糖質、糖類の表示

By | 2018年5月8日


 2018年3月28日、機能性表示食品の対象成分に糖質、糖類が追加されました。これを受けて、日本の糖質、糖類に関する表示制度を整理してみたいと思います。

栄養成分表示


糖質の表示値は以下の計算式で求めます。(※当該食品の質量を100とした場合)

糖質=100※-(たんぱく質+脂質+食物繊維+灰分+水分)

糖類については、食品表示基準において以下のように定義されています。

糖類:単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないもの

栄養成分表示では、糖類は糖質より1字下げて表示することになります。

炭水化物 g
 糖質 g
  糖類 g
 食物繊維 g

 炭水化物、糖質、糖類、食物繊維すべて単位は「g」であり、最小表示の位は「1の位」です。炭水化物、糖質、糖類については、1の位に満たない場合であって、0と表示することができる量以上であるときは、有効数字1桁以上となります。

 なお輸出入の際は、各国の炭水化物の定義に違いがある点に注意が必要です。

日本 炭水化物=100-(たんぱく質+脂質+灰分+水分) ※炭水化物は食物繊維を含む
EU 炭水化物=100-(たんぱく質+脂質+灰分+水分+食物繊維) ※炭水化物は食物繊維を含まない
アメリカ 炭水化物=100-(たんぱく質+脂質+灰分+水分) ※炭水化物は食物繊維を含む

強調表示


 糖質、糖類に関する強調表示の制度を整理してみました。(食物繊維は含めていません)

表示制度 糖質、糖類に関する基準 表示例
高い旨、含む旨、強化された旨 糖質、糖類ともに基準値なし
含まない旨、低い旨、低減された旨 糖質には基準値なし
(ただし算出の結果が負の値の場合は「0」と表示できる)
糖類に基準値あり
例:含まない旨0.5g未満/100g 等
無糖、糖類控えめ、糖類〇〇%オフ等(低減された旨の表示には基準値の他に、低減割合に関する基準あり)
添加していない旨 糖質には表示基準なし
糖類に表示基準あり
例:糖類に代わる原材料または添加物を使用していないこと、当該食品の糖類含有量が原材料及び添加物に含まれていた量を超えていないこと等
糖類不使用等
栄養機能食品の栄養機能表示
(規格基準型)
糖質、糖類ともに対象外
(規格基準設定なし)
特定保健用食品の許可表示
(個別許可型)
糖質、糖類ともに個別許可事例あり
例:キシリトール、L-アラビノース等
虫歯の原因にならない甘味料、砂糖の消化・吸収をおだやかにする等
機能性表示食品の機能性表示
(届出型)
糖質、糖類ともに対象成分※
例:キシリトール、L-アラビノース等

(※主として栄養源(エネルギー源)とされる成分(ぶどう糖、果糖、ガラクトース、しょ糖、乳糖、麦芽糖及びでんぷん等)を除いた糖質、糖類)

2018年4月24日現在事例なし(2018年3月28日より開始のため)

 ざっとまとめましたが、消費者のニーズは多様であり、表示制度もまた多様であるとあらためて感じます。今回はここまでです。また、ときどきミニコラムを書いてみようと思います。


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井上 慎也

上級食品表示診断士。生物化学を専門とし、主に原材料、添加物、表示基準の調査業務に従事しています。FOODS CHANNELにて食品表示コラムを連載(2012年)、各地の産業振興財団イベントにおいて食品表示相談員としても活躍しています。
趣味は自転車。

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