あけましておめでとうございます。本年もどうぞお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
年初にあたり、まずは昨年に起きた食品表示に関するニュースと、今後の予定について整理してみました。昨年は新型コロナ感染症に関する話題が多かったと思いますが、ここでは食品表示関連の話題について改めて確認する機会にできればと思います。
昨年の主なニュース
食品表示に関する実務を進めるうえで大きな話題となったのは、添加物の表示の見直しのため、2020年7月に食品表示基準から「人工」「合成」の用語が削除されたことかと思います。主に「食品表示基準」を中心に、関連する基準等の改正とその概要についてこちらに整理してみました。
2020年 | 3月24日 | 「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」公表※1 |
3月27日 | 食品表示基準の一部改正(「指定成分含有食品※2」等の追加) | |
3月31日 | 「食品表示基準」の経過措置期間(加工食品、添加物)(製造所固有記号)終了 | |
3月31日 | 「食品添加物表示制度に関する検討会報告書」公表※3 | |
7月16日 | 食品表示基準の一部改正(「魚介類の名称のガイドライン」の一部改正※4、「人工」「合成」の用語の削除※5、「有機畜産物の日本農林規格」の追加※6、等) | 8月21日 | 「特定保健用食品の表示に関する公正競争規約及び同施行規則」施行※7 |
10月14日 | 「玄米及び精米の食品表示制度の改正(案)」のパブリックコメント募集※8 |
※2.「コレウス・フォルスコリー」、「ドオウレン」、「プエラリア・ミリフィカ」、「ブラックコホシュ」の4成分が対象。
※3.「人工」「合成」の用語は削除とした。「無添加」、「不使用」等は、新たにガイドラインが策定される予定。
※4.同時に「魚介類の名称のガイドラインに係る魚類の新標準和名の提唱手順」を公表。
※5.第3条第1項の表(着色料)、別表第6(甘味料、着色料、保存料)、別表第7(香料)を改正。
※6.有機畜産物、有機畜産物加工食品についても第三者認証を受け有機JASマークを付すことが必要。
※7.「容器包装以外の表示」(広告等の表示)についても「必要」「推奨」「任意」表示事項を規定している。
※8.農産物検査規格の見直しに伴う改正案。意見募集後(11月18日、12月17日)の審議中。
その他、「食品表示基準について(通知)」については1月15日、3月27日、6月18日、7月16日、11月30日に第18~22次改正が、「食品表示基準Q&A」については3月27日に第10次改正、7月16日に第11次改正が行われています。
また3月から4月にかけて、新型コロナウイルス感染症を背景に、食品表示制度に関しての弾力的な運用に関する通知も発表されました。(「新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について」「(同)米トレーサビリティ法の弾力的運用について」「(同)製造所等及び製造所固有記号の表示の運用について」等)
今後の予定
最後に、今後数年の間に予定されている表示関連情報をまとめてみました。
2021年6月1日 | 「食品表示法の一部を改正する法律」の施行期日(自主回収報告の義務化) |
2021年7月1日 | 「玄米及び精米の食品表示制度の改正」の施行予定 |
2022年3月31日 | 新たな原料原産地表示制度 経過措置期間終了 |
未定 | 「くるみ」のアレルゲン義務表示品目への移行予定 |
「無添加」、「不使用」等の表示に関するガイドラインの策定 | |
栄養強化目的の添加物についての実態調査実施(原則全ての加工食品に表示させる方向) |
昨年は新型コロナ感染症とその影響に関する話題が多くを占めた年でした。今年は少なくとも、昨年よりは明るい話題が増えるよう願っています。
機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針
食品表示基準 新旧対照条文(令和2年3月27日内閣府令第20号)(「指定成分含有食品」等の追加)
食品添加物表示制度に関する検討会報告書
食品表示基準 新旧対照条文(令和2年7月16日内閣府令第52号)(「魚介類の名称のガイドライン」の一部改正、「人工」「合成」の用語の削除、「有機畜産物の日本農林規格」の追加、等)
特定保健用食品の表示に関する公正競争規約及び同施行規則
食品表示基準の一部改正案に関する意見募集について(「玄米及び精米の食品表示制度の改正(案)」)
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川合 裕之
■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。
■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)
【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」
>> 寄稿の詳細はこちら
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師
■最近の講演・セミナー実績
・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
アヌーガ・セレクト・ジャパン様主催。
・2023年12月21日 輸出食品における各国基準(添加物および食品表示等)調査と実務上のポイント
一般財団法人食品産業センター様主催。
・2023年11月9日 食品表示基準と実務上の大切なポイント~保健事項、衛生事項を中心に~
千代田保健所様主催。
・2023年11月8日 添加物の不使用表示について
株式会社インフォマート様主催。
・2023年10月12日~13日 海外輸出向け食品の表示(添加物、栄養成分等)について
公益社団法人日本食品衛生学会様主催。
>> 講演・セミナーの詳細はこちら
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