆(遺伝子組換え不分別)等
    • 「遺伝子組換えでないものを分別し、原材料とするもの」・・・任意表示
    • 「DNA・たんぱく質が検出不可」・・・任意表示
  • 同等ではない(高オレイン酸遺伝子組換え大豆及びこれを原材料として使用した食品等)・・・義務表示
    例:大豆(高オレイン酸遺伝子組換え)等

「遺伝子組換えでない」の表示は、分別生産流通管理が適切に行われていれば、一定(大豆及びとうもろこしについて5%以下)の「意図せざる混入」がある場合でも表示をすることができます。

「遺伝子組換え不使用」といった強調表示をする場合は、全ての原材料について分別生産流通管理が行われている必要があります。例えば、「ばれいしょ」と「大豆油」が使用されている食品について、「大豆油」は表示品目の対象外ではありますが、商品に「遺伝子組換え不使用」と表示する場合には、大豆油の原料の大豆が分別流通管理されていることを確認のうえ、「原材料名:ばれいしょ(遺伝子組換えでない)、大豆油(遺伝子組換えでない)」と表示することになります。また、対象農作物以外において「遺伝子組換えではありません」等と表示することは禁止されています。

なお、遺伝子組換え農作物は「安全性審査」で承認されたものだけが国内に流通する仕組みになっています。とりわけ輸入食品においては、使用されている原材料が安全性審査で承認されたものであるかどうかの確認業務が必要となります。

検討会での確認事項


遺伝子組換え表示の制度は、導入から約15年が経過しています。この間に、遺伝子組換え食品のDNA等に関する分析技術が向上している可能性や、遺伝子組換え農産物の作付面積の増加により流通の実態が変化している可能性があるとして、第1回目の検討会では現在の状況について整理がされました。

各種の資料が配布されましたが、検討課題を分かりやすく示すものを以下に引用します。

“大豆について、国際価格高騰の影響等により1998年と比べて2015年の輸入量が減少しているが、大豆、とうもろこし共に、1998年、2015年のいずれの時点でも、我が国の最大の輸入国は米国である。米国における遺伝子組換え農産物の作付面積割合は、大豆、とうもろこし共に、17年間で25%程度から90%以上に拡大している。”
“なたねについて、1998年、2015年のいずれの時点でも、我が国の最大の輸入国はカナダである。カナダにおける遺伝子組換え農産物の作付面積割合は、17年間で40%弱から90%以上に拡大している。”
“日本では、最終製品において組み換えられたDNA等が検出できない品目については、義務表示の対象外としており、韓国やオーストラリア等も同様である。EUでは、DNA等の検出の可否にかかわらず、表示が義務付けられている。
意図せざる混入率は、国によりそれぞれ異なっており、日本では5%、EUでは0.9%となっている。なお、米国については、現在のところ、詳細は不明である。”

DNA・タンパク質が検出できるもの DNA・タンパク質が検出できないもの 意図せざる混入率 表示義務の原材料の範囲
日本 対象外 5% 原材料の重量に占める割合が高い原材料の上位3位までのもので、かつ、原材料及び添加物の重量に占める割合が5%以上であるもの
韓国 対象外 3% 全ての原材料
オーストラリア・ニュージーランド 対象外 1% 規定なし
EU 0.9% 規定なし

引用:「資料2 遺伝子組換え食品の表示制度をめぐる情勢」より

課題と今後のスケジュール


議論された内容のうち、今後の検討課題となりそうな箇所をピックアップしてみます。

  • 消費者にとって遺伝子組換え表示制度というものが十分に浸透していない
  • 「遺伝子組換えは使用していません」という任意の不使用表示のみが流通している
  • 遺伝子組換え食品の安全性についての情報や理解が十分でない
  • 意図せざる混入率の基準を引き下げることの影響はかなり大きい

今後、まずは消費者、製造や流通の事業者などからのヒアリングが予定されています。取りまとめは、今年度末(2018年3月末)を目途に行われるスケジュールですので、定期的に検討会の情報を確認のうえ、今後求められることを考える機会にできればと思います。

参照:遺伝子組換え表示制度に関する検討会(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/genetically_modified_food.html

