景品表示法関係ガイドライン等の重要性について

By | 2022年11月8日


 今月は、消費者庁「景品表示法関係ガイドライン等」のページより食品を扱う事業者様に、今一度ご確認いただきたいガイドライン等をご紹介いたします。景品表示法の「優良誤認表示」の考え方から、その重要性も改めて知っていただく機会になればと思います。

ポイント
景品表示法における「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・サービスの品質、規格、その他の内容や価格等の取引条件について、消費者に知らせる広告や表示全般を指す

メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について


 ホテルや百貨店、レストラン等が提供するメニュー・料理等の表示について、景品表示法の考え方(下記Q-1)と具体的な事例(Q-2以降)が分かりやすく解説されているものです。身近なメニュー・料理に関する内容ですので、優良誤認についてより親しみやすく、理解を深めやすいと思います。

Q-1 飲食店等において提供される料理等に関するメニューや料理名の表示について、どのような場合に景品表示法上問題となるのでしょうか。
<説明>(中略)具体的には、
① その料理や食材に関する社会常識や、用語等の一般的意味、社会的に定着していると認められる食品表示法等を含めた他法令等における定義・基準・規格などを考慮し、表示された特定の食材(A)と実際に使用されている食材(B)とが異なるといえる場合において、
② その料理の性質、その料理や食材に関する一般消費者の知識水準、その料理や食材の取引の実態、メニュー等における表示の方法、表示の対象となる内容などを考慮し、表示された特定の食材(A)と実際に使用されている食材(B)が異なることを一般消費者が知っていたら、その料理に惹きつけられることは通常ないであろうと認められる程度に達する誇大表示といえるときには、優良誤認表示に該当することになります。

 つまり、「表示された食材と実際に使用されている食材は、適切に対応しているか」を確認することが大切であるといえます。

不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針
(不実証広告ガイドライン)


 消費者庁長官は事業者に対し、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が求められた資料を期間内に提出しない場合や、提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合には、不当表示とされるものです。
 そして提出資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであると認められるためには、次の2つの要件を満たす必要があります。

(1)提出資料が客観的に実証された内容のものであること
提出資料は、表示された具体的な効果、性能が事実であることを説明できるものでなければならず、そのためには、次のいずれかに該当する客観的に実証された内容のものである必要があります。
  ア 試験・調査によって得られた結果
  イ 専門家、専門家団体若しくは専門機関の見解又は学術文献
(2)表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること
提出資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであると認められるためには、提出資料が、それ自体として客観的に実証された内容のものであることに加え、表示された効果、性能が提出資料によって実証された内容と適切に対応していなければなりません。

 「合理的な根拠」については、ガイドラインP5より〈例〉を交えながら解説がなされています。自社の取扱商品について、優良性を強調した表示をしている、していないにかかわらず、まずは表示の裏付けとなる根拠といえるかどうかを整理することが大切です。

商品の原産国に関する不当な表示


 商品の原産国について、原則として、次のような表示を不当表示として規定しています。

 (中略)
イ 外国で生産された商品についての次に掲げる表示であって、その商品がその原産国で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるもの
(1)その商品の原産国以外の国名、地名、国旗、紋章その他これらに類するものの表示
(2)その商品の原産国以外の国の事業者又はデザイナーの氏名、名称又は商標の表示
(3)文字による表示の全部又は主要部分が和文で示されている表示

 ここでいう「原産国」とは、その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為(実質的変更行為)が行われた国をいい、個別の商品の実質的変更行為については、「『商品の原産国に関する不当な表示』の原産国の定義に関する運用細則」で規定されています。食品での対象品目は「緑茶・紅茶」「清涼飲料(果汁飲料を含む)」「米菓」です。なお、食品表示基準における「原産国」についても、「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国」のことを指しますので、食品表示基準Q&A(加工-156,157)等をご参照ください。

無果汁の清涼飲料水等についての表示


 原材料に果汁又は果肉が使用されていない清涼飲料水等、または僅少な量(5%未満)の果汁等が使用されている清涼飲料水等について、「原材料に果汁等が全く使用されていない旨」や、「使用されている果汁等の割合」が明りょうに記載されることなく行われる次のような表示を不当表示として規定しています。

(1)当該清涼飲料水等の容器又は包装に記載されている果実の名称を用いた商品名等の表示
(2)当該清涼飲料水等の容器又は包装に掲載されている果実の絵、写真又は図案の表示
(3)当該清涼飲料水等又はその容器若しくは包装が、果汁、果皮又は果肉と同一又は類似の色、香り又は味に着色、着香又は味付けがされている場合のその表示

 また「無果汁の清涼飲料水等についての表示」に関する運用基準によると、「果汁の割合」の表示は「糖用屈折計示度の基準に対する割合の数値を証明することができる」場合に限られる点にも注意が必要といえます。

 景品表示法の対象となる表示には、商品本体による表示(容器・包装を含む。)、店頭における表示、チラシ広告、新聞・雑誌による広告だけではなく、テレビやインターネットによる広告なども含みますので、その「幅の広さ」が特徴といえます。
 そのような幅の広い規則に対しては、共通する基本的な考え方を押さえておくことが大切だと思います。同ページには「違反事例集」も掲載されていますので、自社の取扱商品について誤認を与える表示になっていないか改めて確認いただく機会になればと思います。


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調査チーム

上級食品表示診断士。原材料、添加物の調査から食品表示の作成、チェックまで幅広い実務に従事しています。食品業界に長く在籍した経験を活かし、お客様からの食品表示に関する様々なご質問について、より分かりやすく回答できるよう取り組んでいます。