原材料に使用される香辛料の表示ルールの運用変更案について

By | 2025年3月3日

 2025年1月21日、「令和6年度 第8回個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」が開催されました。このうち、原材料に使用される香辛料の表示ルールの運用変更案について、以下に概要をとりあげてみたいと思います。

香辛料の横断的表示ルールの運用変更案

 現行横断的な表示ルールにおいては、香辛料および香辛料エキスについて合算して原材料に占める割合2%以下の場合は「香辛料」と括って記載し、2%を超える場合はすべて個別の香辛料名を表示することになっています。
 一部廃止が予定されている個別ルールに含まれる内容ですが、一部品目においては個別に定められた原材料表示ルールにより、合算した含有量にかかわらず「香辛料」と括って記載することが可能となっています。今後横断的な運用に合わせる方向で検討が進められていますが、記載すべき原料数が多くなることを踏まえ移行後の柔軟なルール対応の必要性が指摘されています。
 CODEX一般規格やEUでの香辛料の表示方法運用を参考に以下のような運用変更案が提示されました。

  • 合算して2%以下の場合は従来通り「香辛料」と括って記載
  • 合算して2%を超える場合は「香辛料」でまとめ書きし、下位から足し合わせて2%以下のものは「その他の香辛料」と括ることが可能
  • 特定のものを強調するために、重量順を無視して取り出して記載することはできない

【想定】 複数の香辛料を使用し、下位から足し合わせると、③~⑧までで2%以下になる場合。

①ターメリック(1.0%)、②コリアンダー(0.8%)、③カルダモン(0.6%)、④赤唐辛子(0.5%)、⑤マスタード(0.3%)、⑥クローブ(0.1%)、⑦シナモン(0.07%)、⑧ローレル(0.03%)

③~⑧を足し合わせると1.6%                            

(従来表示)


ターメリック、コリアンダー、カルダモン、赤唐辛子、マスタード、クローブ、シナモン、ローレル


香辛料(ターメリック、コリアンダー、カルダモン、赤唐辛子、マスタード、クローブ、シナモン、ローレル)

(運用変更案) 従来表示に加えて

香辛料(ターメリック、コリアンダー、その他香辛料
香辛料(ターメリック、コリアンダー、カルダモン、その他香辛料
香辛料(ターメリック、コリアンダー、カルダモン、赤唐辛子、その他香辛料
など

※「その他香辛料」が2%以下であれば、上位から順番に事業者の判断で取り出すことが可能

不適切な例

香辛料(ターメリック、コリアンダー、マスタード、その他香辛料)

まとめ

 現在、使用割合2%を超える香辛料の記載方法の考え方については食品表示基準Q&A(加工-64)で整理されておりますが、運用変更案をこのQ&Aの改正を対応策に取りまとめられる予定となります。
 そのほか、果実飲料と豆乳類の個別品目ルールの説明とヒアリングが行われておりますので、こちらも併せてご覧ください。


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井上 慎也

上級食品表示診断士。生物化学を専門とし、主に原材料、添加物、表示基準の調査業務に従事しています。FOODS CHANNELにて食品表示コラムを連載(2012年)、各地の産業振興財団イベントにおいて食品表示相談員としても活躍しています。
趣味は自転車。