義務化された容器包装前面表示の重要なポイント（カナダ）

　カナダ政府は2022年7月、食品医薬品規則（the Food and Drug Regulations）の改正（栄養シンボル、その他の表示規定、ビタミンDおよび水素添加油脂）を施行しました。この改正は、健康について社会的関心の高い栄養素を多く含む包装済み食品の容器包装前面（FOP：front-of-package）への栄養表示の義務化とその新しい要件に対応するものです。この取り組みは、消費者にその情報とガイダンスを提供することで、消費者がより健康的な食品を選択し、これらの栄養素の過剰摂取による健康リスクを低減することを目的としています。カナダ保健省は関係者のコメントや質問に基づき、2023年5月に業界向けのガイドを発表しました。この記事では、カナダ国外の製造業者や食品業者にとって重要と思われるこの新しい変更点を紹介します。

新しい点

　飽和脂肪酸、ナトリウム、糖類のすべて、もしくはいずれかを一定の閾値以上含むすべての食品は、新しいFOP栄養表示を行う必要があります。

シンボル表示が必要なケース

　FOP栄養表示は、一日摂取量（%DV）基準を用いて決定される、それぞれの栄養素のあらかじめ定義された閾値に基づいて行われます。食品に含まれる飽和脂肪酸、ナトリウム、糖類が規定された閾値を満たすか超える場合、「high in」（多く含有）のFOP栄養シンボルが表示されます。

　以下の食品のFOPにシンボルマークを表示することが求められます。

食品の種類	参照量	飽和脂肪酸、ナトリウム、糖類の閾値
参照量のある包装済み食品	30mLまたは30g以下	10% DV以上
包装済み食品で主菜ではないもの	30gまたは30mLを超える	15%DV以上
包装済み食品（主菜）	200g以上（成人）または 170g以上（1～4歳の幼児）	30%DV以上

製品中の対象栄養素がFOP栄養シンボル表示の閾値以上かどうかを判断するための判断ステップ

　規制の付属書Iには、栄養素の含有量が閾値を満たす、または超えて、FOP栄養シンボル表示の対象となるかどうかを判断するためのステップがおおまかに示されています。規制には、1食当たりの分量、参照量、トランス脂肪酸の有無、対象消費者などを考慮した、さまざまなシナリオに対する具体的なガイドラインが含まれていますが、一般的な手順は以下の通りです。

対象となる消費者の特定：特定の年齢の子どもを対象とした該当する食品分類に関する特定のルールを考慮し、製品の想定消費者を決定する。
食品の量の特定　食品の量は、1食当たりの分量と参照量のどちらか多いほうを基準とする。別の表「Table of Reference Amounts（参照量の表）」を参照し、適切な量を決定する。
対応する一日摂取量の特定：選択した食品の量に基づいて、各栄養素の一日摂取量に対する％を計算する。
製品の基準値と一日摂取量の比較：1つまたは複数の栄養素が一日摂取量以上になる場合、該当する単体もしくは複数の栄養素に対するシンボルの表示が必要である。

ラベルの表示

　同規制では、ラベルの表示形式について柔軟性を持たせていますが、選択した形式にかかわらず、特定の要素が含まれていなければなりません。FOP栄養シンボルは、白と黒の配色で、左に虫眼鏡のアイコンが組み込まれています。「High in」の文字は、脂肪、糖類、ナトリウム、またはその組み合わせの存在を効果的に示すものです。下部には「Health Canada / Santé Canada」（カナダ保健省）のシンボルが表示されています。以下の図は、カナダ保健省のFOP栄養シンボルのフォーマット例です（英語版のみ、またはバイリンガル版）

　食品業界は、2026年1月1日までにこの変更に対応する必要があります。この新規制の施行は、カナダ市場への参入を目指すメーカーや食品事業者にとって重要です。この規制が施行されると、さまざまな業界に影響を及ぼすことが予想されます。従って、この新しい規制に適応できるようその内容を理解しておくことをお勧めします。