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加工食品の原料原産地表示の拡大について6 ~パブリックコメントの募集が始まりました~

2017年3月27日、食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)に関する意見(以下「パブリックコメント」)募集が始まりました。同時に、「新たな原料原産地表示制度に係る考え方(補足資料)」とするQ&A形式の資料案も公表されています。今回のコラムでは、これまでの「中間とりまとめ案」から新しく情報が追加された箇所についてまとめてみたいと思います。

頻繁な原材料の原産地の変更


中間とりまとめ案において「事業者の実行可能性については、頻繁な原材料の原産地の変更に伴う包材の切替え、煩雑な作業の発生等、事業者の負担について考える必要がある」とされていた「頻繁」の考え方に関して、新しい記載がされています。

「表示をしようとする時を含む1年で重量順位の変動や産地切替えが行われる」、と具体的に「1年」とされました。これは可能性表示、大括り表示、そして可能性表示と大括り表示の併用においても同様の条件となっています。

一定期間の使用実績、一定期間の使用計画


中間とりまとめ案において「過去一定期間における国別使用実績又は使用計画(新商品等の場合には今後一定期間の予定)」とされていた「一定期間」の考え方に関しても、新しい記載がされています。

「過去の産地別使用実績は、製造年から遡って3年以内の中での1年以上の実績に限ります。ただし、実績の期間が1年間の場合で、製造年から3年前の1年間のみを実績とすることは認められません」「産地別使用計画は、当該計画に基づく製造の開始日から1年間以内の予定に限ります」、と具体的に「1年間」とされました。

使用割合が極めて少ない産地


中間とりまとめ案において「使用割合が極めて少ない産地については、消費者の誤認が生じないよう、例えば、割合を表示する、又は○○産と表示しないなどの表示方法を講ずる」とされていた「極めて少ない」の考え方に関しても、新しい記載がされています。

「使用割合が極めて少ないとは、5%未満を指します」「可能性表示をする場合には、過去の使用実績等における重量割合が5%未満の産地について、産地名の後ろに括弧を付して、「5%未満」などと表示します」、と可能性表示をする際の誤認防止の基準として具体的に「5%未満」とされました。

経過措置期間


中間とりまとめ案において「施行に当たっては、事業者の包材の改版状況も勘案して、十分な経過措置期間をおく」とされていた「経過措置期間」についても、今回言及がされています。

「平成32年3月末日までを経過措置期間としています。」

その他実務上のポイント


その他、実際に新しい原料原産地表示制度に対応すると想定して、実務上で検討しておいたほうがよいと思われる記載を抜粋していきたいと思います。

保管すべき根拠資料の例

  1. 産地が記載されている送り状や納品書等
  2. 産地が記載されている規格書等であって、容器包装、送り状又は納品書等において、製品がどの規格書等に基づいているのか照合できるようになっているもの
  3. 仕入れた原料を当該商品に使用した実績が分かるもの(製造記録や製造指示書など)など

根拠資料の保管期間

根拠資料等の保管期間は、その根拠を基に表示が行われている商品の

  1. 賞味(消費)期限に加えて1年間
  2. 賞味期限の表示を省略しているものについては、製造をしてから5年間とします。

使用計画に求められる合理性(合理的な説明ができない場合)

  • i) 「A国又はB国又はその他」と表示した場合で、計画期間中に結果としてA国、B国のどちらも使用せず、「その他」に含まれる国しか使用していない。
  • ii)「A国又はB国又はその他」と表示した場合で、計画期間中に結果としてA国、B国のどちらか一方を使用していない。など

「国内製造」とならない行為(輸入された中間加工原材料)

国内他社で「商品の内容についての実質的な変更をもたらす行為」がなされ、それを仕入れて中間加工原材料として用いるような場合には、「国内製造」となります。
(「実質的な変更をもたらす行為」に含まれない行為の事例も記載があります)

業務用加工食品に必要な表示事項

  1. 最終製品において製造地表示義務の対象原材料となる業務用加工食品(最終製品中、重量順位第1位の原材料となるものなど)については、当該業務用加工食品の原産国名
  2. 輸入品以外の加工食品で、「製造」に該当しないような単なる切断、小分け等を行い最終製品となる業務用加工食品については、最終製品において原料原産地表示義務の対象となる原材料(当該業務用加工食品中、重量順位第1位の原材料など)の原産地名

