強調表示とは

By | 2018年11月5日

食品表示基準での強調表示といえば、栄養成分強調表示(高い旨、含む旨等)を思い浮かべる方が多いのではと思いますが、不当表示を防ぐ目的で広義にとらえると様々な強調表示がありますので、ミニコラムとしてまとめてみたいと思います。

以下の図は、強調表示の類型についてまとめたものです。

上下の違いは、強調の目的の違いです。
安全や健康に関して強調をする場合と、商品の品質に関して強調をする場合に分けています。
左右の違いは、強調の内容の違いです。
何かを使用しているか、強化している場合と、何かを使用してないか、軽減している場合に分けています。

これらの強調表示の際には、根拠(エビデンス)となる資料が必要となります。原材料の種類に関する強調の場合であれば、原材料規格書や製造記録などが該当します。栄養成分の量に関する強調の場合であれば、栄養成分の分析成績書などが該当します。

食品の場合、すべての原材料について常に同じ規格のものを安定して使用することは、簡単ではないケースが多いと思います。ですので、毎年定期的に原材料規格書や分析成績書を更新するといった品質保証(表示してあることと実際との整合性を確認する)業務が大切といえます。

強調している表示に対して、保有している根拠資料が適切でなければ、不当表示となる恐れがあります。その点で、強調表示と不当表示は背中合わせのような関係と考えてよいでしょう。何かを強調するには、それにふさわしい根拠が必要です。

保有している根拠資料が強調表示の根拠として適切であるかどうかを、一度見直しをする機会にしていただければと思います。

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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
 アヌーガ・セレクト・ジャパン様主催。
・2023年12月21日 輸出食品における各国基準(添加物および食品表示等)調査と実務上のポイント
 一般財団法人食品産業センター様主催。
・2023年11月9日 食品表示基準と実務上の大切なポイント~保健事項、衛生事項を中心に~
 千代田保健所様主催。
・2023年11月8日 添加物の不使用表示について
 株式会社インフォマート様主催。
・2023年10月12日~13日 海外輸出向け食品の表示(添加物、栄養成分等)について
 公益社団法人日本食品衛生学会様主催。

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