あけましておめでとうございます。本年もどうぞ、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
さて昨年も食品表示に関する様々な出来事がありました。今年、2020年は食品表示基準の経過措置期間が終了する年でもありますので、今後どのような予定になっているのかをあらためて確認する機会にしていただければと思います。
昨年の主なニュース
食品表示業務を担当される方にとって最も大きな関心ごととなったのは、やはり2019年9月にアレルゲン推奨品目にアーモンドが追加されたことかと思います。主に「食品表示基準」、「食品表示基準について(通知)」、「食品表示基準Q&A」を中心に、関連する基準等の改正とその概要についてこちらに整理してみました。
2019年 | 3月 | 食品表示基準Q&A第6次改正(「栄養成分表示者」※1等の記載) |
機能性表示食品の届出等に関するガイドライン改正 (「軽症者を含むデータ」※2等の記載) |
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機能性表示食品に関する質疑応答集改正(「専ら医薬品成分本質リスト」※3等の記載) | ||
冠表示における原料原産地情報の提供に関するガイドライン公表※4 | ||
4月 | 食品表示基準改正(遺伝子組換え表示制度※5) | |
第1回食品添加物表示制度に関する検討会開催※6 | 6月 | 特別用途食品、特定保健用食品の表示許可等に関する事務手続きの改正 |
9月 | 食品表示基準について 第17次改正(「アーモンド」※7等の記載) | |
食品表示基準Q&A 第9次改正 (「アーモンド」※7、「ゲノム編集技術応用食品」※8等の記載) |
※2. 被験者に軽症者が含まれたデータの使用を例外的に認める範囲について別紙として通知
※3. 医薬品に該当しない限り「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」内の関与成分も対象
※4. 「冠表示」となる原材料については重量順位にかかわらず自主的な原産地等の表示を推進
※5. 「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」は、遺伝子組換え農産物が混入しない場合に限り表示可
※6. 2020年3月末までに最終報告予定、とりわけ「〇〇無添加」「〇〇不使用」表示には留意必要
※7. 特定原材料に準ずるものへの「アーモンド」の追加により、特定原材料等の品目数を27から28へと変更
※8. 遺伝子組換え食品に該当しないゲノム編集技術応用食品及び原材料への表示は義務としない
また、多くの「表示に関する公正競争規約」が改正され、そして「食品のりの表示に関する公正競争規約」が廃止されましたので、あらためて整理してみます。
◆2019年に改正された公正競争規約:
ナチュラルチーズ・プロセスチーズ及びチーズフード、アイスクリーム類及び氷菓、果実飲料等、コーヒー飲料等、凍り豆腐、包装食パン、しょうゆ、食用塩、観光土産品、はちみつ類、輸入ビール、ウイスキー、輸入ウイスキー、泡盛、単式蒸留焼酎◆食品表示基準施行(2015年)以降に廃止された公正競争規約:
殺菌乳酸菌飲料(2018年廃止)、合成レモン(2018年廃止)、食品のり(2019年廃止)
今後の予定
最後に、今年3月末までとなった食品表示基準(加工食品)の経過措置期間終了のほか、今後数年の間に変更が予定されている表示関連情報をまとめてみました。
2020年3月31日 | 「食品表示基準」の経過措置期間(加工食品、添加物)(製造所固有記号)終了 |
2021年6月1日 | 「食品表示法の一部を改正する法律」の施行期日(自主回収報告の義務化) |
2022年3月31日 | 新たな原料原産地表示制度 経過措置期間終了 |
2021年~2022年※ | 「くるみ」のアレルゲン義務表示品目への移行予定 |
※2019年7月、くるみの義務表示品目への指定については「実行担保の観点から、試験方法の開発と妥当性評価が必要」等の検討課題が整理されているため、2~3年後の施行を目途に準備が進められています。
なお、2019年8月には「食品表示の全体像に関する報告書(消費者委員会食品表示部会)」も発表されました。「分かりやすさ」や「ウェブ」についての考え方も整理されていますので、今後よりよい表示を模索されたい方は一度目を通されたうえで、今後の予定について検討されるとよいのではと思います。
食品表示基準Q&A第6次改正 新旧対照表(「栄養成分表示者」等)
機能性表示食品の届出等に関するガイドライン(「軽症者を含むデータ」等)
機能性表示食品に関する質疑応答集(「専ら医薬品成分本質リスト」等)
食品添加物表示制度に関する検討会
冠表示における原料原産地情報の提供に関するガイドライン
食品表示基準改正 新旧対照表(遺伝子組換え表示制度)
食品表示基準について 第17次改正 新旧対照表(「アーモンド」等)
食品表示基準Q&A 第9次改正 新旧対照表(「アーモンド」、「ゲノム編集技術応用食品」等)
表示に関する公正競争規約一覧
食品表示の全体像に関する報告書(内閣府消費者委員会食品表示部会)
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川合 裕之
■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。
■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)
【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」
>> 寄稿の詳細はこちら
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師
■最近の講演・セミナー実績
・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
アヌーガ・セレクト・ジャパン様主催。
・2023年12月21日 輸出食品における各国基準(添加物および食品表示等)調査と実務上のポイント
一般財団法人食品産業センター様主催。
・2023年11月9日 食品表示基準と実務上の大切なポイント~保健事項、衛生事項を中心に~
千代田保健所様主催。
・2023年11月8日 添加物の不使用表示について
株式会社インフォマート様主催。
・2023年10月12日~13日 海外輸出向け食品の表示(添加物、栄養成分等)について
公益社団法人日本食品衛生学会様主催。
>> 講演・セミナーの詳細はこちら
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