自主的な表示(重量順位第2位、第3位等の義務付けられていない原材料)

義務表示と同様に一定の条件下で、「可能性表示」や「大括り表示」、「中間加工原材料の製造地表示」などを活用することができることとします。

その他多数ありますが、紙幅の都合によりこのあたりにとどめたいと思います。
なお、パブリックコメントの意見募集は2017年4月25日までです。事業者と消費者の双方にとって重要な改正内容と思われますので、パブリックコメント案について確認してみてはいかがでしょうか。

参照:
食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)に関する意見募集の開始について(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/index18.html#public_meeting

食品のインターネット販売における情報提供について

 2016年末に、消費者庁より「食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会報告書」が公表されました。報告書内では提言もなされていますが、消費者や事業者に対する調査の結果などが掲載されており、今後の食品製造販売の参考にできると思います。原産地表示のような義務化の話題とは異なり、こうした「任意」の表示については忙しいと検討する時間を確保しにくいものですが、その分、差別化を考えるうえでのヒントになる可能性もありますので、こちらで取り上げたいと思います。

懇談会の背景と提言の概要


 まず懇談会の背景は、主には「インターネット等を利用して食品を購入する場合、食品自体は遠隔地にあるため、消費者は購入時にラベル表示を確認できない」ことによります。

 そして全10回の開催を経て「事業者は、消費者が購入時に食品の義務表示事項と同等の情報の内容を確認できるような環境を整備することを目標としつつ、『情報提供の促進のための取組』を参考に、段階的に情報提供の取組を推進し、義務表示事項に係る情報提供を拡大していくことが望ましい」等の提言がなされました。

統計情報と主な調査結果


 参考にするべき「情報提供の促進のための取組」は結論にとっておくとして、その前に国内の統計情報と、主な調査結果を抜粋したいと思います。

【総務省の統計情報】

  • 「ネットショッピングを利用した世帯(二人以上)の世帯全体に占める割合」は24.8%(平成26年)
  • 「一世帯当たり1か月間のネットショッピングの消費額(二人以上の世帯)」は9,138円(平成27年)
  • 「ネットショッピングの支出額に占める主な項目の支出額の割合(二人以上の世帯)」の内、「食料」は11.8%(平成27年)

【主な調査結果】

  • 義務表示事項に係る情報を重視する消費者は1割程度であるが、インターネット販売で食品を購入したことがある消費者の9割程度は、購入時に何かしらの義務表示事項に係る情報を確認している。
    • 食物アレルギーで食事に留意が必要な場合は、「アレルゲン」を特に確認。
    • 初めて購入する場合は、「原産地」や「製造者」、「消費期限・賞味期限」を特に確認。
    • 毎回購入する食品をすぐに欲しい場合はあまり確認しない。
    • 缶詰などの生鮮に近い加工食品は「原材料」を特に確認。
    • 冷凍食品、レトルト食品、スナック菓子では「栄養成分表示」を特に確認。
  • 「利用しているサイトを選んだ理由」に対し、「提供されている義務表示事項に係る情報が多いから」を選択した者は、週1回以上の利用者では37.4%、月1~3回では21.2%、月1回未満では15.9%。
  • インターネットでの食品の購入経験がない消費者に対し、購入のためにインターネット販売のウェブページ上で提供してほしい義務表示事項に係る情報を問う設問には、「消費期限・賞味期限(同等のものを含む)」(74.4%)、「原材料」(73.4%)、「原産地・原料原産地」(70.7%)の順で多く回答。

情報の更新に係る課題


 以上のように、一言で言えば「実際の食品ラベルと同じ内容を、同じ記載方法で掲載する」ことが最善と言えるのですが、「情報の更新」という大きな課題があります。サイトに掲載されている情報と、実際に発送される商品の情報とが一致しているかどうかを管理することです。実際にインターネットで食品を販売されている方は実感があることと思いますが、報告書にも整理されていますので抜粋してみました。

