2018年8月8日、「特別用途食品の表示許可等について」(平成29年3月31日消食表第188号)が一部改正され、特別用途食品に「乳児用液体ミルク」が追加されました。特別用途食品について再確認できるよう、制度の概要とあわせて改正内容をとりあげてみたいと思います。
改正の背景について
消費者庁報道発表資料に、改正背景とポイントが掲載されていますので、こちらに抜粋します。
平成30年8月8日
特別用途食品における乳児用液体ミルクの許可基準設定について特別用途食品の販売に当たっては、健康増進法に基づき、その表示について国の許可を受ける必要がありますが、これまで乳児用液体ミルクについては、母乳代替食品としての用に適する旨を表示するための許可基準が設定されていませんでした。
本日、乳児用液体ミルクの普及実現に向けて、「健康増進法施行令第3条第2号の規定に基づき内閣総理大臣が定める区分、項目及び額(消費者庁告示)」及び「特別用途食品の表示許可等について(消費者庁次長通知)」を改正し、特別用途食品における乳児用液体ミルクの許可基準を設定・施行したので、公表します。
改正のポイント
○ 特別用途食品における乳児用調製乳の区分追加
乳児用液体ミルクの名称を乳児用調製液状乳とした上で、新たに「乳児用調製乳」の区分を追加し、その下に「乳児用調製粉乳」及び「乳児用調製液状乳」の区分を設定。
○ 乳児用調製液状乳の必要的表示事項を規定
当該食品が母乳の代替食品として使用できるものである旨(ただし、乳児にとって母乳が最良である旨の記載を行うこと。)、標準的な使用方法等の必要的表示事項を新たに規定。
○ 乳児用調製乳の許可基準にセレンを追加(平成34年4月1日から適用)
食品衛生法に基づく食品添加物の規格基準の改正に係る検討状況を踏まえ、新たに成分組成の基準に、セレンを追加。
特別用途食品とは
病者用食品、妊産婦、授乳婦用粉乳、乳児用調製乳及びえん下困難者用食品について、特区別の用途を表示されたものをいいます。許可制の表示であり、こちらのマークを貼付することができます。
「特別用途食品とは(消費者庁)」より
- 乳児の発育や、妊産婦、授乳婦、えん下困難者、病者などの健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示を行うもの。
- 特別用途食品として食品を販売するには、その表示について消費者庁長官の許可を受けなければならない。
- 表示の許可に当たっては、規格又は要件への適合性を審査し、許可。
許可制の表示ですので、消費者庁に申請が必要になります。現在許可されている商品は51商品※ですが、内訳の表を見ると特別用途食品の体系がわかりやすいので、こちらに抜粋します(「特別用途食品表示許可件数内訳(消費者庁)」より)。今回改正の「乳児用液体ミルク」は、以下表の「乳児用調製粉乳」の欄に追加される形となります。
《特別用途食品 表示許可件数内訳》 平成30年8月6日現在
食品群 | 表示許可件数 | ||
---|---|---|---|
病者用食品 | 許可基準型 | 低たんぱく質食品 | 11 |
アレルゲン除去食品 | 6 | ||
無乳糖食品 | 4 | ||
総合栄養食品 | 5 | ||
個別評価型 | 8 | ||
妊産婦、授乳婦用粉乳 | 0 | ||
乳児用調製粉乳 | 8 | ||
えん下困難者用食品 | えん下困難者用食品 | 12 | |
とろみ調整用食品 | 0 |
※アレルゲン除去食品及び無乳糖食品として許可しているもの3件については、それぞれの食品群で計上しているため、許可品数は51件
これらの発表資料は、消費者庁サイト「特別用途食品 許可制」に掲載されています。制度を通じてこうした食品分類のニーズをあらためて確認できる機会にもなると思いますので、関心のある方は一度目を通しておかれるとよいと思います。
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井上 慎也
趣味は自転車。
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