2015年の主な食品表示ニュースと今後の予定

By | 2016年1月4日

あけましておめでとうございます。おかげさまで、ラベルバンク新聞も8 年目を迎えました。いつもありがとうございます。本年もお届けできるよう頑張りますので、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

さて2015年は食品表示を取り巻く環境に大きな変化がありました。今回のコラムでは、食品表示の実務を担当する方にとって重要となった出来事を、昨年の時系列でまとめてみたいと思います。

昨年の主な出来事


2015年 1月 「遺伝子組換え食品に関する品質表示基準」改正(ステアリドン酸産生大豆関連)
「乳等表示基準府令※1」改正(リステリア・モノサイトゲネス関連)
3月 「食品、添加物等の規格基準」一部改正(保健機能食品関連)
「安全性に重要な影響を及ぼす事項等を定める内閣府令※2」公布
「食品表示基準」「食品表示基準Q&A」「食品表示基準について(施行通知)」公表
「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」公表
4月 「食品表示基準」施行
「機能性表示食品」届出受付開始
「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」使用期間開始
5月 「食品表示法における酒類の表示のQ&A」公表
6月 「食品表示基準について(施行通知)」第1次改正
「機能性表示食品の届出書作成に当たっての留意事項」公表
「地理的表示保護制度(GI マーク)」運用開始
7月 「食品表示基準Q&A」第1 次改正
「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」開催
9月 「食品表示基準について(施行通知)」第2次改正
「機能性表示食品の届出書作成に当たっての確認事項」公表
10月 「酒類の地理的表示に関する表示基準」改正
「果実酒等の製法品質表示基準」公布
12月 「改正景品表示法※3」公布(課徴金制度関連)
「食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会」開催
「食品表示基準Q&A」第2次改正※4
「食品表示基準について(施行通知)」第3次改正※4

このコラムでは主に新しい「食品表示基準(アレルギー、添加物、栄養成分、強調表示等)」を取り上げてきましたが、食品表示に関することとしてもう少し広く見るとこのような出来事がありました。食品表示担当の業務範囲も人によって様々だと思いますので、例えばトランス脂肪酸やレッドミートへの対応で忙しかった方や、機能性評価試験と製品分析に追われた方など様々な1年だったかと思います。

今年以降に予定されていること


また、今年以降に予定されている食品表示関連の出来事についても、まとめてみたいと思います。

2016年 4月 「製造所固有記号データベース」運用開始
「改正景品表示法※3」の施行
9月 「食品表示基準」の経過措置期間(生鮮食品)終了
2017年 4月 機能性表示食品制度見直し目途(「施行後2年を目途に新制度の施行状況を検討」)
2020年 3月 「食品表示基準」の経過措置期間(加工食品、添加物)終了
「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」の使用期間終了

新しい食品表示基準への移行作業については、ポイントになるのはやはり今年4月に予定されている「製造所固有記号データベース」の運用開始かと思われます。ここで新しい固有記号を申請し取得することで、今後の改版作業を進める計画を立てられている方も多いと思いますので、現在ではまだ少ない新基準表示の商品も、今年の秋口からは多くの商品が店に並ぶようになるのではと思います。

機能性表示食品については、「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書」において「施行後2年を目途に新制度の施行状況を検討」と記載がありますので、今年の後半あたりから見直しに関する話題が増えていくようになるのではと思われます。
 
これらの変化を契機に、さしあたって業務に求められるのは「情報管理」あたりからが多いかと思いますが、以前に比べて大量の情報を短時間で扱うようになった今の業務環境においては、以前にも増して1つ1つ丁寧に確認できる仕組みづくりの重要性が問われてくる、そんな1年になるのではと思います。
長々と書きましたが、今後も少しでもお役に立てるコラムを書いていきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

注釈:
※1「食品衛生法第19条第1項の規定に基づく乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品の表示の基準に関する内閣府令」(2015年1月9日)
※2「食品表示法第6条第8項に規定するアレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項等を定める内閣府令」(2015年3月20日)
※3「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」(2015年12月16日)
※4 昨年末の12月24日に、「食品表示基準Q&A」「食品表示基準について(施行通知)」が改正されています。
「ナトリウム低減」の特例の規定や、新しい「製造所固有記号」の詳細等が公表されていますので、確認をおすすめします。

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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
 アヌーガ・セレクト・ジャパン様主催。
・2023年12月21日 輸出食品における各国基準(添加物および食品表示等)調査と実務上のポイント
 一般財団法人食品産業センター様主催。
・2023年11月9日 食品表示基準と実務上の大切なポイント~保健事項、衛生事項を中心に~
 千代田保健所様主催。
・2023年11月8日 添加物の不使用表示について
 株式会社インフォマート様主催。
・2023年10月12日~13日 海外輸出向け食品の表示(添加物、栄養成分等)について
 公益社団法人日本食品衛生学会様主催。

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