機能性表示食品制度見直しに伴う食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)の概要について

By | 2024年8月5日


 消費者庁は機能性表示食品制度見直しに伴う「食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)」についての意見募集を行いました(6/27~7/26)。
 改正案のポイントは、機能性表示食品の定義(第2条)を改正しその要件を明確化することにあります。機能性表示食品の届出事項および届出後の遵守事項が食品表示基準別表第26および27で規定され、機能性表示食品の要件とされています。本要件が遵守されていない食品は、食品表示基準第9条に違反するとして食品表示法による措置が可能になります。
 
 新しい機能性表示食品の要件の主なものは以下です。

  • 「科学的知見の充実によって機能性の表示をすることが適切でないと消費者庁長官が認める食品ではないこと」、つまり、機能性について十分な科学的根拠がないものについて、消費者庁が表示禁止の措置をすることが可能になります。
  • 届出後の遵守事項として、①新たな科学的知見(機能性、安全性)が得られた場合の消費者庁長官への報告、②品質管理(「天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品」はGMP基準への適合)、③健康被害情報の報告(医師が診断したものに限る。当該食品との因果関係が不明でも速やかに報告)、④これら遵守事項の自己チェック結果の年1回の報告、の4点が新設されています。なお、GMP基準(案)についても現在意見募集中(7/12~8/16)であり、次のコラム「機能性表示食品制度見直しに伴うGMP義務化の告示案のパブリックコメント募集が開始されました」で紹介しています。
  • 届出事項は、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」に規定されていた内容を基準(内閣府令)により明確化したものですが、「天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品」のGMP基準適合が新設されました。
  • パッケージ上の届出情報の表示方法も見直しされました。医薬品との誤認防止、トクホとの差別化、消費者への安全性や機能性の情報提供等の観点で表示方法が改正されています。

 パッケージにおける表示方法の見直し(第3条、別表第22)の主なものは以下です。

  • 「機能性表示食品」の表示は主要面上部に枠で囲って表示する。
  • 届出番号を「機能性表示食品」の表示の近接した位置に表示する。
  • 機能性表示(「科学的根拠を有する機能関与成分及び当該成分を含有する食品が有する機能性」)について、基準案(略)を見るだけでは「機能性表示」と冠す以外はどう変わるのかの理解が難しいですが、第74回食品表示部会(7/12)の【参考資料4】表示の例(7/23に差し替え)から、機能性表示を一部切り出して表示することは出来なくなること、機能性関与成分の研究レビューで届出するものについては、「報告がされている旨」を表示することが分かります。

 以下に第74回食品表示部会の【参考資料4】表示の例の機能性関与成分の研究レビューによる届出の食品の改正後の表示案を示しました(生鮮食品の例ですが、改正部分については共通で、赤字が変更点です)。


 最後に施行期日等ですが、上記部会の【参考資料3】機能性表示食品制度の見直し内容と施行期日等にまとまっています(一部9/1施行)。 
改正内容は、今後パブリックコメントを受けて微修正があるかもしれません。機能性表示食品を届出されている事業者の皆様、今後予定されている事業者の皆様は注視が必要です。


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谷本 浩之

食品製造の業界に長く在籍した経験を活かし、主に国内と海外から国内に輸入される原材料や添加物の調査業務のほか、食品規格、添加物、食品表示に関するコンサルティング業務に従事しています。
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