  • 製造者から伝達された義務表示事項に係る情報を全てウェブページで提供しているかについては、提供「していない」が4割程度存在しており、その中には、ウェブページの情報を最新に保つことが困難であるとの理由から、製造者から伝達された情報を提供していない事業者が存在する。
  • 取引開始時に伝達された情報に、その後、変更があるかどうかや、変更の可能性がどの程度あるか等は把握できていないので、直ちに対応できないこともある。また、食品の情報が変更された場合、製造者から流通業者まで情報が伝達される仕組みがそもそも不十分である等の事情がある。
  • 生鮮食品については、天候不順等によって、あらかじめ計画していた産地の商品が調達できない場合も少なくないということがあり、直前での情報の変更が生じることもある。

情報提供の促進のための取組


 以上の課題も踏まえ、「『情報提供の促進のための取組』を参考に、段階的に情報提供の取組を推進し、義務表示事項に係る情報提供を拡大していくことが望ましい」と報告されています。以下に、ポイントをお伝えしたいと思います。

取組のポイント

  • 対応できる義務表示事項に係る情報から順に取り組む。
  • 対応できる食品から順に取り組む。
  • 問合せ先をウェブページ上に記載する。
義務表示事項に係る情報ごとの提供方法例

  • 【保存方法】
      一目でわかるように、「冷凍」、「冷蔵」、「常温」の別についても情報を提供する。
  • 【消費期限/賞味期限】
      「必ず賞味期限が30日以上あるものを配送する」など、期限の情報を提供する。
  • 【内容量】
      重量に加えて1個当たりの目安となる重量を記載することや個数を併記する。
  • 【アレルゲン】
      義務7品目だけか、又は推奨まで含めた27品目かを明示して情報を提供する。

 アレルゲンなど安全性に関する情報については、「目立つように記載する」「必要十分な情報をコンパクトに分かりやすく掲載する」「別ページで一覧表を示している」などの工夫も報告されています。

 情報更新の課題に対する事業者の取組などもまとめてありますので、インターネットで食品を販売される方は、一度読んでおかれるとよいと思います。

出典:食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会報告書(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/foods_index_26_161213_0002.pdf

2016年の主な食品表示ニュースと今後の予定

 あけましておめでとうございます。おかげさまでラベルバンク新聞も9年目となります。
本年もどうぞ、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
 さて昨年(2016年)も食品表示に関する様々な出来事がありましたので、こちらにまとめてみたいと思います。日ごろより食品表示の実務に携わる方は、新しい食品表示基準への対応等で忙しくされていると思いますので、こちらが改めて確認できる機会になればと思います。

昨年の主な出来事


2016年 3月 「食品表示基準について」の一部改正(第4次改正)(製造所固有記号の届出関連)
機能性表示食品の届出等に関するガイドライン 一部改正
4月 機能性表示食品の届出書作成に当たっての留意事項 一部改正
機能性表示食品の届出書作成に当たっての確認事項 一部改正
機能性表示食品制度届出データベース 運用開始
製造所固有記号制度届出データベース 運用開始
不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律 施行(課徴金制度関連)
食品表示法における酒類の表示のQ&A 一部改正(製造所固有記号関連)
7月 健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について 運用開始
8月 「食品表示基準について」の一部改正(第5次改正)
(業務用加工食品及び業務用添加物の製造所固有記号の取扱い関連)
9月 生鮮食品の旧基準表示経過措置期間終了
10月 特定保健用食品に関する質疑応答集について 公表
11月 「食品表示基準について」の一部改正(第6次改正)
(安全性審査済みの遺伝子組換え食品の検査方法関連)
特別用途食品制度に関する検討会報告書 公表
加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会中間取りまとめ 公表
特定保健用食品の表示許可等について 改正
12月 食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会報告書 公表
「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会中間取りまとめ」に係る説明会の開催
機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会報告書公表

 その他、亜塩素酸水の使用に関する改正が「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について(厚生労働省)」において公表されています(残留農薬基準値設定含め、昨年4月、6月、9月の3回)。また、「食品表示基準について(施行通知)」は昨年だけで3回改正されておりますので、手元の資料が古い場合は最新のものに差し替えておくとよいでしょう。なお、食品表示基準Q&Aについては、一昨年の12月に改正(第2次改正)があって以来、変更はされていません。

