【4月13日追記】新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足を受けた 食品表示基準と米トレーサビリティ法の弾力的運用について

By | 2020年4月8日

【最終更新日:2020年4月13日】

2020年4月10日、消費者庁より新しい通知が発表されています。
対象国を中国の1ヶ国とした前回(2020年3月3日、9日)の通知は廃止され、特定の国を対象とせず、また対象となる表示事項が拡大されています。詳細はこちらをご覧ください。

2020年3月3日、消費者庁と農林水産省による連名で「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について」を発表しました。また3月9日に続けて、「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足を受けた米トレーサビリティ法の弾力的運用について」を発表しています。

【背景】

現在、中国における新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足により、法令を遵守し、一般消費者に対し、容器又は包装への表示により、中国産である旨の産地情報の伝達を行っている商品について、中国産以外の原材料への切替えを検討している食品関連事業者が容器包装の資材変更に即時対応できず生産が滞るなど、米穀等に関する適正かつ円滑な流通に支障が生じている

【目的】

新型コロナウイルス感染症の拡大が社会的、経済的活動に影響を及ぼしている現状において、一般消費者の需要に即した食品の安定供給に向けた生産体制を確保するため

<通知の概要(食品表示基準)>

  • 中国産として原料原産地表示を行っている商品について、原料原産地表示の中国産との表記と実際に使用されている原材料の原料原産地に齟齬がある場合であっても、一般消費者に対して、店舗等内の告知、社告、ウェブサイトの掲示等により当該商品の適正な原料原産地に係る適切な情報伝達がなされている場合に限り、食品表示基準を弾力的に運用する
  • なお今回の運用は、食品の生産及び流通の円滑化を図るために講じるものであり、消費者を欺瞞するような悪質な違反に対しては、これまでどおり厳正な取締りが行われる

<通知の概要(米トレーサビリティ法)>

  • 中国産である旨の産地情報の伝達を行っている商品(※1)について、原料原産地表示の中国産との表記と実際に使用されている原材料の産地に齟齬がある場合であっても、一般消費者に対して、店舗等内の告知、社告、ウェブサイトの掲示等により当該商品の適正な産地に係る適切な情報伝達がなされている場合に限り、米トレーサビリティ法(※2)第8条の規定を弾力的に運用する
  • なお今回の運用は、米穀等に関する適正かつ円滑な流通を図るために講じるものであり、一般消費者を欺瞞するような悪質な違反に対しては、これまでどおり厳正な取締りが行われる

※1.米トレーサビリティ法施行令第1条に掲げる飲食料品のうち、清酒、単式蒸留しょうちゅう、みりん、もちを除いたもので、産地が「中国」である旨を容器包装に表示した商品
※2.『米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律』

 詳細は、以下のページで確認してください。なお、この原稿執筆時点(2020年3月31日)では、対象国は「中国」の1ヶ国のみです。

参照:消費者庁「食品表示に関するお知らせ」

 また農林水産省サイトにおいては「食品産業事業者に新型コロナウイルス感染者が発生した時の対応及び事業継続に関する基本的なガイドライン」が発表されています。感染拡大防止を前提として、食料安定供給の観点から、業務継続を図る際の基本的なポイントが記載されていますので、あわせて確認をされておかれるとよいと思います。

【2020/4/13 追記】

 2020年4月10日、消費者庁より新しい通知が発表されています。
対象国を中国の1ヶ国とした前回(2020年3月3日、9日)の通知は廃止され、特定の国を対象とせず、また対象となる表示事項が拡大されています。

1)新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について

食品表示法第六条第八項に規定するアレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項を定める内閣府令(平成 27 年内閣府令第 11 号)第1条に定める事項を除き、食品表示基準に基づき容器包装に表記された原材料等、原料原産地又は栄養成分の量などの表示事項と実際に使用されている原材料等、その原料原産地又は当該原材料等から得られる栄養成分の量などの表示事項に齟齬がある場合であっても、一般消費者に対して、店舗等内の告知、社告、ウェブサイトの掲示等により当該食品の適正な原材料等その他の情報が適時適切に伝達されている場合にあっては、当分の間、取締りを行わなくても差し支えないこととします

2)新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた米トレーサビリティ法の弾力的運用について

容器又は包装の表記と実際に使用されている原材料の産地に齟齬がある場合であっても、一般消費者に対して、店舗等内の告知、社告、ウェブサイトの掲示等により当該商品の適正な産地に係る適時適切な情報伝達がなされている場合にあっては、当分の間、取締りを行わなくても差し支えないこととします

3)新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた製造所等及び製造所固有記号の表示の運用について

1.製造所等の表示の運用について
他の製造所等に食品の製造又は加工を委託する場合など、基準第3条に基づき容器包装に表示された製造所等と実際の製造所等が異なる場合であっても、製造所等の表示の取扱いの特例として、当面の間、別添届出様式(様式第1号)を用いて届け出ることにより、実際の製造所等と容器包装に表示された製造所等が異なることとなっても差し支えないこととします。

2.製造所固有記号の表示の運用について
基準第3条に基づき容器包装に表示された製造所固有記号が示す製造所と実際の製造所が異なる場合であっても、製造所固有記号の表示の取扱いの特例として、当面の間、別添届出様式(様式第2号及び第3号)を用いて届け出ることにより、使用していた記号を他の製造所に例外的に使用できることとします。

 詳細は各通知にてご確認ください。


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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
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