本年3月より「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会」が開催されており、食品添加物の不使用表示について議論がされています。そして先日、「食品表示基準第9条に該当するか否かの確認」において、「誤認を生じさせるおそれのある食品添加物の不使用表示」について11の類型項目が作成されました。
「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」の策定については来年3月の予定となっておりますが、現時点においても単に「無添加」とする場合や、加工助剤やキャリーオーバーに該当する添加物を使用している場合には、食品表示基準第九条(表示禁止事項)により禁止事項に該当する恐れがあるとされています。
個別の食品ごとの表示禁止事項
第九条(表示禁止事項)には、「不使用」のような横断的な規則だけでなく、個別の食品ごとに定義されている場合がある点に注意が必要です。
別表第二十二の上欄に掲げる食品にあっては、同表の下欄に掲げる表示禁止事項を容器包装に表示してはならない。
別表第二十二(一部抜粋)
食品 | 表示禁止事項 | ||||||||||||
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農産物缶詰及び農産物瓶詰 | 1「天然」又は「自然」の用語 2「純正」その他純粋であることを示す用語 |
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マカロニ類 | 原材料の一部の名称を他の原材料の名称に比べて特に表示する用語。ただし、製品百グラム当たり当該原材料の固形分が、卵にあっては四グラム以上、野菜にあっては三グラム以上含まれている場合は、この限りでない。 | ||||||||||||
チルドぎょうざ類 | 原材料のうち特定のものを特に強調する用語。ただし、別表第十九のチルドぎょうざ類の項の規定に従い、「魚肉」又は「野菜」の用語を表示する場合、あんに占める重量の割合が次の表に定める割合以上である原材料の名称を冠した商品名を用いる場合又は商品名を併せて、特定の原材料を含む旨及び当該原材料の重量の割合を表示する場合は、この限りでない。
(一部抜粋)
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一部を上記に引用しましたが、別表第二十二には、表示が禁止されている「用語」を規定しているもの、原材料名等を表示する場合の「割合」や「含有率」などを規定しているものがあることが分かります。
「農産物缶詰及び農産物瓶詰」の表示禁止事項である「天然」「自然」の用語、また他の食品である「新鮮」や「フレッシュ」については、容器包装でも見かける食品もあると思いますが、その場合は禁止されている食品ではないということです。
例えば「マカロニ類」では、「ほうれん草」を練りこんだ「ほうれん草入りスパゲッティ」という商品について、「ほうれん草」は野菜に該当しますので、「ほうれん草」の固形分が製品100g当たり3グラム以上含まれている場合には、禁止事項に該当しないことになります。
また、「チルドぎょうざ類」にある割合の規定については例えば「かに入りギョウザ」という商品名のチルドのぎょうざがある場合で、特に「かに」の重量の割合が商品名に併記されていなければ、あんに占める重量の割合が10%以上であるということになります。「かに」については、冷凍ぎょうざや冷凍しゅうまい、冷凍コロッケにもそれぞれ規定があり、「かに」の含有率を確認することになります。
別表第五に記載の食品について
第九条の表示禁止事項とは別に、第三条では名称の使用に制限を設けた規定があります。
別表第五の上欄に掲げる食品以外のものにあっては、それぞれ同表の下欄に掲げる名称を表示してはならない。
別表第五を確認しますと最初に、上欄に掲げる食品、「トマト加工品」の「トマトジュース」には、名称「トマトジュース」の記載があります。「トマトジュース」の用語の定義は別表第三に記載がありますが、この定義に合致するものだけが名称に「トマトジュース」と表示できることになり、合致していない場合は名称に「トマトジュース」と表示できないことになります。
公正競争規約による表示禁止事項
食品表示基準だけではなく公正競争規約にも「不当表示の禁止」として規定があります。食品表示基準と同様、「用語」の規定や「割合」の規定の他に、名称によって不当表示に該当する規定や、表示だけでなく、過大な容器包装の禁止事項の記載がある規約もあります。
食品表示は名称によって別記様式一以外にも表示事項が定められているように、食品の名称によって表示禁止事項も異なりますので、自社で製造、取扱っている商品について改めて確認していただくきっかけになれば幸いです。
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