食品表示基準の一部(機能性表示食品関連)が改正されました

By | 2024年9月5日


 2024年8月23日、食品表示基準の一部改正が公表されました(一部は9月1日に施行されています)。改正概要は「これまでの食品表示基準の改正概要について」に整理されていますので、こちらに抜粋します。

⚫ 紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応(令和6年5月31日 紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合取りまとめ)を踏まえ、以下を改正。

  1. 届出者の遵守事項として、健康被害と疑われる情報を収集し、健康被害と疑われる情報を得た場合には、速やかに都道府県知事等に提供するとともに、消費者庁長官に提供すること等を規定。
  2. 届出日以降の科学的知見の充実により機能性関与成分について特定の保健の目的が期待できる旨の表示をすることが適切でないと消費者庁長官が認めた食品は、機能性表示食品の要件を満たさないことを規定。
  3. 届出者の遵守事項として、錠剤、カプセル剤等食品についてはGMPに基づく製造管理を規定。
  4. 「機能性及び安全性について国による評価を受けたものではない旨」、「疾病の診断、治療、予防を目的としたものではない旨」、また、摂取する上での注意事項として、医薬品等との相互作用や過剰摂取防止のための注意喚起を具体的に記載する等、表示の方法や表示位置などの方式等を見直し。
  5. 届出者の遵守事項として、届出者は、遵守事項を遵守していることを届出後一年ごとに自己評価し、その結果を毎年消費者庁長官に報告することを規定。
  6. ア)当該食品に関する表示の内容、イ)食品関連事業者名及び連絡先等の食品関連事業者に関する基本情報、ウ)安全性及び機能性の根拠に関する情報、エ)生産・製造及び品質の管理に関する情報、オ)健康被害の情報収集体制及び カ)その他必要な事項について、届け出られるべき情報として具体的に規定するほか、様式等については内閣府告示で定めることを規定。
  7. 届出実績がない新規の機能性関与成分について、届出資料の確認に特に時間を要すると消費者庁長官が認める場合には、販売前の届出資料の提出期限について、原則 60 営業日を特例として 120営業日とすることを規定。

 そして具体的な改正箇所は以下のとおりです。「新旧対象条文」を参照すると確認しやすいと思います。

 最後に、施行期日と経過措置期間について、改正は2024年9月1日からの施行ですが、別表第二十六と別表第二十七のうち一部の事項については2025年4月1日からの施行となります。なお第三条第二項、第二十二条第一項、別表第二十及び別表第二十七の二の項第一号の規定(本規定中、天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品として届出をした場合に関する規定)(2024年9月1日施行)については2年間の経過措置期間があります。
 今回は表示方法(切り出し表示の規制等)も改正されていることから、多くの機能性表示食品において表示の見直しがされるものと思われます。改正案に対する意見募集の結果より、改正の趣旨や意見に対する考え方なども確認できますので、あわせて目を通しておかれるとよいと思います。


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川合 裕之

代表取締役社長株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)

【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」

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【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演・セミナー実績
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