今後予定されていること


 そして今後予定されている食品表示関連の出来事についても、まとめてみたいと思います。

2017年 1月 「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会中間取りまとめ」に係る説明会の開催
(2016年12月より引き続き)
2018年 4月 機能性表示食品制度見直し目途
(「施行後2年を目途に新制度の施行状況を検討」)
2020年 3月 「食品表示基準」の経過措置期間(加工食品、添加物)終了
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の使用期間終了
未定 加工食品の原料原産地表示制度の一部改正に伴う食品表示基準、Q&A等の改正
(経過措置期間に関する情報の公表含む)

 昨年、国内の出来事でもっとも影響が大きいと思われるものは、「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会中間取りまとめ」にて、「国内で製造し、又は加工した全ての加工食品を義務表示の対象とする」と公表されたことではないかと思います。こちらの改正については公表後の現在においても各方面から様々な意見が出されているため、今後のパブリックコメントの結果によってQ&A等での記載に少なからず影響があるものと思われますが、引き続き注視が必要なテーマと考えています。
 
 ちなみに、海外でもこうした制度改正は実施されています。EUでは昨年12月に栄養成分表示の改正に関する猶予期間が終了し、中国でも昨年10 月に修正食品安全法実施条例案が公表されています。アメリカでは2018年7月までに、栄養成分表示に添加糖類が必要になるなどの改正がされています。それぞれの国民の関心にあわせて制度が改正されているとすれば、今、日本では原料の原産地に対して関心が高まっていると言えます。そして、なぜ関心が高まっているのかを考えてみることが大切だと思います。
 
 よりよい製品を製造し、より多くの人に食べてもらうためには、その製品の品質を正確に知ってもらうことが必要になります。そのための食品表示でもありますので、こうした制度改正に関する情報も把握しつつ、今、社会が求めていることは何なのかを考えながら、今後もこうした記事を書いていきたいと思います。それでは、今年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

加工食品の原料原産地表示の拡大について5 ~中間とりまとめが公表されました~

 2016年11月29日、消費者庁および農林水産省において、「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会中間取りまとめ」が公表されました。9月末の案から大枠は変わっていませんが、改めて情報を整理してみたいと思います。

義務表示の対象


【対象となる食品】

  • 国内で製造し、又は加工した全ての加工食品を義務表示の対象とする。(※)

【対象となる原材料】

  • 製品に占める重量割合上位1位の原材料を義務表示の対象とする。

(※)対象とならない(原料原産地表示を要しない)場合は以下のとおり。

  • 食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合
  • 不特定又は多数の者に対して譲渡(販売を除く)する場合
  • 容器包装に入れずに販売する場合
  • 容器包装の表示可能面積がおおむね 30平方センチメートル以下の場合

義務表示の方法


  • 対象原材料の産地について「国別重量順表示」を原則とする。
  • 原産国が3か国以上ある場合は、現行ルールと同様、3か国目以降を「その他」と表示することができる。

 表示方法については、現行ルール(食品表示基準第三条「原料原産地名」の22食品群(別表第十五)の表示方法)と同じです。

(表示例)

名称 ポークソーセージ
原材料名 豚肉(カナダ、アメリカ、その他)、豚脂肪、たん白加水分解物、還元水あめ、食塩、香辛料

義務表示の例外1「可能性表示(「又は」表示)」


  • 使用可能性のある複数国を、使用が見込まれる重量割合の高いものから順に「又は」でつないで表示する方法であり、過去の取扱い実績等に基づき表示されるもの。

(表示例)

名称 こいくちしょうゆ
原材料名 大豆(アメリカ又はカナダ又はブラジル)、小麦、食塩

※大豆の産地は、平成○年から2年間の取扱実績順

 一定の期間を通じて、使用割合が高いと見込まれる原産国名が上位に表示され、反対に、使用割合が少ないと見込まれる原産国名は下位に表示されることになります。

義務表示の例外2「大括り表示(「輸入」表示)」


  • 3以上の外国の産地表示を「輸入」と括って表示する方法。輸入品と国産を混合して使用する場合には、輸入品(合計)と国産との間で、重量の割合の高いものから順に表示する。

