任意表示である「遺伝子組換えでない」旨の表示ができる条件の改正について、経過措置期間が令和5年3月31日で終了します。今回は、改正後の表示方法について整理しました。
改正のポイント
- 「遺伝子組換えでない」表示が認められる条件が、「(大豆及びとうもろこしについて、意図せざる混入*1率)5%以下」 から「不検出」に厳格化される。
- 5%以下の場合、分別生産流通管理*2が適切に行われている旨の表示を任意で行うことができる。
*2 分別生産流通管理:遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物を農場から食品業者まで生産、流通及び加工の各段階で相互に混入が起こらないよう管理し、そのことが書類等により証明されていること。
改正後の具体的な表示例について
遺伝子組換え農産物「大豆」を例に、3つの場合に分けて表示例を挙げます。
① 遺伝子組換え大豆を分別していない大豆を原材料としている場合
<表示例>
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遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物が分別されていない場合、表示は義務になります。分別していない旨が分かる文言であれば 「遺伝子組換え不分別」以外の文言でも差し支えありません。
なお、消費者に情報を正しく伝える手段として、一括表示の原材料名欄に「遺伝子組換え不分別」と表示した上で、枠外に「不分別」 の意味について説明文を付記することは有効とされています。
② 遺伝子組換え大豆が混入しないように適切に分別生産流通管理が行われ、意図せざる混入が5%以下の大豆を原材料としている場合
<表示例>
※こちらは一括表示事項欄外に表示する場合の例です。 |
適切に分別生産流通管理されている旨の表示が任意で可能です。
遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物を分けて生産、流通及び製造・加工の各段階で管理を行っていることが分かるように表示することが必要です。
③ 遺伝子組換え大豆が混入しないように適切に分別生産流通管理が行われ、混入がないことを確認した大豆を原材料としている場合
<表示例>
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「遺伝子組換えでない」旨の表示は、適切に分別生産流通管理を行った上で、遺伝子組換え農産物の混入がないと認められる大豆及びとうもろこし及びこれを原材料とする加工食品に限り、表示することができるようになります。ただし、行政の行う科学的検証及び社会的検証において、使用された原料農産物に遺伝子組換え農産物を含むことが確認された場合は、不適正な表示となることに注意が必要です。
現在原料農産物に遺伝子組換え農産物の混入がないことの確認は、下記が有効とされています。
- 生産地で遺伝子組換えのものとの混入がないことを確認した農産物を袋等又は専用コンテナに詰めて輸送し、製造者の下で初めて開封していることが証明されていること
- 国産品又は遺伝子組換え農産物の非商業栽培国で栽培されたものであり、生産、流通過程で、遺伝子組換え農産物の栽培国からの輸入品(適切に分別生産流通管理され、遺伝子組換え農産物の混入が5%以下に抑えられた場合を含む。)と混ざらないことを確認しており、その旨が証明されていること
- 生産、流通過程で、各事業者において遺伝子組換え農産物が含まれていないことが証明されており、遺伝子組換え農産物が含まれない旨が記載された分別生産流通管理証明書を用いて取引を行っている場合
まとめ
「遺伝子組換えでない」旨の表示が認められるのは、遺伝子組換え農産物が「混入がない」と認められる場合のみですので、十分にご留意ください。経過措置期間が残り少ないですので、該当する表示を取り扱われている事業者の方は、これを機に再度ご確認されるとよいと思います。
参照:
食品表示基準Q&A 別添 遺伝子組換え食品に関する事項
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吉川 美波
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