2015年3月20日に食品表示基準が公布され、2015年4月1日施行されました(ただし製造所固有記号の規定については1年後予定)。
加工食品と添加物は2020年3月31日まで、生鮮食品は2016年9月30日までが経過措置期間となります。
下記の主な変更点のほかに、新しく「機能性表示食品」についても規定されています。
主な変更点のまとめ
1.加工食品と生鮮食品の区分の変更
JAS法の考え方に基づく区分に整理。
簡単な加工を施したもの(例:ドライマンゴー)は「加工食品」に。
2.製造所固有記号の使用ルールの変更(※業務用食品を除く)
原則として同一製品を2以上の工場で製造する場合に限り使用可能に。
使用の場合は連絡先等を表示。
3.アレルギー表示のルールの変更
特定加工食品(「卵を含む」を省略できるマヨネーズ等)とその拡大表記を廃止。
また個別表示を原則とし、例外的に一括表示をする場合には一括表示欄に全て表示が必要に。
4.栄養成分表示の義務化(※業務用食品、一部小規模事業者等を除く)
原則としてすべての消費者向けの加工食品、添加物に栄養成分表示を義務化。
ナトリウムは食塩相当量で表示。
5.栄養強調表示のルールの変更
低減または強化された旨を表示する場合の、要件と計算方法が変更に。
新たに無添加強調表示の規定を追加。
6.栄養機能食品のルールの変更
対象食品の範囲を鶏卵以外の生鮮食品まで拡大。
表示できる成分に「n-3系脂肪酸」「ビタミンK」「カリウム」を追加。
また栄養素等表示基準値の変更に伴い、対象年齢及び基準熱量に関する文言の表示が新しく必要に。
7.原材料名表示等のルールの変更
パン類等の原材料と添加物表示順序を他の加工食品の方法に統一。
複合原材料の構成原材料の分割表示が可能に。
8.添加物(として販売されるもの)の表示ルールの変更
業務用は「表示責任者の氏名又は名称及び住所」を、一般消費者向けはこれに加え「内容量」を新たに表示。
9.通知等に規定されている表示ルールの一部を基準に規定
フグ及びボツリヌス食中毒対策の表示ルールを規定。
また栄養素表示基準値等の表示ルールを規定。
10.表示レイアウトの変更
小包装食品に対する省略不可項目の拡大と、製造者の表示義務対象の新規規定。
原材料と添加物は区分を明確にして表示。
最新の追加情報と実務上の注意点
2015年3月31日、「食品表示基準について」「食品表示基準Q&A」「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」が公表されました。
今後は、1つの食品で新基準による表示方法と旧基準による表示方法が(製造所固有記号の規定を除き)混在することのないよう、商品別の表示改版作業について具体的な計画を立てていく段階に入ります。
改版作業時の注意点ですが、上記のようなルールの変更を把握しておくこと以上に、短期間に多くの商品をまとめて改版しなければならない点への理解がポイントと思われます。原材料規格書から配合表、食品表示の作成と最終確認までを人が行いますので、作業量が多くなればそのぶんミスの確率も高くなる可能性があります。
また現在販売している商品の表示と規格書の情報に違いがあるなど、新しいミスに気付く可能性もあると思われます。ルール変更の節目を、情報管理体制の見直しの機会と捉えて、計画的に改版作業を進めていくことが大切だと感じています。
【参考】食品表示基準(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/index18.html
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150320_kijyun.pdf
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川合 裕之
■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。
■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)
【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」
>> 寄稿の詳細はこちら
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師
■最近の講演・セミナー実績
・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
アヌーガ・セレクト・ジャパン様主催。
・2023年12月21日 輸出食品における各国基準(添加物および食品表示等)調査と実務上のポイント
一般財団法人食品産業センター様主催。
・2023年11月9日 食品表示基準と実務上の大切なポイント~保健事項、衛生事項を中心に~
千代田保健所様主催。
・2023年11月8日 添加物の不使用表示について
株式会社インフォマート様主催。
・2023年10月12日~13日 海外輸出向け食品の表示(添加物、栄養成分等)について
公益社団法人日本食品衛生学会様主催。
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