(表示例)

名称 こいくちしょうゆ
原材料名  大豆(輸入、国産)、小麦、食塩

※大豆の産地は、平成○年から2年間の取扱実績順

 「輸入」と表示されれば、当該商品の重量順第1位の原材料には国産は使用されていない、「輸入、国産」と表示されれば、当該商品の原材料として、輸入と国産が混合して使用され、輸入の割合の方が多い、ということが分かります。

義務表示の例外3「大括り表示+可能性表示」


  • 過去の取扱実績等に基づき、3以上の外国の産地表示を「輸入」と括って表示できるとした上で、「輸入」と 「国産」を、使用が見込まれる重量割合の高いものから順に「又は」でつないで表示できる。

(表示例)

名称 ポークソーセージ
原材料名  豚肉(輸入又は国産)、豚脂肪、たん白加水分解物、還元水あめ、食塩、香辛料

※豚肉の産地は、平成○年の取扱実績順

 想定されるケースは、「対象原材料について、3か国以上の外国から輸入するとともに輸入品と国産の割合が、製造の月単位、季節単位で変動する場合」となります。

義務表示の例外4「中間加工原材料の製造地表示」


  • 対象原材料が中間加工原材料である場合に、当該原材料の製造地を「○○(国名)製造」と表示する方法。中間加工原材料である対象原材料の原料の産地が判明している場合には、「○○製造」の表示に代えて、当該原料名とともにその産地を表示することができる。

(表示例)

名称 清涼飲料水
原材料名 りんご果汁(ドイツ製造)、果糖ぶどう糖液糖、果糖

(表示例)

名称 清涼飲料水
原材料名 りんご果汁(りんご(ドイツ、ハンガリー))、果糖ぶどう糖液糖、果糖

 当初、「○○加工」が検討されましたが、「加工」であれば、単なる切断や混合等を行った場合にも原産国として表示が認められることになりかねないため、「○○製造」として、その原料として使用したものとは本質的に異なる新たな物を作り出した場合に限り、その製造が行われた国を表示することになりました。

義務表示に共通する事項


【誤認防止】
使用割合が極めて少ない産地については、消費者の誤認が生じないよう、例えば、割合を表示する、又は○○産と表示しないなどの表示方法を講ずる。等

【書類の備置き】
事業者は、例外表示の際に表示内容が正しいことを確認できるよう、過去の使用実績等の根拠となる書類の備置き等を必要とする。

【おにぎりののり】
のりは重量が軽く重量順1位の原材料にはならない。一方、のりの原料原産地は、消費者の商品選択の上で重要な情報と考えられ、義務表示の対象とする。

【経過措置】
パブリックコメント等により広く国民の声を聞くものとし、施行に当たっては、事業者の包材の改版状況も勘案して、十分な経過措置期間をおく。

 既に原料原産地表示が義務付けられている 22 食品群と4品目に該当する商品や、米トレーサビリティーの対象の商品を除けば、ほとんどの加工食品で原材料表示欄の変更が必要になると思われます。
 特に過去実績などの把握をしなければならない場合には、原材料規格書管理に期間の視点が必要となります。原材料の産地が頻繁に変わる商品を取り扱いの方は、現在の規格書管理の運用について改めて検討する機会にするとともに、今後の施行まで制度に関する情報を確認されておくとよいと思います。

参照:加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会中間取りまとめ
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/kakousyokuhin_kentoukai.html

機能性関与成分の取扱い等について ~エキス(抽出物)等も対象成分に~

 2016年10月18日、消費者庁において「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取り扱い等に関する検討会」の第10回目が行われ、新しく「エキス(抽出物)等、関与成分は明確でないが機能性が担保されているもの」についても制度の対象とする案が提示されました。ニュース等で概要はご存じでも、忙しくて内容まで目を通せていないという方に向け、以下に制度案をまとめてみたいと思います。

