昨年末に製造所固有記号の詳細が発表され、いよいよ新基準への移行準備が整った形になりました。そして移行作業時に食品表示基準の理解を助けてくれるのが、表示事例の記載されている「食品表示基準 Q&A(消費者庁)」となるかと思います。
そこで、今回は主な変更点として添加物、アレルギー、栄養成分について、Q&A 資料から確認しやすいようポイントとしてまとめてみました。(※一部、Q&A にないポイントは食品表示基準、施行通知を参照)
1.添加物について
主なポイント | 旧基準 | 新基準 | Q&A番号 |
---|---|---|---|
原材料名と明確に 区分して添加物表示 |
原材料名欄内に 重量順区分で表示 |
添加物の事項名欄を設けるか (「なし」の表示不可)、原材料名欄内で 明確に区分 |
(加工-249) (加工-251) |
2.アレルギーについて
主なポイント | 旧基準 | 新基準 | Q&A番号 |
---|---|---|---|
個別表示の原則化 | 個別表示の原則規定なし | 個別表示の原則化(乳は (乳成分を含む)、(乳由来)と表示) |
(E-2) (E-6) (E-10) |
特定加工食品と その拡大表記 |
改めての記載は不要 (例:「マヨネーズ」に 「卵」の表示は不要) |
改めて記載が必要(卵黄、 卵白にも(卵を含む) が必要) |
(F-1) (F-2) (F-3) |
一括表示時の省略規定 | 繰り返し省略可 | 繰り返し省略不可 (個別表示のみ繰り返し省略可) |
(E-7) (E-4) |
一括表示時の末尾表現と 接続方法 |
(原材料の一部に~を含む)、 「、」の接続規定なし |
(一部に~を含む)、 (小麦・卵・落花生)と「・」で接続 |
(E-7) (E-11) |
3.栄養成分について
主なポイント | 旧基準 | 新基準 | Q&A番号 |
---|---|---|---|
ナトリウムから 食塩相当量へ |
「ナトリウム」を表示 (任意で枠外に食塩相当量併記可) |
「食塩相当量」を表示(ナトリウムを 併記できる場合も枠内に記載) |
(加工-216) |
栄養成分の項目の変更 | 表示の位置規定なし、 糖質と食物繊維表示での 炭水化物表示の代用可、 ショ糖は枠内 |
上位表示より1字下げ、 糖質と食物繊維表示での 炭水化物表示の代用不可、 ショ糖は枠外に表示 |
(加工-199) (加工-257) (加工-233) |
栄養成分表示と 1 食重量 | – | 「栄養成分表示」と記載、 1 食の場合は重量併記 |
(加工-259) (加工-105) |
以下は Q&A 資料に事例はありませんが、食品表示基準、施行通知から基準値などを確認できるよう該当ページをまとめています。 | |||
低減・強化された 旨などの相対表示 |
基準値以上の絶対差 | 25%以上の相対差の追加、 栄養素等表示基準値の10%以上の 絶対差(一部変更) |
基準 P67 ~ 69 通知 P27 ~ 29 |
糖類・食塩の無添加・ 不使用表示 |
明確な規定なし | 規定の新設、糖類・食塩に代わる 原材料使用も不可 |
基準 P70 ~ 71 通知 P29 |
栄養成分強調表示と 栄養機能食品 |
– – |
栄養素等表示基準値変更で 強調表示等要見直し、 栄養機能食品の上限下限変更と 対象年齢等の追記 |
基準 P504 ~ 506 通知 P26 |
実際の作業時には、食品表示基準の詳細やほかの変更点などを確認して正しい表示づくりを進めていくことになりますが、こうした Q&A 資料を読むことで移行作業に必要な情報整理などの計画を立てやすくなりますので、一度確認されておくとよいと思います。
参照:
食品表示基準 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150320_kijyun.pdf
食品表示基準 Q&A http://www.caa.go.jp/foods/pdf/151224_qa-togo.pdf
食品表示基準について(施行通知)
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川合 裕之
代表取締役社長 : 株式会社ラベルバンク
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。
■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。
■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)
【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
「食品表示関連規則の改正状況 今後の『食品表示』実務上のポイント」
・2020年2月『月刊 HACCP』(株式会社鶏卵肉情報センター)「アレルゲン表示の現状と留意点」
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」
>> 寄稿の詳細はこちら
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師
■最近の講演・セミナー実績
・2025年1月28日 加工食品の各国の表示作成実務における留意点について
一般財団法人食品産業センター様主催。
・2025年1月23日 日本の食品表示制度の改正状況~まとめと今後について
株式会社ウェルネスニュースグループ様主催。
・2024年4月11日 “低糖質、〇〇不使用、植物由来、機能性等” 健康に関する食品の輸入および輸出時の表示確認の実務について
アヌーガ・セレクト・ジャパン様主催。
・2023年12月21日 輸出食品における各国基準(添加物および食品表示等)調査と実務上のポイント
一般財団法人食品産業センター様主催。
・2023年11月9日 食品表示基準と実務上の大切なポイント~保健事項、衛生事項を中心に~
千代田保健所様主催。
>> 講演・セミナーの詳細はこちら
■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。
■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂2版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2023)
【寄稿】
・2024年 第65巻 第4号 『食品衛生学雑誌』(公益社団法人日本食品衛生学会)「海外輸出向け食品における各国基準(添加物、栄養成分表示)の調査と実務上の課題」
・2021年10月『Wellness Monthly Report』(Wellness Daily News)40号
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・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)「表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~」
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