製造所固有記号制度届出データベースの使い方

By | 2016年6月2日

 2016年4月より、「製造所固有記号制度届出データベース」が公開されています。今月のコラムは、そのデータベースを使って製造所を検索する方法と、製造所固有記号の届出の方法についてまとめてみたいと思います。

検索ページの使い方


 まずは実際に使ってみましょう。
消費者庁のウェブサイト(http://www.caa.go.jp/)のトップページ下部「注目コンテンツ(※)」にある、「消費者の方」のサービス一覧から、「製造所固有記号の届出情報を確認される方へ」をクリックします。(※2016年5月30日現在)
「製造所固有記号制度届出データベース」というページが表示されますので、ページ上部にある、「製造所固有記号の届出情報を確認される方へ」内の「製造所固有記号の検索」をクリックすると、検索ページに移動できます。

 最初に、製造所固有記号を入力する欄に記号を入力して、検索ボタンをクリックします。
試しに手元にある飲料の製造所固有記号を入力しましたが、やはり始まったばかりの仕組みですので、現時点ではあまり多くは登録されていないようです。ただ、記号の頭文字を入力することで候補が表示されますので、そこから選ぶことができるなど、使いやすい仕組みになっていると思います。

知ることのできる情報


 商品に表示されている販売者名と所在地の他に、製造者名と所在地を知ることができます。
製造者名は会社名(または個人名)まで、所在地は番地まで表示されます。
表示される情報はこの2点だけですので、使ってみるとかなりシンプルに感じるでしょう。

 ただ、これまで各企業に電話をするか、各企業のホームページの中から探すかなどしなければ分からなかった情報を、一か所のホームページから簡単に確認できるようになったということは、大きな変化だと思います。

【製造者固有記号検索 結果例(見本)】

法人番号 製造者又は販売者 住所 製造所固有記号 製造者の名称 製造所の所在地
************* 株式会社ラベル食品 大阪市淀川区西中島○丁目○番○号 ABC 株式会社○○食品工業 兵庫県○○市○○町○番○号

届出には「ID」が必要


 さて消費者側から見ると便利になった今回の仕組みですが、事業者側から見るとひと手間かかります。届出作業をインターネット上で行うことになった点は分かりやすい変更点ですが、それ以上に「届出」に対して登録が必要になったことが挙げられると思います。

 手続きにはユーザIDが必要なのですが、これを取得するためには「食品関連事業者」としての基本情報を届出することになります。「食品関連事業者」とは、表示責任者のことを指します。一括表示に、表示内容に責任を有する者として表示されている会社のことです。

 基本情報の届出には、会社名や担当者連絡先のメールアドレスなどの情報のほか、法人番号やパスワードを入力して送る必要があります。ここで不備があれば差し戻しメールがあり、不備がなければユーザIDが発行されるという流れです。そしてその後に、ユーザIDとパスワードを使ってログインし、ここで製造所固有記号の届出(記号と、それに対応した製造者氏名、製造所所在地等)を行うことができるようになります。

 ログイン後は、大量の届出情報を一括インポートできる専用ファイルや、製造計画(2以上の製造所で製造する予定がある場合に、製造者氏名と所在地を記入するもの)を添付するためのエクセルファイルも使用できます。これらは、同じく「製造所固有記号制度届出データベース」のページ内からダウンロードできるようになっています。

消費者が求める「場所」情報


 このような情報公開の仕組みができた背景として、製造所の名称と所在地を確認したい要望は以前からあったことから、今回の一元化にあわせて実現することとなりました。ただ、製造所の名称と所在地が分かるようになりましたが、表示により安全が担保されるというわけではありません。この意味では、原産地表示の制度に近い性質を持っていると言えるでしょう。

 それでも、こうした「場所」に関する表示が安心安全に必要とされている側面があることも事実です。今回の「製造所固有記号制度届出データベース」による製造者名・製造所所在地の公開が、私を含め食品に関わる仕事をする人に改めてその大切さを考えさせるきっかけの1つになっていくのではと思います。

参照資料:
製造所固有記号制度届出データベース
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/unique_code/

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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

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