機能性関与成分に関する考え方の整理

機能性関与成分、及び指標成分を以下のような整理とする。

  • 機能性関与成分:新たに、機能性の科学的根拠が得られたエキス(抽出物)等を追加。
    ただし、少なくとも1つの指標成分で作用機序が考察されているもの。
    指標成分:機能性関与成分の同等性を確保するための指標であり、エキス(抽出物)等に含まれる成分。
  • 機能性関与成分名については、基原を入れた名称とすること。

対象となり得る区分・範囲について

  • 対象食品としては、現行のガイドラインどおり、食品全般を対象とする。
  • 新たに機能性関与成分の対象となり得る成分は、エキス(抽出物)等とする。
    ※エキスとは、基原原料を抽出し、濃縮したもの。
    (参考)「生薬のエキス製剤の製造販売承認申請に係るガイダンスについて」
    (平成27年12月25日付け薬生審査発1225第6号)
  • ただし、栄養成分(たんぱく質、脂質、炭水化物等)を多く含むエキス(抽出物)等、
    及び菌(原生生物を含む。)由来のエキス(抽出物)は除く。

機能性関与成分の考え方について

  • 現行ガイドラインの機能性関与成分の考え方を示した記載部分につき、以下の修正を行う。
    1. 表示しようとする機能性に係る作用機序について、in vitro試験及びin vivo試験、又は臨床試験により考察されているものであり、直接的又は間接的な定量確認及び定性確認が可能な成分である。ただし、エキス(抽出物)等を機能性関与成分とする場合、表示しようとする機能性に係る作用機序について、少なくとも1つの指標成分について、in vitro試験及びin vivo試験、又は臨床試験により考察されているものであり、指標成分についての定量確認及び定性確認を行う必要がある。
  • また、定量確認及び定性確認が可能な成分の考え方の例を示している別紙1について、4つ目の分類として、以下の追記を行う。
  • エキス(抽出物)等である場合
    エキス(抽出物)等としての例: ○○エキス、××エキス
    (品質保証に、指標成分の定量確認だけでなく、形態学、分析化学(指標成分の定性的なパターン分析等)、分子生物学等の観点からの基原の保証が必要である。)

品質管理について(食品中の機能性関与成分等の分析に関する事項)

<指標成分について>

  • 以下の要件を満たすように指標成分を設定する。
    1. 複数の成分を設定できること。
    2. 基原等に特徴的な成分であること。ただし、機能性関与成分の対象外の栄養成分でないこと。
    3. 少なくとも1つの指標成分については、エキス(抽出物)等の機能性に係る作用機序について、in vitro試験及びin vivo試験、又は臨床試験により考察されている成分であること。

<定性確認>

  • 原材料として用いるエキス(抽出物)等及び最終製品のそれぞれにおいて定性確認を行う。
  • 定性確認に求められる事項としては、エキス(抽出物)等の規格の設定、ロット内及び複数ロットでの分析の実施を行う。

<定量確認>

  • 現行のガイドラインと同様、最終製品における定量分析の実施を行う。
  • 最終製品における指標成分の分析方法の妥当性の検証を行う。
  • ロット内及び複数ロットでの分析の実施を行う。

その他、以下の案が提示されています。

  • 安全性の評価方法:エキス(抽出物)等の規格の評価、パターン分析等によるエキス(抽出物)等の同等性の評価、及び崩壊性試験及び溶出試験等による最終製品としての同等性の評価を必須とする。
  • 品質管理:食品のGMPの項目に加え、崩壊性試験や溶出試験、重量偏差試験等を行い、製造過程の管理方法を届出資料中に詳細に記載する。
  • 国の関与(情報公開):機能性関与成分であるエキス(抽出物)等の規格を開示する。
  • 国の関与(体制の整備):届出情報の様式やガイドライン、消費者庁の体制を整備した上で、エキス(抽出物)等を機能性関与成分とする届出を可能とする。また、事後チェックの仕組みを充実させていく。

 ほとんど検討会資料のまま引用になりましたが…、いずれにしても、届出を検討される食品事業者にも消費者にも選択肢が広がることになります。「事業者の責任において科学的根拠を基に機能性を表示する」制度であることを再確認できる内容ですので、適切な品質管理と高い透明性を前提に、成分に特徴のある食品を扱う事業者がチャレンジできる場となればと思います。

参照:機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/kinousei_kentoukai.html