有機JAS制度とは、JAS法(日本農林規格等に関する法律)に基づき、「有機JAS」に適合した生産が行われていることを第三者機関が検査し、認証された事業者に「有機JASマーク」の使用を認める制度です。
諸外国と同様に、コーデックス(食品の国際規格を定める機関)のガイドラインに準拠し、農畜産業に由来する環境への負荷を低減した持続可能な生産方式の基準を規定しています。
- 有機農産物にあっては、堆肥等で土作りを行い、化学合成肥料及び農薬の不使用を基本として栽培
- 有機畜産物にあっては、有機農産物等の給与、過剰な動物医薬品等の使用の制限、動物福祉への配慮等により飼養
- これらの生産に当たっては、遺伝子組換え技術は使用禁止 など
JAS法ではこれまで、「指定農林物資」として、有機農産物及びその加⼯品を指定しており、これらは第三者認証を受け有機JASマークを付さなければ「有機」等との表⽰ができず、有機畜産物及びその加⼯品は指定していなかったため、これらは有機JASマークを付さなくとも「有機」等との表⽰が可能でしたが、2020年7月16日より、有機畜産物、有機畜産物加工食品についても第三者認証を受け有機JASマークを付さなければ「有機」等との表⽰はできないことになりました。
これまで、「有機たまご」、「有機牛乳」、「有機ハム」、「有機ミルクチョコレート」といった食品については有機JASマークを付さなくとも表示が可能であったのが、有機農産物や有機農産物加工品と同様にJASマークを付して販売する必要があります。
有機認証制度の相互承認として、有機認証について他国の制度を自国の制度と同等と認め、相手国の有機認証品を自国の有機認証品として取り扱う国家間の取決めがあり、現在は下記の国において承認されています。
有機農産物、有機畜産物及び有機加工食品・・・アメリカ、カナダ、スイス、オーストラリア
有機農産物、有機農産物加工品・・・アルゼンチン、ニュージーランド、EU、台湾※
※台湾との間では、公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会との間の民間取決めを踏まえ、日台双方の関係当局が日台の制度を同等と認め、相手側の有機認証品を自国・地域の有機認証品として取り扱うこととしたもの。
これらの国で生産し、これらの国の制度で有機認証を受けた製品は、有機同等性を利用し「有機〇〇」などと表示することができます。それ以外の国や地域から輸入する場合は、製造者が有機JAS認証を取得していなければ「有機〇〇」と表示できません。
有機畜産物、有機畜産物加工食品の移行期間は、2020年7月16日以降に表示を付す場合は規制の対象となります。2020年7月16日以前に生産、製造又は加工された畜産物又はその加工食品でも同様になります。
輸入品の場合は2020年7月16日以降に輸入業者が「販売」、「販売の委託」、「販売の陳列」などをする場合に対象になります。
表示については「有機農産物、有機加工食品、有機畜産物及び有機飼料のJASのQ&A」(問34-1~34-15)にも記載がありますので、ご一読ください。
有機畜産物、有機畜産物加工食品についての有機JAS制度もすでに始まっています。対象食品を生産、扱っている会社様におきましては、再度有機JAS制度、有機JASマークについてご確認いただけるきっかけになると幸いです。
有機JAS制度について
第2弾 有機畜産物指定農林物資化パンフレット
有機畜産物及びその加⼯品の指定農林物資化
JAS制度と同等の制度を有する国・地域(令和2年7月現在)
有機農産物、有機加工食品、有機畜産物及び有機飼料のJASのQ&A
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