6月25日に酒類の保存のため物品を混和することができる酒類の品目等を定める等の件の一部が改正され、「果実酒及び甘味果実酒」に「カゼインカリウム」が記載されました。酒類に使用する添加物については厚生労働省作成の食品添加物公定書の他、国税庁作成の「酒類の保存のため酒類に混和することができる物品」等についても関連してきますので、今回はこちらの確認点についてお伝えできればと思います。
酒類の品目 | 混和することができる物品名 |
---|---|
全酒類 | 活性炭、フィチン酸、寒天、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カラギナン、ベントナイト、活性白土、ケイソウ土、微小繊維状セルロース、小麦粉、グルテン、卵白、柿タンニン、タンニン、二酸化ケイ素、ポリビニルポリピロリドン、コラーゲン、パパイン、プロテアーゼ、キトサン、エンドウたんぱく、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、窒素、ウレアーゼ、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア又はイオン交換樹脂 |
みりん | ペクチナーゼ |
ビール又は 発泡酒 |
木材チップ、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム又はピロ亜硫酸カリウム |
果実酒及び 甘味果実酒 |
ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、β-グルカナーゼ、カゼイン、カゼインナトリウム、カオリン、パーライト、ばれいしょたんぱく質、酵母たんぱく質抽出物、キチングルカン、ビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体、カゼインカリウム、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、二酸化硫黄、アルゴン、DL-酒石酸水素カリウム、L-酒石酸水素カリウム、アラビアガム、クエン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メタ酒石酸、DL-酒石酸カリウム、微結晶セルロース、酵母自己消化物、酵母細胞壁、不活性酵母、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、リゾチーム、二炭酸ジメチル又はL-酒石酸カリウム |
※実際の告知サイトでは表下に記載されている「注記」部分は割愛しています。
上の表は、下記、酒税法施行規則第13条第8項第3号の規定により定められたものとなります。
8 酒類の保存のため、次の各号に掲げる品目の酒類に当該各号に定める物品を混和したときは、それぞれ新たに酒類を製造したものとみなさないものとし、当該混和後の酒類の品目は、当該混和前の酒類の品目とみなす。
一 清酒 乳酸、こはく酸又はりんご酸
二 果実酒又は甘味果実酒 酒石酸又はメタ重亜硫酸カリウム
三 国税庁長官が指定する品目の酒類 国税庁長官が指定する物品
飲食物に使用する添加物について、使用基準を確認する場合は「第9版食品添加物公定書」の「F使用基準」より確認されると思いますが、酒類の場合は「酒類の保存のため酒類に混和することができる物品(長官指定告示物品)」についても併せて確認することとなります。
また、長官指定告示物品の使用目的については、下記のように細目と定義が定められています。長官指定告示物品を指定されている細目以外の目的で使用することはできませんので、酒類の品目に対して使用可能な告示物品であるかの他に、その使用用途を確認することが大切です。
追加された「カゼインカリウム」の場合は、「果実酒及び甘味果実酒」にて「清澄」の目的での使用が可能です。
細目 | 定義 | 長官指定告示物品名 |
---|---|---|
清澄 | 酒類の精製工程において、酒類中に存在する混濁物質、及び混濁物質の生成要因となる原因物質を除去し、酒類の透明度を向上させたり、混濁の発生を予防することをいう。 | 活性炭、フィチン酸、寒天、ゼラチン、(中略)カゼインカリウム |
酸化防止 | 酒類の貯蔵工程及び精製工程において、酸素の影響を取り除いて品質劣化を防止し、酒質を本来の品質に保持することをいう。 | エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸、(後略) |
酒質保全 | 酒類の貯蔵工程において、酒質を劣化させる物質の生成防止又は酒質を劣化させる物質の除去により、酒質の保持と安定化を図ることをいう。 | ウレアーゼ、DL-酒石酸水素カリウム、(後略) |
再発酵防止 | 酒類の精製工程において、再発酵(雑菌の繁殖を含む)を抑え、酒質の保持を図ることをいう。 | ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、リゾチーム又は二炭酸ジメチル |
酸度調整 | 酒類の製造又は精製工程において、正常な酸度の範囲に調整して品質の維持を図ることをいう。 | 炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、(後略) |
酒質矯正 | 酒類の精製工程において、味、香り、色等に異常を来した酒質を矯正することをいう。 | イオン交換樹脂又は活性炭 |
副剤 | 長官指定告示物品の機能を安定的かつ効果的に発揮させる目的で、長官指定告示物品と共存させる必要最小限度の物品をいう。 | DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸とピロ亜硫酸ナトリウムの混合物、(後略) |
添加物の使用に際しては、使用できる食品であるか、使用用途、使用量の上限、使用制限について等、さまざまな確認が必要となります。酒類については酒税法施行規則よる添加物についての規定もありますので、今後の酒類を扱われる際のご参考となりましたら幸いです。
酒類の保存のため物品を混和することができる酒類の品目等を定める等の件の一部を改正する件
酒類保存のため酒類に混和することができる物品の指定告示の制定について
「酒類保存のため酒類に混和することができる物品」の取扱いについて(法令解釈通達)
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