食品表示基準に対する動向について、米国・オーストラリア・カナダについて以下の通りまとめてみました。
米国
■昨今の動向
5月16日、「主要食物アレルゲンの表示と交差接触(cross-contact)に関する法令遵守政策ガイドの草案」が食品医薬品庁(FDA)より発表されました。
■概容
本草案では、当該製品と同一の工場内やラインで製造される他の製品に原材料として含まれるアレルゲンとの交差接触(cross-contact)管理に関するFDAの実施方針が明記されています。
いわゆるPrecautionary allergen labelling(=PAL 予防的アレルゲン表示)として、これらの交差接触の可能性を任意で表示する“may contain”と表示を行うことよりも、交差接触を未然に防ぐ管理指針のほうが大切であるという、米国の考え方が浮き彫りとなった草案になっていると思います。なぜFDAがこの様なスタンスを取るに至ったのかについての背景等、詳細はFDAサイトをご参照下さい。
オーストラリア
■昨今の動向
新たなアレルギー表示基準が2021年2月25日に改訂され、現在はその移行期間となっており、期限は2024年2月25日までとなっています。
■概容
Food Standards Codeにおいて、アレルゲンとなる原材料は、特定の必要な名称を用いて表示することが義務づけられています。
詳細はFSANZサイトをご参照下さい。
今回の新基準により、これまで一括りで表示されていたtree nuts(木の実)、molluscs(軟体動物)、cereals(穀物)はすべて該当する原材料名を個別に表示しなければならなくなりました。
カナダ
■昨今の動向
2023年6月現在、カナダ食品検査機関(CFIA)が定めた表示基準がそれぞれ以下の通り移行期間中です。
- 2016年12月14日に施行された栄養成分表示と原材料リストに関する基準→移行期限2023年12月14日(移行期間の新基準への各企業の対応により措置の可能性。詳細は下記)
- 2022年7~11月に施行された栄養成分表示に関する基準→移行期限2025年12月31日(2026年1月より適用開始)
■概容
- 2016年12月14日に施行された栄養成分表示と原材料リストに関する基準:
糖類のグループ化、着色料などに関する内容になっています。詳細は弊社過去の記事をご覧ください。 - 2022年7~11月に施行された栄養成分表示に関する基準:
FOPにおける栄養表示に関する修正並びに栄養強調表示およびその基準(詳細)、甘味料の義務表示を修正しています(詳細)。
栄養表示のための基準値表における、特定の年齢層のカリウムとナトリウムの数値を修正しています(詳細)。
移行期限が2023年12月14日となっている表示基準については、本来2022年12月14日だったところ、COVID-19の影響を考慮し移行期間が延長となったものです。但し、延長となった、2022年12月15日から2023年12月14日までの期間、詳細な移行計画を立てていない非遵守企業には、CFIAによる措置が検討されることになっています。
以上が昨今の動向となりますので、それぞれの詳細を見ておいて頂ければと思います。ちなみに上述のオーストラリアのアレルギー表示基準においても、Precautionary allergen labelling(=PAL 予防的アレルゲン表示)についての記載がありますが、こちらでは交差接触についての表示は、Food Standards Codeでの規制はないとしています。但し、表示ではなく交差接触を未然に防ぐ管理指針等への見直しの可能性については、今後も注視していく必要があるかと思います。
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亀山 明一
趣味は外国文化に触れることと旅行。
・2020年10月20日 Regulatory Requirements of Food Ingredients/Additives Used in Japan
ChemLinked(REACH24Hコンサルティンググループ)様主催。
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