中国における飲料やチーズ等の食品安全国家基準の改定について

By | 2022年9月5日


 2022年7月28日、中国国家衛生健康委員会(National Health Commission of the People’s Republic of China:NHC)と中国市場監督管理総局(State Administration for Market Regulation:SAMR)は、36項目の新規食品安全国家基準と3項目の改正内容を発表しました。
 今回は新たに制定された食品安全国家基準のうち「飲料」と「チーズ」に注目し、現行の基準と比較してみたいと思います。
 なお、本コラムは中国のコンサルティング会社REACH24Hグループよりご寄稿いただいた記事に基づく内容となります。

GB 7101-2022:飲料


  GB 7101-2022(新)
※2022年12月30日実施
GB 7101-2015(現行)
対象 この規格は飲料に適用され、包装された飲料水(天然ミネラルウォーターを含む)には適用されない この規格は飲料に適用され、包装された飲料水には適用されない
定義 副原料、食品添加物、食品栄養強化剤の有無に関わらず、1つまたは複数の食用原材料を直接飲用または水割り用に定量包装されたもので、エタノール含有量が0.5質量%を超えないもの(炭酸飲料、果物や野菜の飲料、たんぱく質飲料、固形飲料など) 直接飲用または水割り用に定量包装されたもので、エタノール含有量が0.5質量%を超えないもの
~略~
その他 1. 細菌を添加した製品のラベルには、生菌(未滅菌)タイプまたは非生菌(滅菌)タイプを表示すること
2. 乳酸菌を添加した生菌(未滅菌)製品の乳酸菌数は 106 CFU/g(mL)以上であり、乳酸菌の含有量を製品ラベルに表示すること
乳酸菌はGB 4789.35 で指定された方法に従ってテストすること
3. 保管および輸送のために冷蔵または冷凍が必要な製品は、ラベルに保管および輸送条件を明記すること
1. 乳酸菌飲料製品のラベルには、生菌(未滅菌)タイプまたは非生菌(滅菌)タイプを表示するものとし、生菌(未滅菌)タイプと表示された製品中の乳酸菌の数は、106 CFU/g(mL)以上であること
2. 生菌(未滅菌)乳酸菌を含み、冷蔵保管および輸送が必要な製品は、ラベルに保管および輸送条件を明記すること

 新たに制定されたGB 7101-2022では定義に詳しい説明が加えられており、たんぱく質飲料なども含まれていることが分かります。また、乳酸菌(未滅菌)を添加した製品には乳酸菌の含有量を表示する必要があるなど、新たに追加された内容もあります。

GB 25192-2022:プロセスチーズおよびチーズ製品


  GB 25192-2022(新)
※2022年12月30日実施
GB 25192-2010(現行)
対象 この規格はプロセスチーズとチーズ製品に適用される この規格はプロセスチーズに適用される
定義 【プロセスチーズ】
チーズ(50%以上)を主原料とし、他の原材料を添加し、食品添加物や栄養強化剤の有無に関わらず、加熱、攪拌、乳化(乾燥)等の工程を経た製品
【チーズ製品】
チーズ(15%~50%)を主原料とし、他の原材料を添加し、食品添加物や栄養強化剤の有無に関わらず、加熱、攪拌、乳化(乾燥)等の工程を経た製品
【プロセスチーズ】
チーズ(15%以上)を主原料とし、乳化塩を加え、他の原料の有無に関わらず、加熱、攪拌、乳化等の工程を経た製品
~略~
その他 1. 製品ラベルには、使用するチーズの配合割合を明記すること
2. 製品には「再制干酪(プロセスチーズ)」または「干酪制品(チーズ製品)」を表示すること
再制干酪(プロセスチーズ)は「再制奶酪」、干酪制品(チーズ製品)は、「奶酪制品」と表示することもできる
3. 製品ラベルには、輸送および保管温度を明記すること

 新たに制定されたGB 25192-2022ではプロセスチーズの定義であるチーズの配合割合が15%から50%に引き上げられています。さらに「チーズ製品」という新しいカテゴリが含まれており、チーズ製品におけるチーズの配合割合は15~50%と定められています。
その他、使用されているチーズの配合割合を表示する必要があるなど、飲料と同様にこちらにも新たに追加された内容があります。

 今回は「飲料」と「チーズ」について取り上げましたが、ここに記載した内容は一部であり、他にも変更されている内容や基準がありますので、中国への輸出を考えられている方は36項目の新規食品安全国家基準と3項目の改正内容に一度目を通されておくとよいと思います。
 特にカテゴリが変わる場合、連動して添加物使用基準なども変更になる可能性が考えられますので、パッケージの表示内容だけではなく、配合レシピ(使用原材料)なども併せてご確認されることをおすすめいたします。


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清水 友里恵

栄養学を専門とし、主に国内から海外に輸出される食品の原材料や表示案の調査業務のほか、国内と海外の栄養成分表示の整合性確認業務に従事しています。
趣味はサックス。