日本における食品添加物リストと食薬区分リストの取り扱いについて

By | 2020年11月6日


 この程弊社では、化学品に関する各国向け法規対応のコンサルティングを行っておられる中国の法人、REACH24Hコンサルティンググループ様の主催にてWebセミナーを実施致しました。頂いたテーマは、「日本における食品原材料並びに食品添加物に関する法的基準について」(原題:Regulatory Requirements of Food Ingredients/Additives Used in Japan)となっておりましたが、本コラムのタイトルに関するお話を中心にさせて頂きました。
 その際に聴講者の方々に頂いたご質問があるのですが、これらの中には海外の方々に日本の添加物制度について説明をする際に頂く質問と重複するものが数多くありますので、そのいくつかをこちらに簡単にまとめてみたいと思います。
 ちなみに、Webセミナー自体の内容は以下の通りとなっておりました。

Part 1: 食品添加物の使用基準について
    (原題:Standards of use for additives)
Part 2: 医薬品的効果効能を有する食品原材料の使用について
    (原題:Use of ingredients having medicinal effects/functions)
Part 3: 新規食品添加物の申請手続きについて
    (原題:Application procedure for new food additives)
Part 4: 新規添加物の使用に関する最新情報
    (原題:Updates regarding standards of use for additives (or newly accepted ones))
Part 5: 輸入食品における食品添加物の使用基準違反事例について
    (原題:Example of violation cases concerning the standards of use of additives in imported food products)

Webセミナー詳細はこちらをご覧ください。

 まずは、食品添加物リストと、食薬区分リストについてです。

  • 食品添加物のポジティブリストについて、申請に基づき使用が許可された添加物がリスト化されている「指定添加物リスト」と、永年の使用実績に基づき使用が認められている添加物がリスト化されている「既存添加物名簿」があること。
    一方、それ以外に、動植物由来の香料の基原物質や、一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるものについても、それぞれ「天然香料基原物質リスト」「一般飲食物添加物リスト」とリスト化されていること。
    (ここで日本以外の国々では「食品扱い」となっていることが多い「香料」について、日本では「食品添加物扱い」になること)
  • 食品原材料について、日本では、医薬品的効果効能を有するもの以外は使用基準がないが、医薬品的効果効能を有する食品原材料については食薬区分リストがあること。

 こうしたテーマについては、日本から海外へ輸出する場合にもよく似たケースがあるのですが、やはり「リストにないものの使用」について問われることが多いと感じています。例えば海外の方々からの関心としては、以下のような内容が挙げられます。

  • 天然香料について、基原物質としてリストアップされていない動植物由来の香料は使用可能か?
  • 一般飲食物添加物に収載以外の食品を添加物として使用する場合は、届出は必要か?
  • サプリメントの原材料は、食薬区分リストに収載のもののみ使用可能か?
  • novel food(新規食品)に関する規制の開発や傾向は日本ではどの様なものか?

 novel food(新規食品)については、食経験のない食品に対する規制があるEUとは異なり、同様の規制は現在存在していないというのが日本の状況です。そのため、食薬区分リストに記載のない食品原材料の使用や、リストに記載されていない動植物由来の香料や一般飲食物の添加物としての使用については、確かに分かりにくいと思われることもあると思います。

 ポイントを整理すると、「リストに記載されている医薬品的効果効能を有するもの以外の食品の使用は差支えないこと」、「天然香料と一般飲食物添加物については、リストに記載されているものは一例であり、それ以外のものも添加物としての使用は可能であること」、となると思います。
 その「一例」として、どの様な食品や基原となる動植物が、食薬区分リストや「天然香料基原物質リスト」、「一般飲食物添加物リスト」には収載されているのかについて、日本への食品の輸出を検討される方は、一度ご確認されておくことが必要かと思います。


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亀山 明一

翻訳・調査担当株式会社ラベルバンク
添加物製剤の業界に長く在籍した経験を活かし、添加物の調査業務を中心に、調査結果の英文と日本語との整合性確認業務に従事しています。また原材料の使用基準や食品表示基準などについて、英語でのセミナー講師も担当しています。
趣味は外国文化に触れることと旅行。

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・2020年10月20日 Regulatory Requirements of Food Ingredients/Additives Used in Japan
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